保険者算定は、
健康保険法第44条および厚生年金保険法第24条
に規定されています。


健康保険法第44条

保険者等は、被保険者の報酬月額が、
第41条第1項(以下、定時決定)、
第42条第1項(以下、資格取得時決定)、
第43条の2第1項(以下、育児休業時改定)もしくは
前条第1項(以下、産前産後休業時改定)
の規定によって算定することが困難であるとき、

または
定時決定、資格取得時決定、
第43条第1項(以下、随時改定)、
育児休業時改定もしくは産前産後休業時改定
の規定によって算定した額が著しく不当であると認めるときは、
これらの規定にかかわらず、
その算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。


@「算定することが困難であるとき」とは?


A「算定した額が著しく不当であると認めるとき」とは

B「4、5、6月の3ヶ月間に3月分以前の給料の遅配分を受け、
 または、さかのぼった昇給によって数月分の差額を一括して受けた場合」について


C「4、5、6月のいずれかの月において低額の休職給を受けた場合」について


D「4、5、6月のいずれかの月においてストライキによる賃金カットがあった場合」について


E「4、5、6月3ヶ月間の平均報酬月額と、6月以前1年間の平均報酬月額の間に標準報酬月額で
 二等級以上の差を生じた場合であって、業務の性質上例年発生することが見込まれる場合」について


F「昇給および降給が遡及したため、それに伴う差額支給によって報酬月額に変動が生じた場合」について


G「算定月額から算出した標準報酬月額による等級と、昇給・降給月以後の継続した3か月の間に受けた固定的賃金の月平均額に昇給・降給月前の継続した9か月及び昇給・降給月以後の継続した3か月の間に受けた非固定的賃金の月平均額を加えた額から算出した標準報酬月額による等級の間に2等級以上の差を生じた場合であって、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合」について


H原則以外の保険者算定について








●健康保険法の解釈と運用
(P362)


たとえば、
4月、5月、6月の3月とも
報酬支払基礎日数が20日(現行17日)未満のとき等である。




平成28年10月の短時間労働者の適用拡大対象者、
いわゆる5要件を満たし被保険者資格を取得した者については、
3月とも報酬支払基礎日数が11日未満の場合、
保険者算定となります。

また、
明確な根拠は不明ですが、日本年金機構のホームページには、
「病気欠勤等によって4月、5月、6月に報酬を全く受けない場合」
も「算定することが困難であるとき」に該当するとされています。

いずれの場合でも、
保険者算定により従前の標準報酬月額にて決定されます。








以下の通知が原則的な取り扱いとなっています。


●健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて(局長通達)
 (昭和36年1月26日 保発第4号)

1 定時決定
標準報酬月額の定時決定に際し、
健康保険法第44条第1項または厚生年金保険法第24条第1項の規定により、
保険者において算定する場合は、
定時決定の規定により算定することが困難である場合を除き、
次に掲げる場合とすること。

(1) 4、5、6月の3ヶ月間において、
  3月分以前の給料の遅配分を受け、
  または、
  さかのぼった昇給によって数月分の差額を一括して受ける等
  通常受けるべき報酬(臨時に受けるものおよび3月を超える期間ごとに受けるもの以外の報酬)
  以外の報酬を当該期間において受けた場合

(2) 4、5、6月のいずれかの月において低額の休職給を受けた場合

(3) 4、5、6月のいずれかの月においてストライキによる賃金カットがあった場合

(4) 当年の4、5、6月3ヶ月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額と、
  前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額の間に
  二等級以上の差を生じた場合であって、
  当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合



2 随時改定※平成30年3月1日改正後の通達文
(4)標準報酬月額の随時改定に際し、
保険者が健康保険法第44条第1項又は厚生年金保険法第24条第1項に規定する算定
(以下「保険者算定」という。)を行う場合は、次の各項のいずれかに該当する場合とし、
保険者が算定する報酬月額は、それぞれ当該各項に定める報酬月額とすること。

ア昇給及び降給が遡及したため、
それに伴う差額支給によって報酬月額に変動が生じた場合
⇒随時改定されるべき月以降において受けるべき報酬月額


イ算定月額から算出した標準報酬月額による等級と、
昇給月以後の継続した3か月の間に受けた固定的賃金の月平均額に
昇給月前の継続した9か月及び昇給月以後の継続した3か月の間に受けた
非固定的賃金の月平均額を加えた額(以下「昇給時の年間平均額」という。)
から算出した標準報酬月額による等級の間に2等級以上の差を生じた場合であって、
当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合
⇒昇給時の年間平均額から算出した報酬月額

ウ算定月額から算出した標準報酬月額による等級と、
降給月以後の継続した3か月の間に受けた固定的賃金の月平均額に
降給月前の継続した9か月及び降給月以後の継続した3か月の間に受けた
非固定的賃金の月平均額を加えた額(以下「降給時の年間平均額」という。)
から算出した標準報酬月額による等級の間に2等級以上の差を生じた場合であって、
当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合
⇒降給時の年間平均額から算出した報酬月額


(5)(4)イ又はウによる保険者算定を行う場合は、 (1)アにかかわらず、
(4)イ又はウにより算出した標準報酬月額による等級と
現在の等級との間に1等級以上の差を生じた場合は、
随時改定を行うこと。

ただし、
(4)イによる保険者算定を行う場合であって、
昇給時の年間平均額から算出した標準報酬月額による等級が
現在の等級と同等級又は下回る場合は、現在の等級のままとし、
随時改定は行わないこと。

また、
(4)ウによる保険者算定を行う場合であって、
降給時の年間平均額から算出した標準報酬月額による等級が
現在の等級と同等級又は上回る場合は、現在の等級のままとし、
随時改定は行わないこと。


●健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬の定時決定及び随時改定の取扱いについて(課長通達)
(昭和36年1月26日 保険発第7号)

1 定時決定関係

(1) 標準報酬の定時決定に際し、
  報酬月額を保険者において算定するのは、
  「局長通達」1に掲げる場合のみとし、
  これ以外の場合は原則として行なわないものとすること。


(2) 保険者において算定する報酬月額は、
  4、5、6月のすべてについて、局長通達1の(2)または(3)に該当する場合においては
  従来の報酬月額(等級)、
  
  (4)に該当する場合においては
  前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した報酬月額(等級)、
  
  その他の場合においては
  9月以降において受けるべき報酬月額によること。




以上のように、
保険者算定は原則として、
下表の事例において行われます。

 

