会社が従業員に与えた経済的利益が報酬であるかどうかは、
標準報酬月額や標準賞与額を算定するうえで、
非常に重要な要素となります。


●健康保険法第3条

報酬とは、
賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、
労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。
ただし、
臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、
この限りでない。




と定義されています。
また、


●健康保険法の解釈と運用
(P125)

報酬とは、労働者が、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもの、
すなわち、
被保険者の通常の生計に充てられるもののすべてを包含するものである。




と解説されています。

報酬については、
以下のような通知が出されています。


●法第五十八条と見舞金との関係について
(昭和25年2月22日 保文発第376号)


名称の如何を問わず、就業規則、労働協約に基き、
その支払事由発生後引き続き支給されるものは報酬に該当する。


●健康保険法の解釈と運用
(P164)

労働の対償の支払を受けるとき、
労働と対償とが必ずしも時間的に一致する必要はなく、
雇用関係があり、
被用者が使用者に労務を提供するということを前提として
使用者が被用者に支払うものであればよく、

休業中においても過去の労働と将来の労働とを含めた労働の対価として
一定の給与規定等に基いて支給されるものは報酬の範囲に入るものであって、
その支給形態や名称の如何を問わず
その実体が経常的実質的収入の意義を有するものであれば報酬に含まれる。
(昭和32年2月21日保文発第1515号)




労働の対償として会社から受けた利益は、
一部の例外を除いてすべて報酬とすべきと行政は考えているようです。



それでは、
「臨時に受けるもの」と「3月を超える期間ごとに受けるもの」は
なぜ報酬に含まないとしているのでしょうか?

3月を超える期間ごとに受けるものを対象外としているのは、
これらは報酬と区別して「賞与」として扱い、
標準賞与額に対して社会保険料を徴収しているからです。

一方、
臨時に受けるものはどうかというと、


●健康保険法の解釈と運用
(P165)


臨時に受けるものとは、
被保険者が常態としてうける報酬以外のものである。

3月を超える期間ごとに受けるものとの相違は、
支給事由の発生、支給条件等が不確定のものであることにある。

デパートの店員に支給される大入袋と称するもの等は、
これに属するものと考えられる。




と解説されています。

通知でも、


●改正健康保険法の施行に関する件
(昭和23年7月12日 保発第1号)

被保険者が常態として受ける報酬以外のもので
極めて狭義に解すること。

例えば、
従前に賞与として、1年に1回または2回の支給を受けていた者が、
給与の慣行として、毎月分割支給を受けるもの、
飢餓突破資金として2月または3月毎に支給を受けるもの
または、
遡及して昇給が認められ、その差額として2月または3月毎に支給を受けるもの等は、
その支給を受ける実態が被保険者の通常の生計に充てられる性質のものであるから
報酬の範囲とする。




とされており、
支給事由の発生、支給条件等が不確定のものは、
経常的実質的収入の意義を有しておらず労働の対償とは考え難いため、
臨時に受けるものは報酬の対象外としているようです。

なお、


●健康保険法の解釈と運用
(P165)


労働とは、
使用される業務における労働であるから
被保険者の内職による収入、財産収入、健康保険の適用のない事業
から受ける収入等は報酬とならない。


●1労働で2箇所の事業所から給与支払いを受けている場合の事業所調査について
(平成22年10月26日 疑義照会回答No.2010-406)


【疑義内容】

1箇所の事業所(飲食業)に勤務していたが、
勤務していた事業所(法人)および別の個人事業所(任意適用で未適用事業所)の
2箇所から報酬(10万と20万)が支払われている。

1箇所の事業所(法人)でのみ社会保険に加入し、
標準報酬月額10万となっている。

任意適用事業所の報酬を含め標準報酬月額30万として、
法人事業所より届け出ることは可能か?


【日本年金機構本部回答】

給与が別々で支払われ、
賃金台帳も別々となっていることから、
任意適用事業所の報酬を含めて報酬訂正することは出来ない。




とされており、
適用事業所の事業主から受けるもの以外は、
労働の対償であっても原則として報酬となりません。

以下では、
報酬および賞与について、
行政の具体的解釈を確認していきます。



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