昭和55年内かんによる具体的判断事例を以下にまとめてみました。

平成28年10月1日前から被保険者である短時間労働者の
資格喪失の判断基準として参考にしてください。


【CASE1】短時間労働者の所定労働日数が通常の就労者の4分の3を前後する場合


【CASE2】基本給より高額な手当が支給されている場合


【CASE3】1日の所定労働時間が5時間である場合


【CASE4】有期雇用契約である場合


【CASE5】1日6時間、月10日勤務の正社員である場合


【CASE6】1ヶ月単位の変形労働時間制を採用している場合


【CASE7】常用的使用関係を総合的に判断をする際の残業時間の取扱い


【CASE8】雇用契約の変更により、2ヶ月間だけ所定労働時間が4分の3以上となる場合


【CASE9】勤務時間の短縮措置を受けている期間の被保険者資格








●短時間就労者の適用について
(平成23年3月4日 疑義照会(回答)No.2011-124)

【疑義内容】

・通常の就労者
年間271 日出勤、(1 ヶ月平均22.5 日)
1 日7.5 時間勤務で隔週土曜日出勤のため1 週間の勤務時間は平均39 時間

・短時間就労者
1 日の勤務時間は正社員と同じ7.5 時間、
出勤日数は月により変動し4分の3を前後する日数


【日本年金機構本部回答】

一日の就業時間が正社員と同じこと、
また4分の3を前後する日数になると見込まれていることから、
おおむね4分の3に該当し、被保険者として適用と判断




4分の3を前後するような勤務の場合は、
おおむね4分の3以上に該当すると考えて間違いないと思われます。








●有期契約職員にかかる健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格の取扱いについて
(平成22年11月19日 疑義照会(回答)No.2010-1010)

【疑義内容】

<正社員>
・月曜〜金曜:7時間勤務
・土曜日:5時間勤務
・休日は、1週間ごとに1日以上、1年間に65日とし、
年間休日カレンダーにより指定して定める。(出勤日数300日)


<有期契約職員>
A契約の場合(日給月給)
基本給:100,000円、手 当:130,000円、合 計:230,000円

B契約の場合(時間給)
基本給: 820円、手 当:130,000円

以下の条件についてはA契約とB契約ともに共通
・1年有期契約
・7時間勤務
・正社員とは業務内容が異なる
・休日は、1週間ごとに2日以上、1年間に155日とし、
年間休日カレンダーにより指定して定める。(出勤日数210日)


【日本年金機構本部回答】

(1)A契約及びB契約ともに、毎月基本給よりも高額な手当が支給されていること、
(2)勤務時間が7時間であること、
(3)年間の出勤日数が月単位で定められ、18 日以上の出勤日数が年間6 月あること、
(4)正社員とは業務内容が異なること
等から総合的に判断して、当初から被保険者として取扱うことが妥当




昭和55年内かんには、
報酬額の多寡が常用的使用関係の判断要素となるとは明記されておりませんが、
総合的判断をする際に、基本給より高額な手当てが支給されていることは、
常用的使用関係を肯定する要素となると考えられます。

また、
・1日の所定労働時間が正社員と同じ7時間である。
・1月平均所定労働日数=210日÷12月=17.5日が、
正社員の1月平均所定労働日数=300÷12月=25日のおおむね4分の3である18日とほぼ等しく、
18日以上の月が年間6月あり、おおむね4分の3以上である。
という条件であるため、被保険者となるという判断であると思われます。








●短時間労働者の被保険者の資格取得について
(平成22年11月19日 疑義照会(回答)No.2010-724)

【疑義内容】

1日の勤務時間が5時間の労働者
※現在は被保険者としている者を資格喪失させたいが可能かという疑義照会


【日本年金機構本部回答】

ご照会については、ブロック本部の見解が妥当


【ブロック本部回答】

…同内かんの「3」において認定にあたっては、
当該就労者の就労形態等個々具体的事例に即して判断すべきともされている。

よって、
1 日の勤務時間が5 時間ということのみでは社会保険の適用に該当しないとは言えないため、
上記主旨と加入となった経過等を踏まえ、
当該就労者の適用の可否を判断することが妥当