事例

算定される報酬月額

定時決定

4月、5月、6月の3月とも報酬支払基礎日数が17日未満 従前の標準報酬月額
病気欠勤等によって4月、5月、6月に報酬を全く受けない場合 従前の標準報酬月額

4、5、6月の3ヶ月間に3月分以前の給料の遅配分を受け、または、さかのぼった昇給によって数月分の差額を一括して受けた場合

9月以降において受けるべき報酬月額
⇒3月以前の昇給差額分(または遅滞分)を除いた報酬月額の総計から報酬月額を算定

4、5、6月のいずれかの月において低額の休職給を受けた場合

9月以降において受けるべき報酬月額
⇒休職給を受けた月以外の月を対象月として算定

4、5、6月のすべての月において低額の休職給を受けた場合

従前の報酬月額

4、5、6月のいずれかの月においてストライキによる賃金カットがあった場合

9月以降において受けるべき報酬月額
⇒賃金カットを受けた月以外の月を対象月として算定

4、5、6月のすべての月においてストライキによる賃金カットがあった場合

従来の報酬月額

4、5、6月3ヶ月間の平均報酬月額と、6月以前1年間の平均報酬月額の間に標準報酬月額で二等級以上の差を生じた場合であって、業務の性質上例年発生することが見込まれる場合

前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した報酬月額

随時改定

昇給および降給が遡及したため、それに伴う差額支給によって報酬月額に変動が生じた場合 随時改定されるべき月以降において受けるべき報酬月額
⇒実際に昇給した報酬が支払われた月を起算月とし、随時改定されるべき月以降において本来受けるべき報酬月額により改定

算定月額から算出した標準報酬月額による等級と、 昇給・降給月以後の継続した3か月の間に受けた固定的賃金の月平均額に昇給・降給月前の継続した9か月及び昇給月以後の継続した3か月の間に受けた 非固定的賃金の月平均額を加えた額から算出した標準報酬月額による等級の間に2等級以上の差を生じた場合であって、 当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合

昇級または降給時の年間平均額から算出した報酬月額
⇒詳細はこちら









労働基準法では、賃金の遅配は違法とされていますが、
現実には資金繰り等の理由により
給料を遅れて支払わざるを得ない場合もあります。

また、
従業員が著しい業績を上げた場合等でさかのぼって昇格させたときは、
その昇給による差額を一括で支給する場合があります。

この場合、
本来受けるべき報酬月額と異なる報酬が支払われるわけですが、
この異常な報酬額をそのまま定時決定の算定の基礎とすると
不合理な標準報酬月額になる恐れがあります。

これを回避するために、
4、5、6月に給料の遅配やさかのぼり昇給があった場合は、
定時決定による標準報酬月額に基づき保険料を徴収される
9月以降において受けるべき報酬月額により算定する規定です。

「9月以降において受けるべき報酬月額」とは、
4、5、6月のうち3月分以前の給料の遅配分、遡り昇給の差額分を受けなかった
1ヶ月ないし2ヶ月に受けた報酬額の実績により推定するものであり、
通常の場合は、
当該1ヶ月ないし2ヶ月の実績を用いて算定することになります。

局長通達では、
さかのぼり昇給とされ、
さかのぼり降給については明言していませんが、
降給の場合も保険者算定として差し支えないとされています。
(厚年指2011-174問4)


以下の通知があります。


●健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬の定時決定及び随時改定の取扱いについて
 (昭和37年6月28日 保険発第71号)


1 定時決定の保険者算定について

【疑義3】

4、5、6月の3ヶ月間において3月分以前の給料の遅配分を受けたときは、
局長通達の1の(1)により定時決定の保険者算定が行なわれるが、
4、5、6月の全部またはいずれかの月の給与の一部の支払が遅配となり
7月以降に支払われることとなったような場合保険者算定にして差し支えないか。


【回答】

定時決定に際し保険者において算定する場合として取り扱って差し支えない。
なお、この場合、
保険者において算定する報酬月額は
課長通達1の(2)の「その他の場合」の取扱いと同様とすること。



【疑義2】

課長通達1の(2)にいう
「9月以降において受けるべき報酬月額」とは、
具体的にはどのように算定すればよいか。

【回答】

9月以降において受けるべき報酬月額は、
定時決定時現在における可能な範囲の推定額、すなわち、
4、5、6月のうち3月分以前の給料の遅配分、遡り昇給の差額分
もしくは低額の休職給の支給されなかった、
またはストライキによる賃金カットを受けなかった
1ヶ月ないし2ヶ月に受けた報酬額の実績により推定するものであり、

通常の場合は、
当該1ヶ月ないし2ヶ月の実績を用いて算定することとなる。



【疑義7】

次の設例の場合、
定時決定に際しては、
保険者において算定する場合として取り扱い
9月以降において受けるべき報酬月額(標準報酬等級第18級月額3万円)
で決定して差し支えないか。

もし保険者算定を行なわないとすれば、
取得時においては標準報酬等級第18級で決定され、
定時決定においては、
報酬月額25,000円(6、7月の2ヶ月の報酬の算術平均額)、
標準報酬等級第16級で決定することになる。

(設例)
5月11日資格取得 月給3万円
5月分給与 2万円(20日分の日割計算)
6月分給与 3万円


【回答】

設例の場合、
お見込みのとおり標準報酬等級第18級3万円で決定して差し支えない。


上記【疑義7】は、
日給月給の場合ですが、
日給や時給者はどのような取り扱いとなるのでしょうか?

以下の疑義照会回答があります。


●算定基礎届で、日給・時給者の月の途中での資格取得の初月の取り扱いについて
(平成22年6月30日 疑義照会(回答)No.2010-714)


【疑義内容】

算定基礎届で、
途中入社など月の途中での資格取得者について、
「1ヶ月分の給与が支給されない場合」、 初月の取扱いは
「月給者で、初月を日割り計算する人は、17日以上であっても、初月は除き算定する。」、
「日割りしない人(1ヶ月分の給与支給)は算定に入れる。」
と言うことで、処理しています。

途中入社など月の途中での資格取得者については、
業務処理マニュアル等に明示はございませんが、上記の月給者の場合と同じく、
「日給. 時給者(パート・アルバイト等)の場合、初月17日以上であっても、
本来1ヶ月分として支給されるべき適正な金額では無いので、初月は除き算定する。」
と言うことで処理をしても、問題ないか?


