資格取得時の報酬月額は、
健康保険法第42条および厚生年金保険法第22条
により決定することになります。


●健保法第42条

保険者等は、
被保険者の資格を取得した者があるときは、
次に掲げる額を報酬月額として、
標準報酬月額を決定する。

一 月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、
  被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額を
  その期間の総日数で除して得た額の三十倍に相当する額

二 日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、
  被保険者の資格を取得した月前一月間に
  当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者
  が受けた報酬の額を平均した額

三 前二号の規定によって算定することが困難であるものについては、
  被保険者の資格を取得した月前一月間に、
  その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者
  が受けた報酬の額

四 前三号のうち二以上に該当する報酬を受ける場合には、
  それぞれについて、前三号の規定によって算定した額の合算額




健康保険法第42条第1項第1号に
「一定期間によって報酬が定められる場合には、
その期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額」
とされていますが、

月給の場合には、
月給として定められた額を
そのまま報酬月額として差し支えありません。



同項第2号および第3号による取り扱いは、
客観的妥当性を確認することが困難であると思われ、
実務的にはほとんど行われておりません。

平成28年5月13日 保保発0513第2号の2(3)BおよびC
に同様の表現がなされており、
同Eでは、
「 上記B又はCの方法で報酬月額を算定する場合で、
同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が
当該事業所又は当該地方に存在しないときは、
就業規則、雇用契約書等に基づき、
個別に報酬月額を算定することとする。」と通知されています。

また、
日本年金機構の業務処理マニュアルU「被保険者」
1「被保険者資格取得届」1.(1)C「報酬の範囲の説明」
には、
「残業手当などは、見込み額を算出して、報酬に加算する必要がある。」
と記載されています。

したがって、
月給、週給だけでなく、日給や時給の場合でも、
就業規則、雇用契約書等に基づき、
見込み額により算定すれば問題ないでしょう。



なお、
被保険者資格は報酬の多少によって判断はされませんが、
最低賃金法に抵触するような低額の報酬は違法となるので注意が必要です。

資格取得時の報酬の算定方法をまとめるならば、
下表の額を合算したものと言えます。

報酬の決定方法

報酬月額の算定方法

月給

月給額をそのまま報酬月額に算入

週給

(週給額÷7日)×30日

期間給

(期間給額÷期間の総日数)×30日
例:3月1日〜8月31日までの期間雇用の場合
(期間給額÷184日)×30日

日給

日給額×資格取得時に見込まれている月間出勤日数

時間給

時間給額×資格取得時に見込まれている月間労働時間

出来高・請負給

出来高・請負給の見込み額






資格取得時の報酬月額は、
想定される見込み額で算定するため、
見込みと実績が大きく異なることがありますが、
明らかな誤りでない限り資格取得時の報酬訂正は行いません。


●資格取得時に決定した報酬の訂正について
(平成22年6月4日(8月6日修正) 疑義照会(回答)No.2010-381)

●受付番号No. 2010-381の回答について
(平成22年8月11日  疑義照会(回答)No.2010-841)

●資格取得時報酬訂正の回答に関する事務取扱について
(平成22年12月10日  疑義照会(回答)No.2010-1072)


被保険者が
その資格を取得した際の標準報酬月額は、
厚生年金保険法第22条、健康保険法第42条により
その決定方法が定められている。

これは被保険者となる者が
資格取得する際に現実に支払われた報酬がない時点で、
どのように報酬月額を決定するのかを定めているものであり、

また、
毎年の定時決定は、
すでに決定されている標準報酬月額が
実際に受ける報酬に見合う標準報酬月額にするためと解される。


こうして決定された標準報酬月額に著しい変動を生じた場合に限り、
随時改定することとされており、
その変動要因は固定的賃金の変動に限定されている。

これらのことから資格取得時の報酬訂正を行うのは、
固定的賃金や手当の算入もれ、明らかな計算誤りがあった場合等と考え、
資格取得時に見込んでいたほどの残業手当が、
実際に支払われた残業手当と著しい差異が生じたとしても、
資格取得時の報酬訂正は行わないのが妥当と考える。

また、
健康保険と厚生年金保険は、制度は別であるが、
資格取得時決定の考え方に相違はないため、
厚生年金保険のみ資格取得時訂正を行うことはできない。


●報酬について
(平成22年2月8日 疑義照会(回答)No.2010-100)


【疑義内容】

被保険者が就業規則に定めている振替休日を取得していないことが判明し、
遡って3 年分を金銭により清算することとなった。

労働基準監督署に確認したところ、
労働の対価として報酬とするとの見解を得た。

清算し支給された報酬について、
賞与として取り扱うのか、
また標準報酬月額に含めて取り扱うのか、
具体的な取り扱いについて教示願います。


【日本年金機構本部回答】

ご照会の事例のように遡って支給された報酬については、
原則として、
各月それぞれの支給額を確認の上で標準報酬月額に含め、
算定基礎届等の訂正を行うことが必要になる。


●報酬の訂正について
(平成22年3月28日 疑義照会(回答)No.2010-277)

【疑義内容:被保険者本人の過失による報酬の遡及払いにおける報酬の訂正】

事業所の誤りや是正勧告により、
手当および報酬が遡及払いされた場合については
「算定基礎届の訂正を行う。」こととされているが、

本人の過失の場合
(例:転居等の申告を事業所へ未申告により住居手当・通勤手当が遡及して差額が支払われた場合等)
でも同様に算定基礎届の訂正を行う取扱いで良いのか。

