従業員への福利厚生として、 企業が団体生命保険に加入する場合がありますが、
その保険料を会社が負担したとき、
その保険料は報酬・賞与に該当するのでしょうか?

生命保険料については、
以下の通知があります。


●健康保険法総覧(社会保険研究所 平成19年7月 平成19年4月版)
(P48)

【養老保険の保険料】
団体養老保険の保険料を事業主が負担している場合、
その保険契約によって受ける利益が従業員に及ぶものであっても、
当該保険に関する事項について労働協約、給与規則等に一切規定されておらず、
事業主が保険契約の当事者となって恩恵的に加入しているような場合には、
その事業主が負担する保険料は、報酬には含まれない。(昭和38年2月6日庁保険発第3号)


●従業員の生命保険契約に係る割引保険料の取扱いについて
(昭和47年10月18日庁保険発第29号)


自社の生命保険に加入した従業員の保険料の割引については、
次の理由により、報酬に含まれる。

1.保険契約の内容は、契約者である被保険者が
一般の団体保険料率を適用した保険料の全額を負担するのを建前としているものの、
それを内規(社友会契約取扱規定)により事業主が一定率を肩代りすることによつて割引いており、
しかも事業主の負担相当額は、毎月支給される報酬に上積みされ、
所得税法においても当該被保険者の所得とされていること。

2.保険契約は、被保険者の自由意思によるものであるが、
契約高などその取扱いは被保険者の勤続年数や雇用上の身分によつて区別されており、
自社商品を従業員に無差別に割引き販売するといつた福利厚生とは異なること。

3.かりにそれが従業員の福利厚生の見地から給付されるものであつても、
特定人に定期的かつ継続的に行なわれる場合、それは報酬とみるべきであつて、
自宅通勤者に対する住宅手当や通勤手当等と本質的に大差ないこと。




この通知を踏まえた
疑義照会回答が多数出されております。


●報酬の範囲について
(平成22年3月4日 疑義照会No.2010-119)

【疑義内容:退職金の準備として加入する養老保険】

・保険の種類:養老保険

・契約者:事業主

・被保険者:従業員および役員全員

・保険受取人:事業主

・満期保険受取人:従業員・役員

・解約時の支払先:事業主

・保険料負担:事業主(税務上は、1/2 を事業主、1/2 を被保険者)。

・新規に生命保険の加入を検討中(就業規則等の定めはないと思われる。)

この場合の生命保険料は、報酬・賞与に該当するか?


【日本年金機構本部回答】

全従業員を対象に事業主が保険料を負担していることや、
保険受取人が事業主であることから判断すると、
当該生命保険料は被保険者の提供する労務に何らかの金銭的評価を行い、
それを還元しているものとは言えない。

したがって、
当該保険料については報酬に含めない取扱いとなる。


●事業主が負担する保険料の取扱いについて
(平成22年5月7日 疑義照会No.2010-344)


【疑義内容:特定の取締役のみを対象とした生命保険】

・保険の種類:終身保険または定期保険

・契約者:事業主

・被保険者:特定の取締役のみ

・保険受取人:被保険者または遺族

・解約時の支払先:事業主

・保険料負担:事業主

・就業規則等の規定:役員報酬規定等に規定されていない

この場合の生命保険料は、報酬・賞与に該当するか?


【日本年金機構本部回答】

福利厚生の見地から恩恵的に行われているのであれば、
報酬・賞与に含めない。


●団体養老保険の保険料の取り扱いについて
(平成23年9月6日 疑義照会No.2010-991)


【疑義内容:役員のみを対象とした養老保険】

・保険の種類:団体養老保険

・契約者:事業主

・被保険者:役員のみ

・保険受取人:事業主

・満期保険受取人:被保険者

・解約時の支払先:事業主

・保険料負担:事業主(税務上は、1/2 を事業主、1/2 を被保険者)

この場合の生命保険料は、報酬・賞与に該当するか?


【日本年金機構本部回答】

事業主が負担する団体養老保険の保険料については、
福利厚生的なものとして恩恵的に行われているもので、
労務の対償と判断できない場合には、報酬に含めない扱いになる。


●報酬の範囲について
(平成22年9月6日 疑義照会No.2010-831)


●団体養老保険の保険料について
(平成22年9月6日 疑義照会No.2010-1185)


【疑義内容:身内と言える役員1名のみを対象とした生命保険】

・保険の種類:養老保険

・契約者:事業主

・被保険者:医療法人の理事(事業主の妻)

・保険受取人:事業主

・満期保険受取人:被保険者

・保険料負担: 1/2 を事業主、1/2 を被保険者

この場合の生命保険料は、報酬・賞与に該当するか?


【日本年金機構本部回答】

多数の従業員からなる事業所が、
就業規則等により本人の意思にかかわらず事業主が保険の契約をしているものではなく、
事業所の構成員は4人と少数の家族であり、
特段の定めもなく理事の中で1名のみが契約の対象となっている。

こうした事案については、
事業主が費用負担している保険料相当額が、
身内への実質的な報酬を目的としたものとなっているか個別に判断する必要がある。

事実上
法人の利益と本人の利益が不可分であり「実質的に身内間のみにその利益が及ぶもの」と確認され、
その法人の保険料負担の目的が「身内への実質的な報酬を目的としたもの」と判断できるならば、
「保険契約によって受ける利益」(昭和38 年2 月6 日庁保険発第3号)は報酬とすることが妥当であるため、
法人が負担する生命保険料2分の1を含めてその全額を報酬とすることになる。




以上の疑義照会を踏まええると、
生命保険料は、以下のように考えられます。

@就業規則等に規定している場合、「労働の対償」として報酬とされる可能性が高くなる。

A保険の対象者を限定しない場合は、恩恵的なものとされ報酬とされる可能性が低くなる。

B被保険者を特定の役員に限定する程度であれば恩恵的なものとされるようである。
 ただし、従業員の提供する労務に何らかの金銭的評価を行い、それを還元しているものと考えられる場合は、
 恩恵的なものとされず報酬とされる可能性が高くなる。

C事業主の妻など親族のみを被保険者としている場合など、
 その保険契約が身内への実質的な報酬を目的としたものと判断されれば、
 事業主負担分も含め保険料全額が報酬とされる。



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