【日本年金機構本部回答】

月の途中で資格を取得したものに対する保険者算定については、
昭和37年6月28日保険発71号の事例において回答されています。

この事例では月給者を例に回答していますが、
日給• 時給者においても1月の勤務期間が確保されていないため、
通常よりも低額の標準報酬月額で決定される場合があることは、
月給者および日給月給者と同様です。

このため日給• 時給者においても
保険者算定を行うことはできるとすることが妥当です。




給料の遅配、遡り昇給と似た事例として、
給料の締日(賃金計算期間)や支給日の変更をした場合があります。

給料の締日・支給日の変更の場合は、
以下の疑義照会のとおり取り扱うことになります。


●月給者の締日変更に係る算定基礎届の支払基礎日数及び報酬について
(平成22年7月7日 疑義照会(回答)No.2010-292)


【疑義内容】

適用事業所において月給者の締日変更があったとき、
算定基礎届の支払い基礎日数が31日以上になってしまうときの
取扱いについてどのようにするのか。

【事例】
変更前15日が当月25日払い
変更後末日が当月25日払い

5月支払分から変更となる場合

3月16日-4月15日4月25日払い(支払基礎日数31日)
4月16日-5月31日5月25日払い(支払基礎日数46日)
6月1日-6月30日6月25日払い(支払基礎日数30日)

(5月支払分に4月16日〜4月30日分の報酬が含まれている。)


【日本年金機構本部回答】 

厚生年金保険法第21条に規定する定時決定に際し、
通常の算定方法では実態とかけ離れた額となる場合において、
局長通達に該当する場合については、
保険者の決定によりその標準報酬月額を定める取扱いとしている。

また、
給与の締切日の変更により、
5月の支払基礎日数が当該月の歴日を超える日数となった場合においても、
局長通達1(1)と同様に考え、修正平均により決定する取扱いが妥当である。

したがって、
ご照会の事例については、
5月に支給される給与から4月16日〜4月30日までの分を控除した上で、
標準報酬月額を決定することとなる。


●定時決定の取扱いについて
(平成22年9月27日 疑義照会(回答)No.2010-244)


@給与計算日の締日変更により、
 支払い基礎日数が当該締日変更のあった月の暦日を超える日数となった場合は、
 修正平均により定時決定を行うこととなる。
  また、
 支払基礎日数17日未満となった場合には、
 当該月は除外して保険者算定することになる。

(参考疑義照会回答2010-2922010-391)


A給与計算日の締日変更により、
 本来受けるべき給与計算期間に基づく報酬を受けていない場合は、
 当該給与締日変更月を除いた報酬月額の実績に基づき
 保険者算定をすることが妥当である。

(参考疑義照会回答2010-308)


●月給者の給与計算の締日及び支払日両方に変更があった際の算定基礎届の支払基礎日数及び報酬について
(平成23年7月14日 疑義照会(回答)No.2011-299)


単月に通常の一の給与計算期間が確保されている期間と
確保されていない期間が混在していれば、
変更された給与の締日における期間であるか否かにかかわらず、
確保されていない期間分を控除して報酬月額を算定し、
標準報酬月額を決定します。




以上を表にまとめると
以下のとおりとなります。


【月の途中での資格取得や給料の締日・支給日変更時の定時決定の取り扱い】

月の途中での資格取得

1ヶ月分の給与が支給される場合

初月も算定に入れる。

1ヶ月分の給与が支給されない場合

初月は算定に入れない。

給料の締日・支給日変更

支払基礎日数が暦日を超える日数となった場合

修正平均により算定する。

支払基礎日数が17日未満となった場合

当該月は算定に入れない。

本来受けるべき給与計算期間に基づく報酬を受けていない場合

当該月は算定に入れない。









休職とは、
私傷病等の従業員側の理由により一定期間就業が困難な場合に
使用者が就労義務を免除することをいいます。

休職して働いていないわけですから、
会社は従業員に賃金を支払う義務はありません。

しかし、
会社の恩恵的な手当として、「休職手当」を支給する場合があります。

休職手当は、
通常労働時の賃金より低額であることがほとんどです。

4、5、6月に休職して休職手当を受けていた場合に
この休職手当額を算定の基礎として定時決定をしてしまうと、
不合理な標準報酬月額となってします恐れがあります。

これを回避するために、
4、5、6月に低額の休職給があった場合は、
3月間すべて休職給の場合は従来の報酬月額により、
1月ないし2月の場合は10月以降において受けるべき報酬月額
により算定する規定です。


以下の通知があります。


●健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬の定時決定及び随時改定の取扱いについて
 (昭和37年6月28日 保険発第71号)

1 定時決定の保険者算定について

【疑義1】
 4、5、6月のいずれかの月において低額の休職給を受けた場合、
局長通達1の(2)により定時決定の保険者算定を行なうものとされているが、
「低額の休職給」とはどの程度の休職給をさすものか、

例えば
休職期間中基本給は全額支給されるが、
諸手当が支給されないような休職給は、
低額の休職給に該当するか。


【回答】

局長通達にいう「低額の休職給」とは、
休職しなかつた場合に被保険者が通常受けるべき報酬の額
に比べて低額である報酬をさすものである。

なお、
休職給とは、
通常受ける報酬とは別個に休職という事由に対して
設定された給与として支給されるものをさし、

日、時間、稼高等稼働実績に比例して報酬が定められている場合において、
病気休業中稼働が減じたため給与が減じた場合におけるその給与は、
休職給に該当しない。


●「低額の休職給」の取り扱いについて
(平成22年3月30日 疑義照会(回答)No.2010-217)


【疑義内容】

平成20年8月2日より長期療養により欠勤しているものが、
長期療養による給与規定で次の@からBのとおり給与が支給されています。

@ 平成20年8月2日から平成20年11月1日までの間は、
  基準内給与(役付手当、職務手当含む)が支給されている。

A 平成20年11月2日から平成21年11月1日までの間は、
  役付手当、職務手当を除く基準内給与が支給されている。

B 平成21年11月2日から平成22年8月1日までの間は、
  健康保険法に定める標準報酬月額の100分の60が支給される。

どの時点から「低額の休職給」として取り扱うことが出来るかご教示ください。


【日本年金機構本部回答】 

昭和37年6月28日保険発第71号通知によれば、
「「低額の休職給」とは休職しなかった場合に
被保険者が通常受けるべき報酬の額に比べて低額である報酬をさすものである。」とされている。

事例の場合、
長期療養欠勤により役付手当、職務手当が除かれて支給されることになる
A平成20年11月2日からの給与が「低額の休職給」となる。


●「低額の休職給」の取り扱いについて
(平成22年10月18日 疑義照会(回答)No.2010-684)


受付No.2010-217では
「役付手当、職務手当が除かれて支給された時点で『低額の休職給』となる」
と回答されていますが、

下記事案について、
通勤手当が除かれて支給された場合でも「低額の休職給」とみなし、
平成21年9月の定時決定は従前の標準報酬月額で保険者決定となりますか?


