疑義照会回答とは、
日本年金機構における業務に際して、
法令、諸規程等の解釈または取扱方法が不明確である場合に、
年金事務所等から機構本部に対して問い合わせを行うことをいい、

その個別具体的な事例に対して
日本年金機構本部が回答したものが「疑義照会(回答)票」です。


日本年金機構本部でも回答が困難な疑義照会については、
厚生労働省年金局が回答を出しており、
事実上、行政の法律解釈といえます。

これらの疑義照会のうち、
他の実務担当者にも参考となる事例については、
様々な方法で公開されています。


日本年金機構職員に対しては、
業務処理マニュアルにおいて事務処理案件別に参考とすべき疑義照会回答を列記し、
周知しています。

社会保険労務士に対して周知する必要がある疑義照会回答票については、
全国社会保険労務士会連合会に通知されます
(実際に連合会に通知されるのは、ごくまれです。)。

さらに、
国民全体に公開すべき疑義照会回答票については、
日本年金機構のホームページに掲載されています。


業務処理マニュアルは、
年金事務所などの機構の職員が
業務処理をする際に参照するマニュアルです。

年金事務所等に提出された社会保険の各届出について、
届出の法的根拠・趣旨、
届出に関する質問に対する回答例、
提出された書類のチェック項目等が記載されています。

そして、
各届出に関連する通知および疑義照会回答票が列記されており、
参照できるようになっています。

しかし、
年金事務所の職員は日々の業務に追われており、
疑義照会回答を読み、理解する時間がなかなかないのではないでしょうか。


疑義照会回答は、
あくまで行政内部での個別の疑義照会に対する回答であるため、
法的根拠という意味では法律や施行令(政令)、施行規則(省令)と比較すると、
良くも悪くも行政解釈でしかなく、根拠としては弱いもとなります。

しかし、
業務処理マニュアルに記載されている疑義照会回答が
日本年金 機構本部または厚生労働省の法律解釈である以上、
これらに則った事務処理をすべきです。

自分が疑義照会回答を知らずに間違った書類を提出したとしても、
年金事務所の職員が間違いを指摘してくれるから大丈夫
などと思ってはいけません。

なぜなら、
多忙な年金事務所の職員が
疑義照会回答を漏れなく正しく理解しているとは限らないからです。

そもそも、
専門家である社会保険労務士や企業の社会保険担当者は、
年金事務所の職員を頼るような他力本願ではなく、
プロ意識を持って自ら進んで疑義照会回答を理解すべきではないでしょうか?


疑義照会回答の内容は、
実務的な個別具体的な問題に対して回答しているものが多く、
年金事務所の職員だけでなく社労士や企業の社会保険担当者などの実務家にとっても、
とても参考となるものです。

しかし、
ホームページに掲載されていない疑義照会回答は、
一般に公開されておらず、
社労士でも連合会に通知されない限り見ることができません。

なぜ
一民間人である私が疑義照会回答を見ることができたのかというと、
日本年金機構に対し「法人文書開示請求」をし、
疑義照会回答を開示してもらったからなのです。


法人文書開示請求とは、
「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)」
および関係諸規程に基づき、
行政法人等に開示請求をすることをいい、

特殊法人である日本年金機構に、
内部文書を開示するよう求める行為も
法人文書開示請求に当たります。


不開示情報(個人に関する情報で特定の個人を識別できるものや
公にすることのより法人等の正当な利益を害するおそれがあるもの等)
に該当する部分を除いて開示しなければならないことになっています。

法人文書開示請求書を
日本年金機構本部に郵送すると、
本部から開示決定通知書が送付されてきます。

開示の申出書を提出すると
請求した文書が送付されてきます
(開示請求は年金事務所を窓口として行うこともできます。)。


私の場合、
日本年金機構本部に開示請求して
開示されるまで約2か月かかりました。

なお、
開示請求には費用が掛かります
(開示文書1件につき最低でも300円)。


ちなみに、
厚生労働省に開示請求する場合は、
「行政文書開示請求」となります。


疑義照会回答は、
もともと個別の事例に対する回答であるため、
必ずしも関連のある疑義照会回答が体系的にまとめられているわけではありません。

したがって、
疑義照会回答を有効に活用するためには、
それぞれの疑義照会回答を個別に検討するのではなく、
相関連すると思われる疑義照会回答を漏れなく俯瞰的に検討し、
それぞれの疑義照会回答と矛盾しないような総合的解釈を見出す必要があります。

また、
疑義照会回答は、
一度出された回答が訂正されたり、
業務処理マニュアルの一覧から削除されたりすることが考えられます。

しかし、
疑義照会回答や業務処理マニュアルは公開された文書ではないため、
訂正や削除の情報も当然公開されません。

私を含め民間人が最新の情報を知るためには、
その都度開示請求をして取り寄せるしかありません。

常に最新の情報を把握することは実務上困難であるため、
疑義照会回答を参考にする際には、
取扱いに注意する必要があります。



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