年金機能強化法附則第16条および附則第45条により、
施行日前から被保険者であり、
以後引き続き同一の事業所に勤める被保険者は、
昭和55年内かんにより資格喪失を判断することになります。

施行日前は、
フルタイムの正社員者であった者が、
雇用契約の変更により施行日以降に短時間労働者となった場合も、
昭和55年内かんにより資格喪失を判断することになると考えられます。

何故なら、
施行日前から被保険者であった者が
いつどのタイミングで短時間労働者になったのか明示的にわからない場合があると想定され、
「施行日前から被保険者であった者が施行日以後に短時間労働者になった場合は、
4分の3基準にて判断する。」としてしまうと、
混乱が生じてしまうものと予想されるからです。

年金機能強化法附則第16条および附則第45条には、
附則第17条および附則第46条と異なり、
「当分の間」という文言がありません。

したがって、
年金機能強化法附則第2条第2項によって、
本取扱いが変わることがないと考えられます。

よって、
内かんの判断基準は今後も当分の間存続すると予想されるため、
きっちり理解しておく必要があります。



昭和55年内かんの概要については、
平成23年5月10日の疑義照会(回答)No.2011-24においてよく要旨がまとめられており、
参考になります。


●「短時間就労者に係る全国健康保険協会管掌健康保険及び厚生年金保険の被保倹者資格の取扱いについて(情報提供)」に係る疑義について
(平成23年5月10日 疑義照会(回答)No.2011-24)


被用者の被保険者資格取得については、
健康保険法第3条第1項及び厚生年金保険法第9条に規定する
「適用事業所に使用される者」 を被保険者とすることとされています。

この「適用事業所の使用される者」とは、
適用事業所と常用的使用関係にある者をいい、
常用的使用関係の有無を判断するための目安として示されているのが
昭和55年6月6日付内かん(以下「内かん」という。) であります。

この内かんは、パート労働者の急増に鑑み、
「社会保検加入促進のための行政指導の例示」であり、
原則、「適用事業所に使用される者」は被保険者であることを前提に、
明らかに4分の3基準を満たない者かつ総合的に判断しても常用的使用関係がない者に限り、
被保険者に該当しないとした例外基準であります。

内かんの趣旨を理解した上で、一律「4分の3基準」の判断を行うのではなく、
個々のケースによって、労働日数、労働時間、就労形態、職務内容等を
総合的に勘案し判断をしていただくことになりますが、
しかしながら、実際の運用上疑義が生じる場合は、以下の点を参考として判断してください。


疑義@:「おおむね4分の3以上」の運用判断について

1 同種の業務に従事する通常の就労者(常勤者)の時間=日数と比較する。
(内かんによる扱いそのもの)


2 比較の際に、時間帯等にバラつきがあり、
一日又は一週間の所定労働時聞及び一月の所定労働日数との比較が困難である場合には、
一月の総労働時間と比較する。
(平成17年5月19日庁保険発0519001号(以下「通知」という。) による扱い)


3 さらに一月の労働時間にもバラつきがある場合は、
二月、三月、半年及び一年などの長期期間で判断する。(通知に準じた扱い)


4 同種の業務に常勤者がいない場合には、
その適用事業所における一般的な常勤者と比較する。(通知に準じた扱い)


5 その適用事業所における一般的な常勤者がいない場合には、
同種の業務、規模の事業所を参考とし、法定労働時間を参考に判断する。
(基準が労働基準法でなく、あくまでも社会通念上の考え)



疑義A:「おおむね4分の3以上」不該当者にかかる総合的勘案について
「おおむね4分の3以上」不該当者が、「常用的使用関係」 が認められるかどうかは、
個々の具体的事例により、判断すべきものなので、包括的整理にはなじみません。

以下の似を一定の判断の目安としてください。
(なお、個々の事業所により、常用的使用関係があるかどうかは、変わってきます)