内かんは、
所定労働時間および所定労働日数が明らかに4分の3未満であっても、
就労実態を総合的に判断して、常用的使用関係を判断することとなっています。

この疑義照会回答の内容からは通常の就労者の所定労働時間がわかりませんが、
1日の勤務時間が5時間であり、
1日の法定労働時間(8時間)の4ぶんの3である6時間以下だからというだけで、
被保険者とならないという判断にはならないと解釈できそうです。








●短時間就労者にかかる厚生年金保険の加入について
(平成22年6月28日 疑義照会(回答)No.2010-663)

【疑義内容】

勤務時間 1 日5 時間
出勤日 週4 日 (出勤簿はあるものの時間の記載はない)

賃 金 月給 230,000円
手当て あり
賞 与 年2 回(8 月・12 月)平成20 年・平成21 年ともに支給あり。

職 種 卸売業の顧問(営業統括業務)
年 齢 63 歳 老齢厚生年金全額受給中(障害厚生年金停止中)


【日本年金機構本部回答】

ご質問の者は、
実態としては、平成19年3月から所定労働時間5時間
(実態的には1日5時間未満、週所定労働時間20時間未満)
と正社員の所定労働時間(週40時間)の4分の3を大幅に下回っており、
就労形態も有期雇用契約となっていることから、
それまでの事業主との常用的使用関係が継続しているとは判断できず、
短時間就労者による健康保険、厚生年金保険の適用する者には該当しないものと考える。




この事例は、
所定労働時間が明らかに4分の3を下回っており、
就労形態も正社員のように無期の雇用契約ではなく 有期雇用契約となっていることから
総合的に判断しても常用的使用関係にないという結論のようです。

有期雇用契約であることは、
総合的判断をする際に常用的使用関係を否定する要素になると考えられます。








●新規適用にかかる被保険者資格取得の加入基準について
(平成22年8月13日 疑義照会(回答)No.2010-365)

【疑義内容】

就業規則がなく、短時間勤務の正社員3名のみの会社です。
・時給単価 800円 1日6時間、月10日勤務の社員
・時給単価 800円 1日6時間、月13日勤務の社員
・時給単価 800円 1日6時間、月16日勤務の社員


【日本年金機構本部回答】

正社員ということであれば、
これらの方を被保険者とする必要があると考えるが、
法人又は5人未満であるのか等の詳細も不明ですので、
当該事業所に使用される者であるのか総合的に判断し対応されたい。




1日6時間、月10日勤務であれば、
一般的に考えると常用的使用関係にあるとは考えにくいでしょう。

しかし、事業の実態として、
たとえば営業日が月10日しかない商店に勤務する正社員の場合は、
月10日勤務であってもその事業所では常用的使用関係にあると考えられ、
被保険者となる可能性が高いと思われます。








●厚生年金保険の被保険者資格の取扱いについて
(平成22年10月27日 疑義照会(回答)No.2010-909)


【疑義内容】

飲食業を営む事業所において、
1日12時間、週3日勤務(12日〜14日)(1ヶ月単位の変形労働時間制を採用)、
時給制、
ホールの接客等(他のパートタイマー、アルバイトと同様)の内容で雇用契約を結び勤務する。

なお、
一般社員の所定労働時時間は1日8時間、
所定労働日数は1ヶ月21.8日です。(年間休日103日)


【日本年金機構本部回答】

本件に関しては1ヶ月の労働日数は一般従業員の4分の3未満であるが、
1月の総労働時間を考えたときには一般社員の総労働時間の4分の3以上となることから、
労働日数、労働時間、就労形態、職務内容等を総合的に判断したうえで
常用的使用関係にあると認められる場合には被保険者として取り扱うこととする。