【事例】

休業開始日:平成20年8月25日。休業理由:病気療養。
休職直前の給与: 295千円
(基本給235千円、通勤手当25千円、残業手当35千円)

平成20年9月からの給与: 235千円(基本給のみ、平成21年7月までは基本給のみを支給)
平成20年度定時決定時の標準報酬月額: 320千円、
平成21年4月5月6月の給与平均: 235千円

(通勤手当は、一月中に出勤があれば出勤日数に関係なく全額支給、
一日も出勤がない場合は無支給と規定されている。)


【日本年金機構本部回答】 

昭和37年6月28日保険発第71号より、
通勤手当は稼動実績に応じて定められている報酬のため、
休職給にはあたらないと判断し、
よって平成21年4月、5月、6月に支払われた給与平均で定時決定となる。








「ストライキ」とは、
労働者が賃上げ等の自身の主張を貫徹することを目的として、
使用者に対し団結して労働力の提供を拒否する争議行為をいいます。

この場合、
ストライキ期間中、従業員は当然働いていないため、
会社はストライキ期間に応じた賃金をカットすることができます。

4、5、6月にストライキを実施し、
賃金カットが行われた報酬額を算定の基礎として定時決定をしてしまうと、
不合理な標準報酬月額となってします恐れがあります。

これを回避するために、
4、5、6月にストライキによる賃金カットがあった場合は、
3月間すべての場合は従来の報酬月額により、
1月ないし2月の場合は9月以降において受けるべき報酬月額により算定する規定です。








3月は年度末、4月は年度初めであるため、
業種や職種によっては、業務が繁忙になり、
この期間だけ残業時間が多くなる場合があります。

4、5、6月の3ヶ月間の平均報酬月額と、
1年間の平均報酬月額に大きな差がある場合、
原則的な定時決定を行ってしまうと不合理な標準報酬月額となってしまう恐れがあります。

これを回避するために、
4、5、6月の3ヶ月間の報酬月額による標準報酬月額と、
1年間の平均報酬月額による標準報酬月額に2等級以上の差がある場合は、
前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した報酬月額
により算定することができる規定です。

原則的な保険者算定のうちこれだけは、
平成23年4月に新たに追加された特例であり、
他の特例が昭和36年に出されて以来、
実に50年ぶりの改正となります。


●「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正等に伴う事務処理等について
(平成23年3月31日 保保発0331第6号/年管管発0331第14号)


1.改正の趣旨
業務の性質上、
季節的に報酬が変動することにより、
通常の方法によって報酬月額の算定を行うことが著しく不当であると認められる場合について、
新たに保険者算定の対象とすること。


2.改正の概要
当年の4月、5月及び6月の3ヶ月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額と、
前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額
(報酬の支払の基礎日数となった日数が17日未満である月があるときは、その月は除く)
から算出した標準報酬月額の間に2等級以上の差を生じた場合であって、
この差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合について、
保険者算定の対象とすること。


3.保険者算定の申立手続について
(1) 今回新たに追加した事由に基づく保険者算定を申し立てるに当たっては、
  事業主は日本年金機構(事業所が健康保険組合の設立事業所である場合には
  当該健康保険組合。以下「保険者等」という。)に対して、
  その被保険者が保険者算定の要件に該当すると考えられる理由を記載した申立書を提出すること。

(2) (1)の申立書には、
  保険者算定を申し立てることに関する被保険者の同意書を添付させること。

(3) (1)の申立を行うに当たっては、
  保険者算定の要件に該当するものであることを保険者等が確認できるよう、
  事業主は前年7月から当年6月の被保険者の報酬額等を記載した書類を提出すること。

(4) (1)の申立を行う事業主は、
  その被保険者の報酬月額算定基礎届の備考欄に、その旨を附記して提出すること。


4.保険者等における留意点について
今回新たに追加した事由に基づく保険者算定についての事業主からの申立があった場合には、
保険者等は、その申立が要件に該当するものであること、
特にその被保険者の報酬月額の変動が、
業務の性質上例年見込まれるものであるかどうかを確認すること。


5.施行期日
この取扱いについては、平成23年4月1日から適用すること。


この保険者算定が追加されるまでの間、
年間平均で報酬月額を算定してよいか複数の疑義照会がされていましたが、
全て否認されて来ました。


●非固定的賃金の支払いに大きなばらつきがある場合について
(平成19年4月 疑義回答No.通番161)


【疑義内容】

非固定的賃金の支払いに大きなばらつきがある場合、
過去1年間(昨年の7月から今年の6月まで)の平均額と今年の4月・5月・6月の平均を比較して、
ある一定以上の格差(等級差)がある場合は、
過去1年間の平均額から算出した報酬月額を保険者算定の決定額として算定することは認められるか?


【回答】

保険者算定の取扱いについては、
昭和36年1月26日保発第4号厚生省保険局長からの通知により定めており、
また、
昭和36年1月26日保険発第7号通知において、
これ以外の取扱いは行わないものとされている。

よって、
現時点では、ご照会のように、
過去1年間の平均額から算定する取扱いはできないものである。


●定時決定時の非固定的賃金の取扱いについて
(平成22年5月7日 疑義照会(回答)No.2010-452)


【疑義内容】

1年間のうち月により非固定的賃金の支払いに大きなばらつきがある場合の取扱いについては、
以前に示されている疑義回答一覧(通番161)で、
算定基礎届は4・5・6月の平均額により決定し、
過去1年間の平均額から算定することはできないと回答されている。

しかし、
社会保険審査会において平成20年2月29日に裁決された事例では、

「4月から6月の報酬総額を基準に算定した賦課基準が
新標準報酬月額対象期間の被保険者の予想される月平均の報酬月額と明らかに違うと推測される場合には、
通常の定時決定によらず、
保険者が合理的な裁量により保険者決定をし、それにより決定すべき」
との決定がされている。

定時決定の非固定的賃金について年間の平均額をもって決定が可能か、
もしくは4月から6月の平均額での決定でなければならないのか、
ご教示お願いいたします。


【日本年金機構本部回答】 

社会保険審査会は、具体的に資料を精査し、
請求人および保険者に意見を聞いたうえで判断し決定されたものである。

しかし、
現在、保険者決定をする場合は、
昭和36年1月26日付保発第4号等にて示されており限定されている。

このため、
定時決定の非固定的賃金について年間の平均額をもって決定することは認められない。


●算定基礎届にかかる保険者算定の可否について
(平成22年7月26日 疑義照会(回答)No.2010-786)


【疑義内容】

「通常は従前の報酬月額(180千円)程度の報酬であるが、
4月支給分は残業手当が多く、
5月6月は欠勤が多く標準報酬月額が300千円となってしまう場合」

業務処理マニュアルでは保険者算定できる場合が列挙されており、
本件は該当しておりませんが、
平成20年2月29日の再審査請求裁決書の趣旨に照らし合わせると、
本件において標準報酬月額を300千円で決定することは、著しく不当であると思われますので、
本件の保険者算定の可否について照会します。