Ql :勤務時間、勤務日程が一定しない人は、どのように取扱いますか。

A:上記の回答を参考に判断してください。



Q2: 勤務日数は少なくても勤務時間が正社員より長い人や
勤務時聞は短いが勤務回数が正社員よりも多い人は、どのように取扱いますか。

A: 内かんでは、労働契約書等で定められている所定労働時間等が、
同種業務に従事する通常の就労者の所定労働時間等のおおむね4分の3以上である者についての取扱いを示しているものであるが、
労働契約書等で定められている所定労働時間等のみで判断すると適当ではない者
(例えば日によって労働時間が大きく変動する者)等の取扱いについては、
1週間における1日あたりの平均労働時間を算出するなど、実態により判断してください。



Q3: 所定労働時間、日数のみでは判断困難な場合
(残業、休日出動が多く、その状態が常態化している場合など)は、どのように取扱いますか。

A: 労働契約書等で定められている所定労働時間等のみで判断すると
適当ではない者と考えられるので、実際の労働時間で判断してください。



Q4: 残業が常態的であったり、労働時間が月によって変動する場合、
4分の3以上となる月が連続で2ヶ月を超えていれば、被保険者として取扱いますか。

A: 残業が常態化する等の理由により、短時間労働者と正社員の総労働時間を比較し、
4分の3以上となった最初の時点をもって、被保険者として差し支えありませんが、
たまたま2ヶ月連続して4分の3以上となったかどうかは、
疑義@の回答にあるように長期期間をもって判断してください。



Q5: 正社員の残業が多く1日12時間労働で、
パートタイマーの残業が全くなく1日7時間労働で同じ勤務日数なら
4分の3未満で適用しなくてもよいですか。

A: パートタイマーの適用については、
正社員の就業規則上の所定労働時間を基準として判断してください。
また、この設問のパートタイマーは、
社会通念上、被保険者資格があると判断するのが妥当である。



Q6: 実労働日数が4分の3以上の月と4分の3未満の月が、
一年を通じ混在している場合どのように取扱いますか。

A: 混在の頻度にもよるが、おおむね4分の3以上として判断し、
被保険者として取扱うのが妥当である。



Q7: 通常の就労者の一週間の所定労働時間40時間である事業所において、
短時間就労者の所定労働時間を29.5時間で設定している場合どのように取扱いますか。

A: 就業規則上の所定労働時間どおり、実際の労働時間も完全に守られていることが明らかであれば、
おおむね4分の3以上を満たしているとは言い難い。



Q8: 日数、時間が、明らかに4分の3未満の場合でも、常用的使用関係が認められる場合には、
被保険者として取扱うことが出来ますか。

A: 内かんの趣旨に則り、個々の具体的事例に即して総合的に判断し、
常用的使用関係があると認められる場合においては、被保険者として取扱うのが妥当である。
その際、
同様の業務に従事しており、同程度の時間で働いている者についても必ず調査し、
事業所としてどのような就労形態が常用的使用関係ととらえているかをみて判断してください。




上記疑義@-5において、
『 その適用事業所における一般的な常勤者がいない場合には、
同種の業務、規模の事業所を参考とし、法定労働時間を参考に判断する。』とされていますが、

平成23年1月7日の疑義照会(回答)No.2010-1189では、
『事業所において正社員の雇用がなく、就業規則が作成されていない場合において、
上記「4分の3以上」についてどのように判断するのかご教示ください。』

という疑義照会に対して、機構本部は
『…その認定に当たっては、当該就労者の就労の形態等個々具体的事例に即して判断すべきである」、
とされていることから、その事業所の営業時間や稼働時間に対する勤務時間など、
その者の具体的な勤務状況をよく把握した上で総合的に判断されたい。』と回答しています。

一般的な常勤者がいない事業所において、
おおむね4分の3を判断する場合に、
同種の業務、規模の事業所を参考とするのが実務的に困難なときは、
その事業所の営業時間や稼働時間に対する勤務時間などを参考にするとよいかもしれません。



