企業の新型コロナウィルスを含む感染症対応について

考えをまとめたので、公開します。


ただし、

令和2年2月13日現在の法令に基づいて記述
しているため、

政令等の改正があった場合は、対応が変わっている可能性

があるので、ご注意ください。



※厚生労働省がホームページにて、

「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」

を公表していますので、こちらも参照してみてください。





【新型コロナウィルスの法的位置づけ】

【社員が新型コロナウィルスに感染したら?】

【社員が、季節性のインフルエンザに感染したら?】

【感染症が疑われる社員がいる場合は?】

【感染症の家族がいる社員がいる場合は?】

【休業期間中の給料は支払うべきか?】

【インフルエンザで、健康保険の傷病手当金は支給される?】

【感染症で休業したら、年休取得をさせられるか?】





新型コロナウィルスの法的位置づけ】

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に

関する法律(以降、感染症法と略。)」では、

感染症を以下の8つに分類しています。

・一類感染症(エボラ出血熱など。非常に危険!)
・二類感染症(結核など)
・三類感染症(コレラなど)
・四類感染症(狂犬病など)
・五類感染症(インフルエンザなど。それほど危険でない。)
・新型インフルエンザ等感染症
・指定感染症
・新感染症

これらの感染症のうち、一類〜三類感染症および

新型インフルエンザ等感染症の患者と無症状でも

病原体を保有している者については、感染症の種類

によって、都道府県知事の命により、以下の業務に

限って、その病原体を保有しなくなるまで、または

その症状が消失するまでの期間、就業が禁止されます。


1.飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物
に直接接触する業務

2.他者の身体に直接接触する業務

3.接客業その他の多数の者に接触する業務

 

今回の新型コロナウィルスは、2月7日に指定感染症に

指定され、上記の3種の業務のうち、1.と3.の業務

に”限って”就業制限の規定を準用するとされました。


 

 

【社員が新型コロナウィルスに感染したら?】

上記によれば、新型コロナウィルスの患者であっても、

飲食物関係と接客業を除いて、都道府県知事であっても

就業禁止を強制できないことになります。

したがって、社員が新型コロナウィルスに感染した場合、

企業は独自に対応を決定する必要があることになります。

 

労働安全衛生法では、以下に該当する社員がいる場合、

企業は産業医その他専門の医師の意見をきいたうえで、

その就業を禁止しなければならないと規定しています。


1.病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者

2.心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が
著しく増悪するおそれのあるものにかかつた者

3.前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定める
ものにかかつた者

「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病」とは、

「病毒伝ぱのおそれのある結核(二類感染症)、梅毒、

淋疾、トラコーマ、流行性角膜炎およびこれに準ずる

伝染性疾患」であると例示されています。

ただし、これは「昭和47年9月18日・基発第601号の1」

という40年以上前に出された古い通達によるので、最近

の感染症は当然記載されているはずがありません。

 

「新型コロナウィルス=病毒伝ぱのおそれのある伝染性

の疾病」と断言できる明確な法的根拠はありませんが、

一類〜三類感染症や新型インフルエンザ等感染症等の

危険な感染症に相当する感染症として取り扱われている

事実を考慮すると、企業はその社員の就業を禁止すべき

でしょう。


 

 

【社員が、季節性のインフルエンザに感染したら?】

季節性のインフルエンザは、五類感染症に指定されて

おり、一類〜三類感染症や新型インフルエンザ等感染症

と比べれば、それほど危険でない感染症になります。

「季節性のインフルエンザは、病毒伝ぱのおそれのある

伝染性の疾病ではない。」とするネット記事を見掛け

ますが、明確な法的根拠はカラカマの知る限りありません。

・企業には、社員全員の安全と健康を確保する義務
があること(労働安全衛生法第3条)。

・インフルエンザであれば、診察した医師が「発熱
から一定期間は労務不能。」と診断するのが通常
であること。

・本来、社員は良い体調で業務に臨むべきである
こと(いわゆる債務の本旨に従った履行の提供)。

を考慮するならば、季節性のインフルエンザでも、

企業はその社員の就業を禁止すべきと考えます。

 

出社禁止期間について悩むことがありますが。

学校保健安全法では、季節性のインフルエンザの場合、

生徒の出席停止期間を「発症した日の翌日から5日を

経過し、かつ、解熱した日の翌日から2日を経過する

まで。」と規定しているので参考になると思います。


 

