健康保険法では赤の他人を被扶養者とすることはできません。

そもそも、
なぜ健康保険では家族を被扶養者として扱い、
保険給付を実施しているのでしょうか?


それは、
「家族が病気や怪我になってしまった場合、
従業員(被保険者)は家族の病気が気になって、仕事に集中できないでしょう。
それでは会社としては生産性がさがってしまい困ってしまいます。
そうであれば、
従業員の方が扶養している家族は被扶養者として扱い健康保険で医療を提供するので、
従業員の方は安心して仕事に集中してください。」
という考え方からだと思われます。


健康保険では被扶養者の人数が何人であろうと、
被保険者が負担する社会保険料は1円足りとも変わりません。

受ける医療行為も、
国民健康保険と同等の医療を受けることができます。


また、
配偶者を被扶配偶者とすることができれば、国民年金の第3号被保険者と扱われ、
配偶者自身の国民年金保険料負担がなくなるにもかかわらず、
保険料を納付したものと扱われます。

この場合も、
被保険者が負担する社会保険料は1円足りとも変わりません。


以上のように、
配偶者や子供等の家族を被扶養者にすることは、
被保険者である従業員にとって非常に大きなメリットだと考えられます。

事業所としては被扶養者が多いとそれだけ事務処理が煩雑になりますが、
従業員の生活が安定し、結果として生産性が高まることが期待できるので
必要経費だと考えるべきでしょう。



健康保険法では、被扶養者を以下のとおり定義しています。


●健康保険法第3条

7 この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者をいう。
  ただし、
  後期高齢者医療の被保険者等である者は、この限りでない。

一 被保険者の直系尊属、
  配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)、
  子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの


二 被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、
  その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの


三 被保険者の配偶者で届出をしていないが
  事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、
  その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの


四 前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、
  引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの




また、
国民年金法では、
被扶養配偶者について以下のとおり定義しています。


国民年金法第7条

次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。

一 省略


二 厚生年金保険の被保険者(以下「第二号被保険者」という。)


三 第二号被保険者の配偶者であって主として第二号被保険者の収入により生計を維持するもの
  (第二号被保険者である者を除く。以下「被扶養配偶者」という。)のうち
  20歳以上60歳未満のもの(以下「第三号被保険者」という。)


2 前項第三号の規定の適用上、
  主として第二号被保険者の収入により生計を維持することの認定に関し必要な事項は、
  政令で定める。


国民年金法施行令第4条

法第七条第二項に規定する
主として第二号被保険者の収入により生計を維持することの認定は、

健康保険法、国家公務員共済組合法、
地方公務員等共済組合法及び私立学校教職員共済法における
被扶養者の認定の取扱いを勘案して日本年金機構が行う。




国民年金法の被扶養配偶者の認定は、
事実上、
健康保険の被扶養者の認定と同義であると考えられます。

被扶養者の認定日は、
扶養の事実が発生した日であり、被扶養者に該当しなくた日も事実発生日となります
(死亡の場合のみ、死亡した日の翌日(疑義照会回答No.通番148))。



家族等を被扶養者にするためには、
大きく分けて3つの条件があります。

すなわち、
被保険者との@親族関係、A生計維持関係、B同一世帯要件の3つであり、
年齢制限はありません。


●被扶養者の範囲等について
(昭和24年8月9日 保文発第1444号)

被扶養者となるためには何等の年齢的制限はないが、
一定の資産及び勤労の収入がある者については、
その生計費の大部分がこれらの収入に依存しているかどうかによって判定すべきである。




次章から、
この3つの条件を詳細に検討していきます。



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