時間外労働を計算する上で、
法定休日を確定することは非常に重要です。

というか、
法定休日を確定せずに、
時間外労働を正しく計算することは、
理論上不可能です。

ここでは、
法的に正しい「法定休日の確定手順」を検証してみます。

 

労働基準法
(休日)
第三十五条 使用者は、労働者に対して、
毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日
を与える使用者については適用しない。


この条文は、
毎週1回の休日を与えることを原則とし、
例外として、
4週間に4日の休日を与えてもよい。
と規定していると言えます。

以下に基本事項を列挙します。

●1週間とは、特段の定めがなければ日曜日〜土曜日の7日間

「定めがなければ」なので、
就業規則等で「火曜日〜月曜日が1週間」と規定してある場合は、
特段の定めである規定が優先されます。

 

●法定休日は、交代勤務でない限り、「暦日」でなければならない

0:00〜24:00の暦日1日のまるまるすべてが
労働から解放されて初めて、
法定休日を与えたことになります。

したがって、
屋外作業に従事している従業員に、
悪天候のため、当日の朝6時頃になって
「急遽、今日は休みとする!」と連絡したとしても、
その休日は、連絡があった時から開始すると考えられ、
民法140条で言う「午前零時から始ま」っていないため、
その日は、
所定休日になることはあっても法定休日にはなり得ません。

 

民法
第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、
期間の初日は、算入しない。
ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。


したがって、
翌日を法定休日にするためには、
少なくともその前日の24:00までに
労働者に伝えなければならないことになります。

信義則を含めて考慮すると、
成人の一般的・平均的な就寝開始時刻(午後11時頃?)までには、
電話で確実に本人に連絡することが望ましいと考えます。
LINEでトークする場合は、
24時までに「既読」されている必要があるでしょう。

 

●法定休日は、週に1回「だけ」、または4週間に4回「だけ」である

週休2日制の場合、
2日の休日のうち1日を出勤させても、
残りの1日が法定休日になるので問題ありません。
規定とおり週2日間の休日を与えたとしても、
2日間ともに法定休日にすることは絶対できません。
この場合、
法の趣旨を考えると、
その週の最初の休日である日曜日が法定休日になり、
法定を超える休日である土曜日は法定外=所定休日になると考えられます。

法定休日は、
「絶対に」週に1回だけ、または4週間に4日だけです。

 

●法定休日は、特定することが望ましい

「1週間に1日の休日を与える。」や「4週間に4日の休日を与える。」
という規定でも問題ありませんが、
労働者保護の観点から、
できれば「毎週日曜日を休日とする。」や
「隔週で土・日曜日の2連休とする。(起算日を明示)」のように
具体的に事前に特定することが望ましいとされています。

なお、
休日は、
労働基準法第15条の明示すべき労働条件の1つであり、
15条に反して休日について明示しなかった場合は、
労働基準法第13条の最低基準効が発動し、
「毎週1回の休日または4週間に4日の休日を与える。」
という労働契約が締結されたことになります。

 

労働基準法
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、
労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
この場合において、
賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、
厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

労働基準法施行規則
第五条 使用者が法第十五条第一項前段の規定により
労働者に対して明示しなければならない労働条件は、
次に掲げるものとする。
二 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、
休憩時間、休日、休暇
並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合
における就業時転換に関する事項

 

労働基準法
(この法律違反の契約)
第十三条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、
その部分については無効とする。
この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。


●「4週間に4日の休日」は、特定の4週間に4日以上の休日があればOK

任意の4週間に必ず4日以上の休日が存在する必要はなく、
特定の4週間に4日以上の休日があれば、問題ありません。
ただし、この場合、
4週間の起算日の特定が必須となります。

逆説的に
任意の4週間に必ず4日以上の休日が存在すれば、
4週間の起算日の特定は不要ということになります。

 

●法定休日は、振替えることができる

就業規則等に休日を振替えることがある旨を規定しており、
その規定とおりの手続きを踏みさえすれば、
法定休日を振替えることが可能です。

たとえば、
「日曜日を法定休日とする。」と規定したものの、
振替えることなく日曜日だけ出勤し、
その週の他の日をすべて休んだ場合、
法定休日が日曜日以外の日に「自動的に転化」することはなく、
日曜日の法定休日労働という事実に変わりはないので、
休日労働の割増賃金を支払う必要があります。

一方で、
振替え規定のとおりの手続きを踏み、
あらかじめ法定休日を日曜日から他の暦日に振替えた場合は、
日曜日は、労働日であり休日労働とはならず、
休日労働の割増賃金を支払う必要はありません。

振替え先の日は、
週1回または4週4日を満たすことができるいずれかの暦日
である必要があります。

また、
1賃金支払期を超えて休日を振替えて、
その労働日の賃金を支払わないことは、
労働基準法第24条の賃金の全額払い原則に抵触することとなり、
認められません。