時間帯等にバラつきがあり、
一日または一週間の所定労働時聞及び一月の所定労働日数との比較が困難である場合には、
一月の総労働時間と比較する。

一月の労働時間にもバラつきがある場合は、
二月、三月、半年及び一年などの長期期間で判断するとされています。

この事例では、
1ヶ月の所定労働日数が明らかに一般社員の4分の3未満の為、
「おおむね4分の3以上」の要件を満たしていません。

しかし、
1月の総労働時間で比較をすると一般社員の4分の3以上となることから、
その他の条件(たとえば、手当の額の多寡、雇用契約期間の有無など)を
総合的に判断して常用的使用関係にあると評価できれば、被保険者として取り扱うこととなります。








●雇用契約の変更に伴う被保険者の資格の取扱い(おおむね4分の3の判断基準)について
(平成22年10月27日 疑義照会(回答)No.2010-252)


【疑義内容】

一般社員 所定労働時間 8H 所定労働日数 24日

雇用契約変更前
所定労働時間 6H 所定労働日数 18日

雇用契約変更後
所定労働時間 6H 所定労働日数 15日


【日本年金機構本部回答】

本事例については、
1日の所定労働時間は4分の3以上であるが、
雇用契約の変更が行われ、継続的に1月の所定労働日数が4分の3未満であることが明確であるため、
被保険者資格は喪失になります。

ただし、
労働契約書等で定められている所定労働時間等のみで判断することが適当ではない場合
(例えば残業により日によって労働時間が大きく変動する者)もあり、
「所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上」による端数の判断も含め、
あくまでもそれぞれ個別のケースとして、具体的事例に則した総合的な判断が必要となります。




「おおむね4分の3」は、
所定労働時間または日数で比較するのが原則ですが、
総合的判断の際には、残業を含めた総労働時間で比較する場合があり、
注意が必要です。








●短時間労働者の被保険者資格の取扱いについて
(平成22年12月10日 疑義照会(回答)No.2010-1147)


【疑義内容】

繁忙期対策として、非常勤職員の勤務時間の変更を行う。

勤務時間5時間30分/日で2ヶ月以上にわたり継続雇用している職員を、
2月から3月の間において7時間/日に変更し、
4月から再び5時間30分/日で継続雇用

通常の就労者の勤務時間は7時間45分(その4分の3は、約5時間49分)


【日本年金機構本部回答】

…今回の事例においては、
臨時に使用される者とは解することは困難であり、
4分の3以上の勤務時間で使用される期間については、
昭和55年の内かんにおける常用的使用関係にあると解し
強制被保険者の資格があると判断することが妥当と考える。

また、
上記月以外の期間については、
就労形態等を総合的に判断すると昭和55年内かんにおける常用的使用関係にないと判断され、
強制被保険者の資格がないものと判断することが妥当であると考える。




この事例では繁忙期対策として、
あらかじめ勤務時間の変更をしています。

変更により所定労働時間は7時間となり、
通常の就労者の4分の3以上となる為、
被保険者資格を取得することになります。

しかし、
もし勤務時間の変更をせず残業として対応した結果、
総労働時間が多くなり2ヶ月間だけ4分の3以上となってしまった場合はどうでしょうか?

この場合は、
一時的に2ヶ月間だけ残業が増えただけであり、
年間を通して残業が常態化したわけではありません。

一過性の事態であれば総合的判断として常用的使用関係になったとは考えにくく、
被保険者資格を取得しないという判断になったのではないかと思います。

なお、
この疑義照会では、4分の3以上となる月が2月間だけなので、
「二月以内の期間を定めて使用される者」であり、
「臨時に使用される者」として適用除外になるのでは?という主張がなされていますが、

ここでいう、「二月以内」は、
雇用契約期間が2ヶ月以内かどうか?が論点であり、
常用的使用関係である期間が2ヶ月以内かどうか?ではありません。
勘違いをしないよう注意してください。