【日本年金機構本部回答】 

今回の事案については、
再審査請求に示されている事案と同様に「著しい」と思われますが、
再審査請求裁決書の主文が示しているのは審査請求された個別事案について結果であり、
これによってこの後、
「保険者算定」について通達・通知及びマニュアルの改訂は行われておりません。

よって、
現状では局長通達および課長通達に従って決定すべきであり、
今回の事例については4月分のみを対象とし「300千円」で決定すべきと考えます。


●算定基礎届の保険者算定について
(平成22年10月18日 疑義照会(回答)No.2010-922)


【事例】

日本モーターボート競走会のレース回数については、
毎年国土交通省からの告示により年間のレース回数が決められ、
その告示に基づき滋賀県が各月のレース日数を決定し実施している。

今年度については、156日間の予定である。

そこに勤務する日給者については、
レース日数および前検日等に出勤する者がおり、
年間の勤務日数がレース回数+前検日等以上勤務しないこと(今年度については184日、1ヶ月平均15. 3日)
および
各月においてレース日数が違うことから、
法令等に基づき算定すると実態とかけ離れた報酬月額となることから、
年間の平均勤務日数×日額+交通費で報酬月額を算出し、
保険者算定して標準報酬月額を決定して良いものかご教示願います。


【日本年金機構本部回答】 

算定基礎届の保険者算定については
昭和36年1月26日付保発第4号、
昭和36年1月26日付保険発第7号、
昭和37年6月28日保険発第71号通知
において示されており、
年間の平均により保険者算定をおこなうことはできない。




年間平均以外の3つの保険者算定は要件に該当しさえすれば、
日本年金機構が職権により保険者算定を行いますが、
年間平均の保険者算定は職権により行われることはありません。

なぜなら、
年間平均の保険者算定が行われるためには、
事業主が被保険者の同意を得て
日本年金機構に申し立てをする必要があるからです。

申し立てを要件としていることを考慮すると、
行政側としては
積極的に年間平均の保険者算定がしたいわけではないようです。

年間平均の保険者算定の要件に該当しているからといって、
年金事務所が事業主に対し申し立てをするよう勧奨することはありません
(以下の「平成23年7月1日事務連絡」Q15を参照。)。

ちなみに、
年間平均の保険者算定が追加された平成23年の前年である
平成22年1月1日に社会保険庁・社会保険事務所がなくなり、
日本年金機構・年金事務所が誕生しています。

社会保険事務所の正規職員は公務員であったため、
共済年金の被保険者でしたが、
年金事務所は非公務員となったため、
平成22年1月に厚生年金の被保険者となっています。

年金事務所の職員が厚生年金の被保険者となったことと
年間平均の保険者算定が追加されたことと何らかの因果関係があるかもしれません…。



年間平均の保険者算定の詳細について、以下の事務連絡(Q&A)があります。


●「「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正等に伴う事務処理等について」に関するQ&Aについて(その2)
(平成23年7月1日 事務連絡)








随時改定時の保険者算定は2パターンありますが、
こちらは古い方の保険者算定です。

この場合は、
随時改定されるべき月以降において受けるべき報酬月額により
改定することになります(疑義照会No.2011-254)。

役員の場合は、労働者でないため労働基準法の適用がなく、
取締役会の議決により降給を遡及することが可能ですが、
労働者の場合、
降給の遡及は労働基準法違反となってしまう為、
役員以外では現実的にはあり得ない事象であると言えます。

役員報酬の降給を遡及した場合も、
昇給した場合と同様の取り扱いとなります(疑義照会No.2011-231No.2010-903)。

ちなみに、
平成30年3月1日の局長通達変更以前は、
「昇級が遡及した場合」に限定されていました。


この保険者算定は
他の固定的賃金の変動要因による随時改定を判断する際には適用せず、
実際の支給額により算定します(疑義照会No.2011-254、No.2010-903)。

給与計算のミス等により、
たまたま本来の支給月に正しい報酬を支払うことができなかった場合は、
遡及とは扱わず本来の支給月を起算月として改定を行います
(疑義照会No.2010-367No.2010-382No.2010-440No.2010-489No.2010-575No.2010-1209)。

なお、
労働基準法等の法令に違反する報酬の支払い方法をしている場合は、
法に適合した本来の支給方法により算定するとされています(疑義照会No.2011-9)。


●固定的賃金変動後に引続く3か月の間に遡及の昇給があった場合の月額変更について
(平成23年6月10日 疑義照会(回答)No.2011-254)


【疑義内容】

固定的賃金変動後引き続く3ヶ月の間に、
遡及の昇給があった場合の月額変更の扱いについて


【事例】

4月に5万円昇給し、
その後、
6月に4月に遡及する5万円の昇給が再度あった場合

従前15万円
4月分20万円
5月分20万円
6月分35万円(25万円+(4・5月昇給分) 5万円×2ヶ月分)
7月分25万円
8月分25万円


【日本年金機構本部回答】 

4月昇給による随時改定については、
6月に遡及昇給分の差額が支給されているものの、
この差額については4月および5月分のものであるため、
差額支給によって報酬月額に変動が生じたとはいえず、
原則どおり4月、5月、6月の実支給額を基に算定をし、
随時改定を行うのが妥当である。

6月昇給については
遡及昇給分による4月および5月分の差額支給があるため保険者算定を行い、
標準報酬月額に2等級以上の変動があれば、随時改定を行うことになる。

しかし、
今回の事例については
6月昇給については2等級以上の報酬月額の変動がないため、
最初の昇給時に遡及する昇給のため、
月額変更の際は、遡及分も含めて算出する。

したがって、
4月起算の7月月額変更時に、
遡及分も加えた上で7月月額変更をする。

7月随時改定により、25万円→標準報酬260千円


●遡って役員報酬を引き下げた場合の月額変更について
(平成23年5月25日 疑義照会(回答)No.2011-231)


【疑義内容】

平成22年5月に設立し、
新規適用により資格取得した法人事業所の代表者について、
適用(平成22年5月1日取得)当初は報酬を1ヶ月30万円と定め、
12月まで各月とも支払われてきたが、

経営悪化のため
平成23年1月に取締役会において
「平成22年度の報酬を年間240万円とする」ことを決定した。

また、
23年4月以降については、
各月の報酬は20万円になる見込みである。

実際に支払われた報酬
22年5月〜1 2月300,000 円
23年1月〜3月0 円(12月までで240万円支払い済みのため)
23年4月〜200, 000 円(予定)