内かんでは、
おおむね4分の3以上であるかどうかが重要なポイントとなります。

そこで問題となるのが、
通常の就労者の所定労働日数の4分の3を計算したとき端数が生じた場合はどうするのか?
ということですが、

平成22年10月27日の疑義照会回答No.2010-252「雇用契約の変更に伴う被保険者の資格の取扱い(おおむね4分の3の判断基準)について」
において、

『「所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上」による端数の判断も含め、
あくまでもそれぞれ個別のケースとして、具体的事例に則した総合的な判断が必要となります。』
と回答されており,統一的な端数処理手順は通知されていないと思われます。

ただし、

平成22年11月19日の疑義照会(回答)No.2010-1010「有期契約職員にかかる健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格の取扱いについて」
において、

『正社員の出勤日数が月で25日となるため、
おおむね4分の3以上(18日以上)となる月が適用の条件を満たしていると判断。』
という記述があり、
本部回答においても『18日以上の出勤日数が…』となっています。

25日の4分の3を、18日にするには端数切捨てする必要があります。

したがって、
おおむね4分の3以上を計算する際の端数は、
切り捨てがおおよその目安と言えるかもしれません。

また、
新しい基準では、「おおむね」がなくなるため、
4分の3を厳密に精査する必要があるため、
端数処理方法が整理されるものと予想されます。



おおむね4分の3を判断する際の基準となるのは、
「当該事業所において同種の業務に従事する通常の就労者」ですが、
派遣労働者の場合はどうなるのでしょうか?

平成22年10月15日の疑義照会(回答)No.2010-557「派遣労働者の適用について」では、

『、派遣労働者との雇用契約関係が成立する「派遣元」の事業所を基準とするものである。』
と回答されており、
派遣先ではなく、派遣元の事業所において
同種の業務に従事する通常の就労者が基準となります。

また、
平成22年5月7日の疑義照会(回答)No.2010-334「厚生年金保険の被保険者資格の取扱いについて」では、

『@ 障害福祉サービス事業を行う事業所において、事業の一つである就労継続支援対策として、
  障害のある者に対し、雇用契約に基づく就労機会の提供を行う。

A 就業規則については、現在のもの(一般用)とは別に障害者用の就業規則を作成する。

B 障害者用の就業規則においては、
  勤務時間は一般用の就業規則で定められている勤務時間の4分の3未満(具体的な勤務時間は未定)
  であるが、
  事業所としては就労継続支援による雇用契約を結んだ者を社会保険に加入させたい意向を持っている。』

という事例において、

『上記事例について、…A一般用の就業規則に規定される就労者とは別に、
障害者の就労者を通常の就労者とする取扱い(4分の3未満の者を4分の4基準に該当する者として扱う)とし、
適用することは可能か。』という疑義照会がなされています。


この疑義照会に対する本部回答は、

『…同内かんの「2」において、
所定労働日数や所定労働時間等を同種の業務に従事する者と比較しているが、
同内かんの「3」において認定にあたっては、
当該就労者の就労形態等個々具体的事例に即して判断すべきとされている等の主旨から、
ご照会の事例については、
障害者用の就業規則を作成されるなど一般の従業者とは明確に区分されるとのことであるから、
当該障害者用の就業規則により従事する従業者のみの基準とすることも差し支えないと考える。』

とされており、参考になります。



※断続的労働従事者の労働時間について
平成23年2月4日の疑義照会(回答)No.2011-42「労働基準法第41条の労働時間等に関する規定の適用除外の承認を受けている者の健康保険・厚生年金保険の適用について」において、

『職務内容:葬儀会社の電話番(顧客からの葬儀等の申し込み対応)以下の時間帯は拘束されるが、
電話を取ることのみが業務で、それ以外は何をしてもよい自由時間である。
勤務時間:18:00〜翌朝8:00』

という事例に対し、機構本部は、

『…したがって、当該者の労働時間は手持時間を含めて捉えることとなり、
その結果、
通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である就労者であるならば、
原則として健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うこととなる。』

と回答しています。



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