社会保険料は、いつからいつまで負担するのでしょうか?


法律には以下のとおり規定されており、
健康保険と厚生年金保険で表現は異なりますが、

原則として、
保険者資格を取得した日が属する月から資格喪失日の属する月の前月まで
社会保険料を負担することになります。


●健康保険法第156条

1 被保険者に関する保険料額は、各月につき、
  次の各号に掲げる被保険者の区分に応じ、
  当該各号に定める額とする。

(中略)

3 前二項の規定にかかわらず、
  前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、
  その月分の保険料は、算定しない。


●厚生年金保険法第81条

1 政府は、
  厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含む。)に充てるため、
  保険料を徴収する。


2 保険料は、
  被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、
  徴収するものとする。


●厚生年金保険法第19条

1 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、
  被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月まで
  をこれに算入する。


2 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、
  その月を一箇月として被保険者期間に算入する。

  ただし、
  その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者
  (国民年金法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者を除く。)
  の資格を取得したときは、この限りでない。


3 被保険者の資格を喪失した後、更にその資格を取得した者については、
  前後の被保険者期間を合算する。


4 前三項の規定は、被保険者の種別ごとに適用する。


5 同一の月において被保険者の種別に変更があつたときは、
  前項の規定により適用するものとされた第二項の規定にかかわらず、
  
  その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であつた月
   (二回以上にわたり被保険者の種別に変更があつたときは、
  最後の被保険者の種別の被保険者であつた月)とみなす。




保険料は月を単位として算定します。

したがって、
月末近くに被保険者資格を取得した場合、
その月の被保険者期間は数日しかありませんが、
社会保険料は日割り計算しないのでまるまる1月分を徴収されてしまいます。

なお、
同一月内において取得喪失が複数回あった場合は、
健康保険では、
以下の通知のとおり2か月分以上の保険料を負担することがあります。



一方、
厚生年金保険では、
その月における最後の被保険者資格によることとなり、
保険料負担は必ず1月分のみとなります。

ということは、
入社した正社員がその月のうちに退職した場合、
会社は社会保険料を1月分負担しますが、
もしその従業員がその月のうちに他社に再入社したときは、
厚生年金に係る保険料は負担しなくてよいことになります。

また、
平成27年10月からは、
退職した従業員がその月のうちに国民年金に加入した場合も
負担しなくてよいことになりました。

実務上は、
管轄の年金事務所から通知が届き、通知書に同封されている「還付請求書」を提出すると、
翌月以降に納付することとなる社会保険料と相殺することによって
還付を受けることになります。

ここで注意しなければならないのは、
会社負担分だけでなく退職した従業員本人が負担した分も
会社に還付されるということです。

法律上、
社会保険料の納付義務者は会社である為、
年金事務所から直接元従業員本人に還付することはできない
ことになっているからです。

実務上、非常に煩雑ですが、
元従業員分の社会保険料も会社が負担しているのでない限り、
還付金は元従業員に返還する必要があります。


●健康保険法の解釈と運用
(P1086)


同一月内において資格の得喪二回以上に及ぶ場合は、
一ヶ月につき二ヶ月以上の保険料を負担することがある。(昭和19年6月6日保発第363号)




賞与は支払いの都度、報酬と同様に
保険者資格取得月から資格喪失月の前月まで算定されます。

それでは、
退職日の直前に賞与の支払いがあったり、
定年等により退職するが継続再雇用された(いわゆる同日得喪)直後に、
退職前の事由による賞与が支給されたりした場合等はどのように扱えばよいのでしょうか?

この問題について多数の疑義照会回答がなされています。


●定年後再雇用の賞与の保険料について
(平成21年10月23日 疑義照会(回答)No.090723-210)


【疑義内容】

6月30日:定年退職
7月1日:再雇用(被保険者資格喪失・再取得)
7月8日:賞与支給


【日本年金機構本部回答】

お尋ねの事例において、
再雇用後に支給された賞与については、
当然に保険料が賦課されるべきものと解される。


●特別支給の老齢厚生年金受給権者が、月の途中で定年退職・再雇用された日以前の同月内に賞与が支払われた場合について
(平成22年10月26日 疑義照会(回答)No.2010-402)


●退職後継続再雇用日に支給された賞与について
(平成22年12月1日 疑義照会(回答)No.2010-1142)

【疑義内容1】
12月15日:賞与支給
12月24日:定年退職
12月25日:再雇用(被保険者資格喪失・再取得)

【疑義内容2】
7月10日:定年退職
7月11日:再雇用(被保険者資格喪失・再取得)
7月11日:賞与支給


【日本年金機構本部回答】

継続再雇用による資格喪失日前の同月に賞与が支給された場合については、
当該賞与に係る保険料は徴収されず、
年金給付額にも反映されません。

なお、
継続再雇用による資格取得日以後の同月に賞与が支給された場合については、
当該賞与に係る保険料を徴収し、
年金給付額に反映されることとなります。

⇒事例1は、保険料を徴収されない。事例2は、保険料を徴収される。


●再取得後に支払われた賞与にかかる賞与支払届について
(平成22年9月1日 疑義照会(回答)No.2010-731)

【疑義内容:資格喪失後、期間が空いて同一事業所で再取得した後に資格取得前の勤務実績にかかる賞与が支払われた場合】

6月1日:資格喪失
7月1日:再取得
7月10日:賞与支払(計算の対象期間:1月1日から5月31日まで)


【日本年金機構本部回答】

被保険者期間中に支給された賞与であれば、
その賞与が被保険者期間中の勤務実績により計算されたものであるか否かにかかわらず保険料賦課の対象となります。




同日得喪前後の賞与についての疑義照会をまとめると、
下表のとおりとなります。

         得喪日
賞与支払い日

1日

月の途中

月末

得喪日前

賦課される

賦課されない

賦課されない

得喪日以後

賦課される

賦課される

賦課される






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