1月の取締役会の決定は、
平成22年度の報酬について年棒で定めているため、
給与体系を設立時である平成22年の5月まで遡って
月額30万円から年間240万円に変更していることになると思われます。


【日本年金機構本部回答】

今回の事例においては、
既に支給された役員報酬を取締役会の決議により遡及して変更しているが、
この場合の随時改定については、 ブロック本部回答のとおり、
決議のあった月を起算月として行うことになる。(疑義照会回答No2010-440)

変更後の報酬の支払額は0となっているが、
これは変更後の報酬を既支給分の報酬で相殺する扱いと考えられるため、
相殺前の報酬の支給を受けているものとして取り扱うことが妥当である。

なお、
変更後の報酬は、特別な事情がない限り、
変更後の年間支給額を12月(今回の場合は11月)で除して得た額とすることになる。
疑義照会回答No2010-769参照)


●3ヶ月間に随時改定の契機となる固定的賃金の変更が2回有り、遡及降給分として控除がある場合の取扱いについて
(平成23年6月16日 疑義照会(回答)No.2010-903)


【疑義内容】

5月より基本給減となり、
さらに7月に6月に遡って降給となり
7月と8月で遡及降給分を半分づつ控除することになった(下記、図1参照)場合の、
8月随時改定の取り扱いはどのようになりますか。

《図1 》
4月:基本247, 500
5月:173, 750 (基本給減)
6月:173,750
7月:100,000 (更に6月の差額の半額控除△36, 875)
8月:100, 000 (更に6月の差額の半額控除△36, 875)

この場合、
次の@ABのどちらにより対応すべきでしょうか。
また、別の取り扱いとなりますか。

@5月:173,750  6月:173,750  7月:100,000
A5月:173,750  6月:100,000  7月:100,000
B5月:173,750  6月:173,750  7月:63,125

@ 7月の6月分遡及降給分控除を考慮しない。
A 7月には6月分から100,000にすることを決定しているため6月分を100, 000とする。
B 実際の総支給額で平均するため7月分は遡及降給分を控除した金額とする。

また、
随時改定で保険者決定できるのは「36.1.26保発4号」による場合ですが、
それによると、(昇給が遡及したため〜)と昇給に限定していると思われます。

降給が遡及した場合の取扱いも同様に扱うことになりますか。

例として降給が遡及し変動があった月に遡及降給分として控除している場合、
控除分は考慮せず支給額に含めてよろしいか。


【日本年金機構本部回答】

「具体的に発生した賃金請求権を
事後に締結された労働協約や事後に変更された就業規則の遡及適用により
処分又は変更することは許されない」
(平成八年三月二六日最高裁判例民集五0巻四号千八頁)ので、

この被保険者は役員であると考えられる。
したがって疑義照会回答No2011-231と同様であるため
@により取り扱うのが妥当である。

なお
再度の降給による随時改定の起算月は7月となる。

なお役員でない場合で、
6月の報酬は遡及して改定されたものではなく支給金額を誤って支給したものであるならば
Aにより扱うことになる。(疑義照会回答No2010-440参照)

この場合再度の降給による随時改定の起算月は6月となる。


●随時改定の取り扱いについて
(平成22年5月7日 疑義照会(回答)No.2010-367)


【疑義内容】

給与の支払が月末〆、翌月5日払いの事業所において、
12月分(本来支給日は、1月5日)より、
給与を13万4千円から9万8千円に変更を行った。

しかし、
当該事業所は、1月8日まで正月休みとしていることから、
本来、1月5日に支払を行う報酬を、12月末日に支払を行っている。
(その後、1月分は2月5日、2月分は3月5日に支払い済み。)


【日本年金機構本部回答】 

ご照会の事例においては、
固定的賃金の変動が12月にあり、
給与規定等において、本来、次月5日支給とされているのであれば、
継続した3か月間の実績が確保される「@」が妥当と考える。

@ 12月分については、本来1月5日に支給されるはずであるので、
  1月より起算を開始し、4月月変として随時改定を行う。


●給与計算にミスがあった場合の月額変更について
(平成22年5月11日 疑義照会(回答)No.2010-382)


【疑義内容】

1月に固定的賃金の変更(降給)があったが、
計算ミスにより1月・2月の給与は、従前のまま支給された。

そのため3月から6月の4ヶ月の給与で
1月・2月の過払い分を調整することとなった場合、

@ 降給のあった1月を起算とし、1月〜3月の本来受けるべき報酬で変更する。
A 実際に変更後の給与の支払いがあった3月を起算とし、3月〜5月の本来受けるべき報酬で変更する。

昇給や降給が遡って発令された場合は、
Aの取扱いとなるが、いずれにすべきかご教示願います。


【日本年金機構本部回答】 

ご照会の事例のように、
単なる給与の支給誤りであれば、
本来の固定的賃金の変動が生じた月から起算して随時改定を行う。(疑義照会回答2010-277参照)

事例の場合は、@により随時改定を行う。


●降給が遡って発令された場合の標準報酬月額の取り扱いについて
(平成22年8月23日 疑義照会(回答)No.2010-440)


【疑義内容】

降給が遡って発令された場合、
降給の遡及した差額(減額分)について保険者算定を行うことができるのかご教授願います。

具体的な事例としては、
平成21年7月に役員会を開き、
平成21年7月支給分から役員報酬が減となったが、
7月支払い分は通常通り支給してしまった。

そのため、平成21年8月に変動があった場合

平成21年7月:164,000円
平成21年8月:36,000円(7月降級分▲ 64,000円)
平成21年9月:100,000円
平成21年10月:100,000円


【日本年金機構本部回答】

事例の場合、
報酬の支払い日より後に開かれた役員会において降給されることが決定したものと思料するが、
降給が決定した月と実際に降給する月が同月であり、
役員会の議事録でその事実も客観的に確認できることから、
遡及して降給したとまでは言い難く、
単にその月の支払いに間に合わなかったものと判断するのが妥当と考える。

したがって、
7月を起算とし、10月の随時改定(B)の取扱いとして差し支えないと思料する。

また、
単に事業所の誤りにより降給前の報酬額を支払ったものであれば、
当然に7月を起算月とする10月の随時改定となる。(疑義照会2010-127参照)

B 一般の従業員の場合は実際の支払いが固定的賃金の変動となると思われるが、
  役員報酬の減について平成21年7月の議事録で確認ができるため、
  平成21年10月で、98千円の月額変更に該当。


●まとめて支給される手当等について
(平成22年1月7日 疑義照会(回答)No.2010-575)


【疑義内容】

事業所が社員に対し、
手当等について下記のような「まとめ払い方式」を行っている場合において、

1.4月〜6月の残業代を7月に支給している場合
2.4月〜6月の交通費を7月に支給している場合
3.4月〜6月の業績給(一定額ではない)、育児手当(一定額)の名称で、
  本人の請求により支払われる手当てを7月に支給している場合

上記について、
本来5月に支払われるべき手当等から、
額(残業代、業績給については、単価)の変更があったが、
実際に支給されたのは7月であった場合、
随時改定の起算月は、「5月」となるのか、「7月」となるのか?