 

【感染症が疑われる社員がいる場合は?】

上記の取り扱いは、感染症にり患していることが確定

している場合なので、感染症”かもしれない”段階では、

適用することができません。

医師でもない管理者等が「あなたは、感染症に罹って

いる!」と軽はずみに判断してはなりませんが、

少なくとも、高熱があり、絶え間なくせきをしており、

とても仕事ができるような体調とは思えない場合は、

企業は、社員の健康保持義務の履行の一環として、

当該社員を早退させ、医師の診察を受けることを

勧奨すべきです。


 

 

【感染症の家族がいる社員がいる場合は?】

さすがに、社員当人が感染していないのであれば、

出社禁止の措置は、やり過ぎだと考えます。

ただし、濃厚接触者ではあるので、勤務中はマスクを

着用してもらう等の措置は対応すべきでしょう。


 

 

【休業期間中の給料は支払うべきか?】

カラカマは、以下のように考えます。

1.感染症法で就業規制の対象となる飲食物関係や
接客業等の業務に従事する社員が、一類〜三類
感染症や新型インフルエンザ等感染症(新型コロ
ナウィルス含む)に感染したため休業させた場合

⇒絶対(99.99%)支払い不要


2.感染症法で就業規制の対象とならない業務に従事
する社員が、一類〜三類感染症や新型インフルエンザ
等感染症(新型コロナウィルス含む)に感染したため
休業させた場合

⇒ほぼ間違いなく(99%)支払い不要


3.季節性インフルエンザに感染し、医師が労務不能の
診断をした期間中に限り休業させた場合

⇒ほぼ間違いなく(90%)支払い不要


4.季節性インフルエンザに感染し、医師が労務不能の
診断をした期間を超えて、休業させた場合

⇒事例にもよるが、たぶん休業手当の支払いが必要

※休業手当とは、使用者の責に帰すべき事由による休業
の場合に支払う平均賃金の6割以上の手当のこと。


新型コロナウィルスであれば、1.または2.に該当

するので、その病原体を保有しなくなるまで、または

その症状が消失するまでを休業期間とするのであれば、

企業には休業期間中の給料の支払い義務はないでしょう。


 

 

【インフルエンザで、健康保険の傷病手当金は支給される?】

企業には休業期間中の給料の支払い義務がないとしても、

「休業期間中は給料なし。」では、社員の生活が不安定

になってしまう恐れがあります。

新型コロナウィルスはもちろんのこと、インフルエンザ

でも、労務不能であり、待機期間の連続3日間以上休業

すれば、4日目以降は、健康保険の傷病手当金は支給

されます。

ただし、医師が労務不能の診断をした期間を超えて、

休業させた場合は、支給されないときがありますので、

ご注意ください。

解熱後も感染予防のために休業させた・した場合は、

その期間も含めて、医師に労務不能の意見書を書いて

もらうとよいでしょう。

また、就業時間中に具合がよくなくなり、労務不能と

なった場合、待機期間はその日から起算されるので、

具合のよくない社員は、通院することを条件に有給で

早退させると、早期に傷病手当金が受給できるでしょう。


 

 

【感染症で休業したら、年休取得をさせられるか?】

いわゆる「使用者の時季指定による年5日間の年休取

得義務」を活用すれば、可能であると考えます。

使用者の時季指定は、「労働者ごとにその時季を定める

ことにより与えなければならない。」と規定されており、

あらかじめ日にちまでを特定することまでは要求されて

いません。

以下の手順を踏んでいれば、感染症での休業=年休取得

というルールを規定しても、社員に不利益がなければ、

許容範囲だと考えます。

・社員の意見を聴取。

・感染症での休業した日は、会社の時季指定により
年休を取得させる旨を周知。

・社員自身の時季指定による年休取得が5日以上
となっても、会社の時季指定は取り消さない。

・傷病手当金が支給される日は、対象外とするが、
社員自身の時季指定による年休取得を妨げない。


※会社指定による年休取得は、今後付与される年休

については有効と考えますが、新型コロナウィルス対策

として、すでに付与されている年休に対して急きょ適用

するのは問題ありだと考えられるので、おススメいたしません。

 

年休による給与と傷病手当金を上手に活用することが

できれば、社員も安心して療養に専念できるのでは

ないでしょうか?




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