したがって、
休日(所定休日を含む。)を振替えることができる日は、
週1回または4週4日を満たすことができ、
かつ、
1賃金支払期の範囲内である必要があります。

月給制とは、
「1月に○○時間働き、その対価として○○円支払う。」
という労働契約であり、
契約期=1賃金支払期を超えて、労働時間のやりくりはできない
と考えるべきです。

日給制や時給制も
1賃金支払期=1月間であることが一般的なので、
1月を超えて休日を振替えることができないことになります。

ただし、
年俸制の場合の「1賃金支払期」は1年間であり、
毎月支給される賃金とその月の労働の対償とは、紐付いていません。
したがって、
年俸制の場合は、
月を超えて休日の振替をすることができると考えられます。





以下では、
休日の規定方法を7パターンに分けて
個別具体的に検討してみます。

@「毎週、日曜日を休日とする(完全週休1日制)」と規定した場合

A「第2・4週の土・日曜日を休日とする(完全隔週休2日制)」と規定した場合

B「第4週目の水木金土曜日を休日とする(完全4週4休制)」と規定した場合

C「毎週、土・日曜日を休日とする(完全週休2日制)」と規定した場合

D「隔週で日曜休日と土・日休日を繰り返す(隔週休2日制)」と規定した場合

E「週に1回以上の休日を与える」と規定した場合

F「4週間に4日以上の休日を与える」と規定した場合

G休日について、まったく規定しなかった場合





法定休日=日曜日であることは明確であるため、
労働契約を締結した時点で、法定休日が確定することになります。
休日振替えをした場合は、振替えたその瞬間に
日曜日は労働日になり、振替え先の日が法定休日となります。

振替え先の日は、
4週間の起算日を明確に規定している場合、
その4週間内の任意の日に振替えることが可能ですが、
特段規定していない場合は、
実態として4週に4休日がなければならないので、
当該週内の日に限定されることになります。

 

 

法定休日=第2週および第4週の土・日曜日であることは明確であるため、
労働契約を締結した時点で、法定休日が確定することになります。
休日振替えをした場合は、振替えたその瞬間に
土曜日または日曜日は労働日になり、振替え先の日が法定休日となります。

振替え先の日は、
「4週間」を明確に規定している場合、
その4週間内のいずれかの日に振替えることが可能ですが、
特段規定していない場合は、
実態として4週に4休日がなければならないので、
当該週内の日に限定されることになります。

 

 

法定休日=第4週の水・木・金・土曜日であることは明確であるため、
労働契約を締結した時点で、法定休日が確定することになります。
その他の取り扱いはAに準じればよいでしょう。

このような休日の規定も労働基準法違反とはなりませんが、
とても労働者の健康に配慮しているとは思えません。
労働基準監督署の調査があった場合、
確実に指導票を発行されるでしょう。
また、
ブラック企業のレッテルを貼られることは、
想像に難くなく、
「日給10万円だよん♪」など
その他の労働条件がとてつもなく良くない限り、
企業存続は難しいでしょう。

 

 

完全週休2日制の場合、
法定以上の休日を規定しているため、
労働契約時・事前には、
法定休日をピンポイントで確定できません。

このパターンは、
非常に詳細な検討が必要になります。

まず、
日曜日を休んだ場合、
週1回の休日が法の原則であることを考慮すると、
日曜日が法定休日に確定すると考えます。

次に
日曜日を振替えることなく労働し、火曜日に休んだ場合、
日曜日の所定休日労働という事実は変わらず、
火曜日が「休日」になることは永遠にないでしょう。
また、
日曜日に働いたことをもって、
土曜日=法定休日ということは、まだ確定しないと考えます。
なぜなら、4週4日のパターンが適用される可能性があるからです。
ただし、
土曜日を休んだ場合は土曜日が法定休日に確定するでしょう。
土曜日も働いたとしても、
4週4日の休日が確保される可能性がまだ残っていれば、
土曜日の法定休日労働は、その時点では確定しないと言えます。

次に
日曜日の休日を火曜日に振替えて労働し、
予定通り、火曜日に休んだ場合、
火曜日が法定休日になるでしょう。
この場合、
土曜日も休んだとしても、
法定休日はすでに火曜日と確定しており、
火曜日⇒土曜日に転化することはないと考えます。

次に
週に1回の休日が確保できず、
4週4日を適用しなければならない場合を考えてみます。

結果として、
4週4日以上の休日が確保できた場合は、
35条違反ではありませんが、
法定休日は確定できませんし、
実務上確定する必要もありません。

結果として、
4週4日ピッタリの休日が確保できた場合は、
過不足がないため法定休日は確定できます。
ただし、
4週の起算日を規定していない場合は、
35条違反ではありませんが、
法定休日は確定できないのではないかと考えます。

最後に
結果として、
4週4日の休日が確保できなかった場合は、
週1回の原則が適用されることになります。
この場合、
4週の起算日の明示の有無にかかわらず、
・日曜日を休んでいる週は、日曜日