【日本年金機構本部回答】 

本事例については、
その支払いが実績として確保された月(実際に支給された月)をもって随時改定の起算月とし、
固定的賃金が変動した月以降に本来支払われるべき報酬をもとに
随時改定の対象とすることが妥当と考える。

したがって事例の場合は、
実際に手当等が支給された月である7月を起算として随時改定の対象とし、
7月に支払われた4月から6月の通勤費を控除したうえ、
10月に支払われた通勤費を7月、8月、9月の該当月に振分けて
随時改定の取扱いとすることになる。

ただし、
残業代については、
本来支給すべき月に支給しなければいけないにもかかわらず
後からまとめて支払っているのであるから、
遅配された場合と同様に本来支給される月を起算として
随時改定の対象とすることが妥当と考えるが、

遡及して単価変更が決定された場合には、
その差額の支払いがあった月を起算として
随時改定の対象とすることになる。


●通勤手当にかかる随時改定について
(平成23年1月7日 疑義照会(回答)No.2010-1209)


【疑義内容】

疑義回答2010-925と同様に
毎年6月と12月に6か月分の通勤手当を支給しており、
転勤等で勤務場所が変更となった場合、
その間を精算している事業所がある。

しかしながら、
当該事業所は6か月分の通勤手当は前払いであり(毎年6月に7月分〜12月分を支給)、
精算についても精算規定は無く、
気が付いた時点で精算を行っている。

今回の事例として

@ 前年12月給与時に1月〜6月分の通勤手当70,310円(月割11,718円)を先払い。
A 6月に勤務場所の変更が行われた。
B 6月給与時に7月〜12月分の新通勤手当104,330円(月割17,388円)が支払われた。
C 7月給与時に6月分が旧通勤手当で支払われているのが判明したので
  6月分旧定期券代金11,718円の返還(別途現金で)を受け、
  新金額で1か月分定期券代金19, 320円を支給した。
D 事業所より7月分(19, 320円)と8月分(17, 388円)を比べると固定給が下がり、
  8月9月10月の平均も2等級以上下がる為、
  11月の随時改定が提出されている。

上記の様な場合の起算月及び考え方について

@ 起算月として正しいのはどれか。

・精算規定は無いが、事業所の手続きミスとして本来支給されるべき5月とする。
・6か月分の通勤手当が初めて支給された6月とする。
.・5月分の通勤手当が精算された7月分とする。
疑義回答2010-603の起算月ずらしの考えから8月とする。

A 上記起算月で随時改定を行う場合、
  7月支給の精算分の取扱いをどのようにすればよろしいか。

B 5月分の精算が7月に出ているが、
  事業所の考えのように11月の随時改定を取る事が出来るか


【日本年金機構本部回答】 

6月給与時に7月〜12月分の「新通勤手当」が支給されたことによる随時改定の起算月については、
ブロック本部の見解のとおり
6月を起算月として9月の随時改定とすることとなる。

次に6月起算で随時改定を行う場合、
7月支給の清算分の取扱いについては、
疑義照会2010-886の回答によると、

「1月分の実績(一の給与計算期間)が完全に確保されている給与等が、
単月に混在している場合に限っては、
「本来その月の被保険者の身分変更に即した報酬」のみを
比較すべき報酬の要素として算入する」

とされていることから、
7月の報酬については定期券の1/6のみを交通費とするのが妥当である。

従って、
8月起算の随時改定は行われないこととなる。


月額変更届の起算月について
(平成23年2月18日 疑義照会(回答)No.2011-9)


【疑義内容】

これまで月72000円の基本給が
平成22年9月に月38100円となった。

ただし、
38100円だと最低賃金に抵触するため
最低賃金を補うために差額分については最低保障手当を支払うこととした。

最低保障手当は翌月支払となっている。


【日本年金機構本部回答】

労働基準法上、
最低賃金法に違反する賃金の差額は当月に支払うことが必要で、
翌月の支給で精算することは通常認められていない。(東京労働局確認)

本来支給すべき日に支給すべき報酬を支給していない場合においては、
残業手当の未払いがあった場合がそうであるように、
本来支給すべき日にその報酬が支払われたものとして取り扱うことになる。

随時改定は
「一の給与計算期間全てにおいて固定的賃金の変動等が反映された報酬が支払われた月」
を起算月としているところであり、
ご照会の最低保障手当について、
本来支給すべき日がいつになるのかは労働基準監督署等への確認が必要となるが、
その日が属する月が、この月にあたるため月額変更の起算月となる。
【疑義照会2010-575, 2010-1110, 2011-19参照】







平成30年3月1日の局長通達の改正によって、
追加された保険者算定です。

※Q&Aはこちら

この場合は、
定時決定のそれと同様に年間平均により、
随時改定することが可能となりました。

定時決定の年間平均と異なるのは、
定時決定では、すべての報酬の年間平均額を用いますが、
随時改定の場合は、
固定的賃金の3月平均額に
非固定的賃金の年間平均額を加算した額を用います。



具体的には以下のとおり。

【前提条件】
現在の標準報酬月額等級:A
(1)アの「算定月額」による標準報酬月額等級:B
(4)イの「昇給時の年間平均額」による標準報酬月額等級:C
(4)ウの「降給時の年間平均額」による標準報酬月額等級:D

とすると、
随時改定の年間平均は、
以下の3つの条件をすべて満たすときに限り、
適用可能となる。


【昇給時】
@B-A≧2(事実上は3等級以上の差)
AB-C≧2
BC-A≧1
⇒Cにて随時改定可能


【降給時】
@A-B≧2(事実上は3等級以上の差)
AD-B≧2
BA-D≧1
⇒Dにて随時改定可能


【7月に昇給した場合の具体例】

 

固定的賃金

非固定的賃金

報酬月額

等級

 

算定期間

月額

算定期間

月額

A

22万円

8万円

30万円

22等級

B

7〜9月

25万円

7〜9月

11万円

36万円

25等級

C

10〜9月

7万円

32万円

23等級

B-A=25−22=3≧2⇒OK
B-C=25−23=2≧2⇒OK
C-A=23−22=1≧1⇒OK

この場合、Cによる随時改定が可能となる。

 