●育児介護休業法による勤務時間の短縮措置を受けている期間についての健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取り扱いについて
(平成22年10月8日 疑義照会(回答)No.2010-455)


【疑義内容】

●従業員の雇用・給与形態
@正社員:無期契約、一日8時間週5日勤務、月給
A契約社員:有期契約(一年毎の更新)、一日8時間週5日勤務、月給と時給に分かれる
Bパート、アルバイト:有期契約(一年毎の更新)、一日8時間週5日勤務、時給

● @ABそれぞれの従業員が育児介護休業法第23条第1項による短時間勤務の措置を受ける。
なお、
育児介護休業法第2条第1号及び第23条第1項でいう育児休業等は取得していない
(育児休業終了後の短時間勤務とはならない)。

● 短時間勤務中の雇用・給与形態
一日4時間・上限6時間、週5日勤務
基本給と時給単価は変更なし
月給者の給与は基本給から欠勤時間を控除、時給者は実働時間で支給


【日本年金機構本部回答】

ご照会の場合については、
そもそも被保険者となっていた者であり、
その者が育児介護休業法第23条第1項による勤務時間の短縮措置を受ける期間は、
昭和55年6月6日付け内かんにおいて「3 2に該当する者以外であっても1の趣旨に従い、
被保険者として取り扱うことが適当な場合があると考えられるので、

その認定に当たっては、
当該就労者の就労の形態等個々具体的事例に即して判断すべきものであること。」とされており、
勤務時間は上記の措置により短縮されるものの就労形態や職務内容等から総合的に勘案すれば、
被保険者とならないものではないと考える。


●勤務時間の短縮措置を受けている期間についての健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取り扱いについて
(平成22年10月29日 疑義照会(回答)No.2010-526)


【疑義内容】

事業所が就業規則により小学校3 年生までの子を養育する労働者に勤務時間の短縮を認めている場合、
勤務時間の短縮により4 分の3 基準を満たさなくなる者については、
育児介護休業法の規定外であることをもって、
小学校就学以後については当該被保険者資格を喪失するという解釈になりますか。

常 勤:週38.45 時間
該当者:週30 時間(1 日6 時間)勤務のところ、時間短縮により週20 時間(1日4 時間)となる。


【日本年金機構本部回答】

本事例については、
就業規則に基づき小学校入学から小学校3 年生までの子を養育する労働者の勤務時間が短縮されれば、
長期的かつ継続的に1日の所定労働時間が通常の就労者の4分の3未満であることが明確であるため、
被保険者資格は喪失になります。

ただし、
労働契約書等で定められている所定労働時間等のみで判断することが適当ではない場合
(例えば残業により日によって労働時間が大きく変動する者)もあり、
あくまでもそれぞれ個別のケースとして、具体的事例に則した総合的な判断が必要となります。




これら2つの事例は、
いずれも被保険者であった者が、勤務時間の短縮措置により労働時間が短くなった場合に、
被保険者資格を継続または喪失するのか?という問題です。

短時間勤務については、
まず正規型の労働者であるかどうかによって扱いが異なります。

正規型の労働者の場合は、
短時間就労者でない為、昭和55年内かんで判断するのではなく、
「短時間正社員に係る健康保険の適用について(平成21年6月30日 保保発第0630001号)」が適用されます。

これによれば、
事業所に短時間正社員に係る規定がある等一定の条件を満たせば、
労働時間が短くなったとしても、被保険者として取り扱うこととされています。

正規型の労働者でない場合は、昭和55年内かんで判断することになりますが、
これら2つの事例では、2010‐455は継続なのに対し、2010‐526は喪失とされており判断が異なります。

したがって、
明確な判断基準はなく、2010‐526の回答にもあるように、
「あくまでもそれぞれ個別のケースとして、具体的事例に則した総合的な判断が必要」ということになります。



「4分の3基準(平成28年10月以降)」へ。



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