・日曜日を振替えていない場合は、土曜日(※判例を考慮すると日曜日の可能性も残る。)

・日曜日の休日を当該週内の日に振替えた場合、
その日に休んでいればその日(土曜日の前に休日取得したため。)、
その日も出勤となった場合は、土曜日

・日曜日を当該週外の日に振替えた場合は、
その週の休日は土曜日のみになるため、土曜日

 

 

この場合、
パターンCと同じく法定以上の休日を規定しているため、
労働契約時・事前には、
法定休日をピンポイントで確定できません。

土日休の週の取り扱いは、
パターンCに準じればよいでしょう。

日曜日のみ休日の週の取り扱いは、
以下の通りと考えます。

日曜日を休んだ場合、
週1回の休日が法の原則であることを考慮すると、
日曜日が法定休日に確定します。

次に
日曜日の休日を他の曜日に振替えて労働し、予定通りその日に休んだ場合、
その日が法定休日になります。

次に
日曜日を振替えることなく労働し、他の曜日に休んだ場合、
日曜日の所定休日労働という事実は変わらず、
他の曜日が「休日」になることも永遠にありません。

次に
週に1回の休日が確保できず、
4週4日を適用しなければならない場合を考えてみます。

結果として、
4週4日以上の休日が確保できた場合は、
35条違反ではありませんが、
法定休日は確定できませんし、
実務上確定する必要もありません。

結果として、
4週4日ピッタリの休日が確保できた場合は、
過不足がないため法定休日は確定できます。
ただし、
4週の起算日を規定していない場合は、
35条違反ではありませんが、
法定休日は確定できないのではないかと考えます。

最後に
結果として、
4週4日の休日が確保できなかった場合は、
週1回の原則が適用されることになります。
この場合、
4週の起算日の明示の有無にかかわらず、

・日曜日を休んでいる週は、日曜日が法定休日

・日曜日を振替えることなく労働した場合、日曜日の法定休日労働が確定

・日曜日の休日を他の曜日に振替えて労働し、予定通りその日に休んだ場合、
その日が法定休日になる。

 

 

この場合、
法定と同数の休日を規定していますが、
具体的に何曜日かは明確でないため、
労働契約時・事前には、
法定休日を確定できません。

週1回の休日が法の原則であることを考慮すると、
その週の最初の休日が法定休日となります。

その週の日〜木曜日がすべて出勤の場合、
木曜日の24時までに「金曜日は休日」と明示されないことをもって、
土曜日の法定休日が確定となります。

振替える場合は、
4週の起算日を明確に規定しており、
実態として4週4日以上の休日があれば、
1賃金支払期内で土曜日の法定休日の振替えが可能です。

次に
週に1回の休日が確保できず、
4週4日を適用しなければならない場合を考えてみます。

結果として、
4週4日以上の休日が確保できた場合は、
35条違反ではありませんが、
法定休日は確定できませんし、
実務上確定する必要もありません。

結果として、
4週4日ピッタリの休日が確保できた場合は、
過不足がないため法定休日は確定できます。
ただし、
4週の起算日を規定していない場合は、
35条違反ではありませんが、
法定休日は確定できないのではないかと考えます。

最後に
結果として、
4週4日の休日が確保できなかった場合は、
週1回の原則が適用されることになります。
この場合、
4週の起算日の明示の有無にかかわらず、

・休日がある週は、その最初の日が法定休日

・休日がない週は、土曜日が法定休日(※判例を考慮すると日曜日の可能性も残る。)

 

 

この場合、
法定と同数の休日を規定していますが、
具体的に何週目の何曜日かはまったく不明であり、
労働契約時・事前には、
法定休日を確定できません。

4週4日以上の休日が確保できた場合は、
35条違反ではありませんが、
法定休日は確定できませんし、
実務上確定する必要もありません。

結果として、
4週4日ピッタリの休日が確保できた場合は、
過不足がないため法定休日は確定できます。
ただし、
4週の起算日を規定していない場合は、
35条違反ではありませんが、
法定休日は確定できないのではないかと考えます。

最後に
結果として、
4週4日の休日が確保できなかった場合は、
週1回の原則が適用されることになります。
この場合、
4週の起算日の明示の有無にかかわらず、

・休日がある週は、その最初の日が法定休日

・休日がない週は、土曜日が法定休日(※判例を考慮すると日曜日の可能性も残る。)

 

 

基本事項でも記述したように、
本来、休日は、
労働基準法第15条の明示すべき労働条件の1つであり、
15条に反して休日について明示しなかった場合は、
労働基準法第13条の最低基準効が発動し、
毎週1回の休日または4週間に4日の休日を与えるという
労働契約が締結されたことになります。

ということは、
パターンDと同じ労働契約ということになり、
休日の取扱いも、Dのそれと同じとなります。



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