企業は、従業員に業務遂行上必要となる資格を取得させるため、
資格学校の授業料や受験費用等の取得費用を負担することがあります。

これらの費用負担が報酬となるかどうかですが、
以下のような疑義照会回答があります。


●看護学生時に貸与された奨学金の返還を勤務期間中返還免除される場合の報酬の取り扱いについて
(平成23年1月24日 疑義照会No.2011-27)


【疑義内容:奨学金の返還免除】

奨学金は、
看護学校等に入学した時点で定められた在学期間に対する金額を決定し、
一括して貸与される。

看護学校等を卒業した後も奨学金を受けた医療機関に引き続き勤務する場合は、
奨学金の償還(返還)が月々免除される。

ただし、
引き続き勤務しない場合は、一括して償還する。

卒業後に引き続き勤務する場合は、
在学期間と同じ期間で奨学金を償還していくが、
毎月の免除される償還額は報酬に含めるのか?


【日本年金機構本部回答】

月々受ける債務の免除も「被保険者が事業所で労務に服し、
その対価として・・・事業主より受け得る利益」(昭和32 年2 月21 日保文発第1515 号)
に該当するので労働の対償になる。

また
債務の免除は奨学金の貸与規程に基づき行われること等から、
これを任意的、恩恵的と考えることはできず、報酬に該当する。

なお
この奨学金は返還の義務がある貸与であるため、
所定の期間勤務することにより返還義務の免除を受けることができる場合であっても、
将来の労働の対価と解する余地はなく賞与とはならない。


●報酬の範囲について
(平成22年5月11日 疑義照会No.2010-466)


【疑義内容:業務と関係のない資格費用】

従業員が弁護士資格を有しており、
その者に係る弁護士登録費用と弁護士登録後の弁護士会費について、
給与規定等の定めなく事業所が負担しているが、その費用が報酬等に該当するか?

なお、業務と弁護士資格の関係は無い。


【日本年金機構本部回答】

報酬の定義である「労働の対償として」とは、
「現実に労働が提供され、その現実の提供に対して」という狭い意味ではなく、雇用関係があり、
被用者が使用者に労務を提供するということを前提として使用者が被用者に支払うものであればよい、という解釈になっている。(昭和32 年2 月21 日保分発第1515 号)

ご質問の場合のように、
給与規定等に定めが無い場合であっても、被用者に毎年(毎月)生じる費用を使用者が支払う場合は、
被用者にとっての経常的実質的収入の意義を有するものと考えられることから、
報酬に含むのが妥当と考える。




これらの疑義照会回答を踏まえると、
従業員の自由意思による資格に係る費用を企業が負担する場合、
その利益が企業に及ぶかどうかに係らず報酬・賞与とするものと考えられます。

また、
企業の業務命令による強制的な資格取得の場合、
具体的事例は示されておりませんが、疑義照会No.2010-656を考慮すると、
少なくとも実費弁償的費用は報酬・賞与とならないと考えられます。

なお、
有資格者に対して資格手当を支給する場合がありますが、
資格手当は原則として報酬・賞与となります。



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