従業員の住宅費の負担を軽減するために
住宅手当を支給する企業があります。

住宅手当は、


●健康保険法の解釈と運用
(P163)

住宅手当、物価手当、勤務地手当、のようなものも報酬に入ると解される。




と解説されているように、
原則として報酬となります。

住宅費用や転居費用については、
以下のような疑義照会回答があります。


●報酬及び賞与の範囲について
(平成22年4月6日 疑義照会No.2010-258)


【疑義内容:持ち家購入時の一時金および住宅ローン補助金】

・持ち家購入者に対して、購入金額に応じて一時金が支給される。
 (金額は2,000 万円の物件の場合50 万円程度、3,000 万円の場合は70 万〜80 万円程度)

・持ち家購入者に対して、購入金額に応じて「ローン補助」として5年間、一定金額が支給される。
 「ローン補助」という名目ではあるが、ローンを組んでなくとも支給される。

・就業規則等への定めなし

・勤続年数、労務実績等にはかかわりなく持ち家の購入金額に応じて支給

・住宅手当は別途支給されている。

この場合の持ち家購入時の一時金および住宅ローン補助金は、報酬に該当するか?


【日本年金機構本部回答】

この事例については、それぞれ労働の対価として扱うべきであり、
持ち家購入時の一時金は「賞与」、住宅ローン補助金は、「報酬」に含めることとなる。


●報酬及び賞与の範囲について
(平成22年7月9日 疑義照会No.2010-558)


●疑義照会2010−558【報酬及び賞与の範囲について】の回答に係る質問等について
(平成23年5月25日 疑義照会No.2010-1172)


【疑義内容:「住宅手当の支給」を「借り上げ社宅」に変更する場合】

・就業規則に記載する。

・賃貸借契約を法人が締結する(法人契約)。

・敷金礼金、仲介手数料も全て会社負担とする。

・家賃の50%を法人が負担。残り50%を個人から給与天引きで徴収し、
 毎月の家賃を全額法人から家主へ振り込みをする。

この場合の敷金礼金、仲介手数料および家賃の法人負担分は報酬となるか?


【日本年金機構本部回答】

敷金礼金については、
社宅として法人が賃貸借契約をし、全額法人が負担しているのであれば、
報酬(賞与)とはならないと解する。

これに対して、
従業員が個人で賃貸借契約する住宅の敷金・礼金等の経費を法人が負担した場合には、
2010-258 の回答と同様に報酬として取扱うことになる。

家賃の法人負担分の50%については、
本来本人が負担すべき家賃を法人が支払っている場合は、
従業員にとって経常的実態的収入の意義を有するものと解され、
その支給形態を問わず報酬に含めることになる(住宅手当と同様と解される)。

借り上げ社宅については、
住宅の利益の給与であり、
現物給与として金銭に換算して報酬に含めることとなる。


●月額変更の対象になる報酬について
(平成22年5月7日 疑義照会No.2010-179)


●報酬及び賞与の範囲について
(平成22年12月17日 疑義照会2010-656)


【疑義内容:業務命令による住居等の変更に係る費用】

質問@
転勤命令に伴い従業員がアパート契約をし、支払った敷金・礼金等について、
会社が費用弁済分として支給した場合、
報酬(賞与)には含まない取扱いとなるか?


質問A
実費弁償分が報酬(賞与)に含まない場合、
どの範囲まで実費弁償分といえるのか?

・ 敷金・礼金

・ 引越し代

・ 家具(テレビ・冷蔵庫等)


質問B
転勤に伴い従業員がアパート契約をし、支払った敷金・礼金等について
会社が費用弁済分として支給した。

数年後再び転任となった際、
アパート契約を解約し不動産業者から敷金全額(もしくは一部)返金があった場合で
従業員がそれを会社に返金せず、
そのまま受領した場合は報酬(賞与)として取り扱うのか?


【日本年金機構本部回答】

・質問@について
現在、
出張旅費のように実費弁償的と認められるものについては
報酬(賞与)には該当しないものとして取り扱っているところである。

転勤や新規採用の際に業務命令によって住居等の変更を余儀なくされたときには
旅費等の費用が生じることが予想されるが、
その旅費等について、事業主が通常必要と認められる範囲において負担する場合には
実費弁償的なものと捉えることができる。

敷金・礼金についても同様である。

なお、
報酬(賞与)に該当するか否かはあくまで実態に応じて判断することとなるが、
その判断に際しては「就業規則、給与規定における特段の定め」
が参考になると思われる。


・質問Aについて
個々の事例により判断することとなるが、
敷金、礼金および引っ越し代については実費弁償分と認められる場合には報酬(賞与)に含まない扱いが、
テレビ・冷蔵庫等の家具で個人の所有となるようなものについては実費弁償分として扱わないとするのが妥当である。


・質問Bについて
実費弁償分と認められたものについて返金があったとしても、
報酬(賞与)としては扱わない。


●健康保険法の解釈と運用
(P372)

山奥にある発電所に付設された住宅のようにそこに住まなければならない場合、
また事業所としてもそこに住んでもらわなければ困るような場合は、
この住宅は生産施設の一部と解されるから、
労働の対償として支給する現物給与としては取り扱わないことが妥当である。




以上の疑義照会等を踏まええると、
住居費用・転居費用は、
以下のように考えられます。

@従業員個人が所有者である持ち家の購入費用、
 従業員個人が契約者である借家に係る敷金・礼金、家賃等に対して
 企業が費用負担する場合、報酬・賞与となる。

Aただし、転勤等業務命令による住居等の変更に係る敷金・礼金、引っ越し代等の
 実費弁償分は報酬・賞与とならない。

B企業が契約者である借り上げ社宅に係る敷金・礼金は報酬・賞与とならない。
 借り上げ社宅は、住宅の利益の給与であり、
 現物給与として金銭に換算して報酬に含める。

C業務上の理由により企業が指定した住居に住まなければならない場合等、
 住居が生産施設の一部と考えられるときは、
 住宅の利益の給与とならず、報酬・賞与とならない。



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