@は、随時改定のトリガーとなる条件である。
AおよびBは、
年間平均額による保険者算定適用の条件でしかない。

AおよびBの条件を満たしても、
年間平均を選択可能になるだけで、
年間平均で随時改定しなければならないわけではない
ことに注意が必要である。
年間平均を選択する場合は、現在の等級と1等級差であっても、
随時改定を行う。

一方で、
Aの条件すら満たさない場合は、
年間平均を選択することができないことになり、
従来の方法により、
3月間平均で随時改定をしなければならない。

また、
Aの条件は満すけど、Bの条件を満たさない場合は、
従来の方法を選択すると、
3月間平均で随時改定をしなければならないが、
年間平均を選択すれば、
同等級以下になってしまうため、随時改定を行わないことになる。


フローチャートにするなら以下のとおり。

【昇給時】

B-A<2

随時改定不該当

現在の等級のまま

B-A≧2

B-C<2

年間平均選択不可

3月平均にて2等級以上変動

B-C≧2

C-A≧1

3月平均選択

3月平均にて2等級以上変動

年間平均選択

年間平均にて1等級でも改定

C-A<1

3月平均選択

3月平均にて2等級以上変動

年間平均選択

随時改定行わず、現在の等級のまま


【降給時】

A-B<2

随時改定不該当

現在の等級のまま

A-B≧2

D-B<2

年間平均選択不可

3月平均にて2等級以上変動

D-B≧2

A-D≧1

3月平均選択

3月平均にて2等級以上変動

年間平均選択

年間平均にて1等級でも改定

A-D<1

3月平均選択

3月平均にて2等級以上変動

年間平均選択

随時改定行わず、現在の等級のまま








原則として保険者算定は、
課長通達(昭和36年1月26日 保険発第7号)により、
局長通達(昭和36年1月26日 保発第4号)に掲げる場合のみとされています(疑義照会No.2010-723)。

ただし、
以下の通知のとおり、
局長通達以外の場合でも、
例外的に保険者算定される場合があります。


●健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬の定時決定及び随時改定の取扱いについて
 (昭和37年6月28日 保険発第71号)

1 定時決定の保険者算定について
【疑義4】

4、5、6月の3ヶ月間のうちに3ヶ月定期券の支給があつた場合は、
当該月の報酬支払基礎日数が17日未満であるとき等
事例によっては保険者において算定する場合として取り扱って差し支えないか。

【回答】

健康保険法および厚生年金保険法の定時決定の規定により算定した額が
御例示のように著しく不当と認められるような場合には、
保険者において算定する取扱いとして差し支えない。

なお、
保険者において算定することとした場合における報酬月額は、
9月以降において受けるべき報酬月額とすること。



【疑義5】

4、5、6月の3ヶ月のうちにおいて、
賞与(年4回以上支給され、昭和36年1月26日保発第5号厚生省保険局長通達により
報酬の範囲に含まれるものとする。)の支給があった場合、
事例によっては定時決定に際し保険者において算定する場合として差し支えないか。

【回答】

疑義4の場合に準じて取り扱われたいこと。



【疑義6】

年間を通じ4回以上支給されない通勤費(6ヶ月ごとに支給される定期券等)
も報酬に含まれるものと解して差し支えないか。

もし、
報酬に含まれるものとすれば、
4、5、6月のうちの3ヶ月間においてこれが支給された場合における
定時決定の取扱いいかが。



【回答】

通勤費についてその数ヶ月分を一括して現金または定期券等により支給するのは、
単に支払上の便宜によるものとみられるから、
設問の年4回以上支給されない通勤費(6ヶ月ごとに支給される定期券等)は、
報酬の範囲に含まれるものと解される。

なお、
4、5、6月の3ヶ月間のうちにおいて当該通勤費が支給されたときの定時決定の取扱いについては
疑義4の場合と同様とする。




【疑義4〜6】の意味するところは、
定時決定において、

@賞与に係る報酬がたまたま支払基礎日数17日未満の月に支給された場合等、
 事例によっては保険者算定によりその月額平均をもって算定してもよい。

A3ヶ月または6ヶ月毎に支給される通勤手当は、
 支給の実態は原則として毎月の通勤に対し支給されるものであるため、
 年間の支給回数によらず(年3回以下であっても)、賞与ではなく報酬として取扱い、
 その月額平均をもって算定する。

ということでしょう。

なお、
賞与に係る報酬の定時決定は、
7月1日前の一年間に受けた賞与の合計額を12で除した額を報酬月額に加算するのに対し、
通勤手当は
その月に支払われるべき額を算出し加算するため、
算定の際には注意が必要です。



短時間労働者で
4月、5月、6月の報酬支払基礎日数がいずれも15日未満の場合は、
保険者算定により従前の標準報酬月額で決定されます。

なお、
以下の疑義照会のような事例の場合は、
保険者算定の対象となりませんので、
注意が必要です。


●パートタイマー等短時間就労者の定時決定について
(平成22年10月18日 疑義照会(回答)No.2010-740)


【疑義内容】

正社員の週の勤務日数が4日であり、
月平均16日の場合、

おおむね3/4以上は、12日以上ということで
短時間就労者として適用になった従業員について、

4月が13日、5月が14日、6月がたまたま業務繁忙ということで16日の勤務日数であった。

この場合、
6月の報酬のみで定時決定することとなるのでしょうか。

この被保険者の場合、
今後の定時決定において、
たまたま業務繁忙の月が無ければ、
今回の標準報酬のまま(高いまま)となるのでしょうか。

業務処理マニュアルは、
正社員が、週休2日の場合を想定したケースと思われるため、
疑義照会します。


【日本年金機構本部回答】 

短時間就労者に係る標準報酬月額の算定については、
4、5、6月の3ヶ月のうち支払基礎日数がいずれも17日未満の場合は、
その3ヶ月のうち支払基礎日数が15日以上17日未満の月の報酬月額の平均により
決定することとなっている(H18. 5. 12付庁保険発第0512001号)。

また、
定時決定により算定した額が著しく不当であるときは、
健康保険法第44条第1項および厚生年金保険法第24条第1項において特例を規定しているが(保険者算定)、
マニュアルではS36. 1. 26付保発第4号保険局長通達のみの取り扱いとし、
これ以外の取扱いは原則として行わないものとされている。

以上より、
ご質問については6月の報酬のみで決定すると思料します。



※今後の定時決定においても支払基礎日数が15日に満たず、
 不当な標準報酬が続いた場合、保険者算定が出来るかどうか?
 については明示されていませんが、
 出来ないものと考えます。






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