また、
本人の過失により遡及して手当等が減額し、
過払い分を事業所へ返納金として戻入した場合についても
同様に算定基礎届の訂正を行う取扱いで良いのか。


【日本年金機構本部回答】

報酬の訂正の理由が本人の過失によるものであっても、
本来適正に届出されるべきものが、単に誤っていたことと変わりはなく、
算定基礎届等の訂正を行うこととなる。


●遡及して報酬の一部(手当)が無くなった場合の標準報酬月額の取り扱いについて
(平成22年2月24日 疑義照会(回答)No.2010-127)


【疑義内容】

遡及して手当等の一部が無くなった場合、
遡って算定基礎届の訂正や取得時報酬訂正とすべきか、
遡らずに手当支給しなくなった月から3 ヶ月平均し
月額変更届として該当すれば提出させるべきかご教示願います。

具体的な事例としては、
平成21年4月1日資格取得し扶養手当を支給していたが、
扶養手当の支給要件に当初から該当しないことがわかり、
平成21年4月から平成22年1月までの既支給分については、現金にて返納させた。

平成22年2月以降については扶養手当の支給をしない。


【日本年金機構本部回答】

ご照会の事例については、
本来適正に届出されるべきものが、単に誤っていたものであるため、
算定基礎届等の訂正を行うことが必要となる。

また、
類似の事例として、
昇給又は降給が遡って発令された場合においては、上記とは異なり、
差額が支給された月を固定的賃金の変動があった月とすることとなるので、
取り違いのないようにご注意いただきたい。





不況等により賃金カットが行われた場合等、
資格取得時に本来の給与額より低い状態であったときは、
どのように算定するのでしょうか?

次の通知および疑義照会回答が参考になります。


●一時帰休等の措置がとられた場合における健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格及び標準報酬の取扱いについて
(昭和50年3月29日 保険発第25号・庁保険発第8号)

2 標準報酬の取扱い
(1) 一時帰休の場合
一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬よりも
低額な休業手当等が支払われることとなった場合の
標準報酬の決定及び改定は、次により取扱うこと。


ア定時決定
標準報酬の定時決定の対象月に一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合においては、
その休業手当等をもつて報酬月額を算定し、標準報酬を決定すること。

ただし、
標準報酬の決定の際、既に一時帰休の状況が解消している場合は、
当該定時決定を行う年の十月以後において受けるべき報酬をもつて報酬月額を算定し、
標準報酬を決定すること。


イ随時改定
一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬よりも
低額な休業手当等が支払われることとなった場合は、
これを固定的賃金の変動とみなし、随時改定の対象とすること。

ただし、
当該報酬のうち固定的賃金が減額され支給される場合で、
かつ、
その状態が継続して三か月を超える揚合に限るものであること。

なお、
休業手当等をもつて標準報酬の決定又は改定を行った後に
一時帰休の状況が解消したときも、随時改定の対象とすること。


(2) 賃金カットの揚合
労働協約等に基づき固定的賃金について
いわゆる賃金カットが行われた場合は、
2の(1)に準じて取扱うこと。


(3) 自宅待機の場合
自宅待機に係る者の被保険者資格取得時における標準報酬の決定については、
現に支払われる休業手当等に基づき報酬月額を算定し、
標準報酬を決定すること。


●資格取得時に労働協約等に基づく賃金カットが行われていた場合における報酬の取扱いについて
(平成22年9月13日 疑義照会(回答)No.2010-508)

【疑義内容】

不況により、
4月から8月まで賃金カットを行うこととなった事業所において、
4月に入社した職員についても同様の賃金カットが行われることとなった。

この場合、
取得時の報酬について、
本来の報酬、賃金カットが行われた実際に受けることになる報酬
どちらの報酬により決定を行えばよいか。

その際、
本来の報酬にて決定を行った場合において、
取得後三ヶ月の報酬により随時改定は可能か。

また、
4・5・6月報酬の賃金カットが行われていたが、
定時決定時において賃金カットの状態が解消されていた場合、
【昭和五〇年三月二九日、保険発第二五号・庁保険発第八号】通知に基づき、
9月以後において受けるべき報酬をもって報酬月額を算定するため、
本来であれば賃金カットが行われる前の従前報酬をもって定時決定を行うと思慮いたします。

しかし、
本件において取得時の報酬が賃金カットの行われた報酬で行われていた場合、
従前報酬が存在しないため、
どのようにして報酬を決定すればよいかご教示ください。


【日本年金機構本部回答】

厚生年金保険法第22条第1項の規定により、
被保険者が資格を取得した際の標準報酬の決定において、
月給や週給の場合など、
一定の期間によって報酬が定められている場合については、
被保険者となった日現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の三十倍
に相当する額とされている。

それは、
ご照会の事例のように、
労働協約等に基づき賃金の一部がカットされている場合であっても同様である。

また、
労働協約等に基づく賃金カットによる定時決定の際、
既に賃金カットの状態が解消している場合については、
通常であれば従前の報酬により決定することとなるが、

本件については、
資格取得時に遡っても、なお賃金カットの影響を受けるものであることから、
この場合、
資格取得時の報酬から賃金カットによる影響を控除した金額により決定することとなる。


●一時帰休中に嘱託として再雇用された者の取得時報酬月額について
(平成23年5月27日 疑義照会(回答)No.2011-237)

【疑義内容】

平成21年3月から予定では平成24年2月まで
一時帰休として被保険者に対して、
休業手当が支給されることとなります。

この状況で特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者が
嘱託として平成23年5月に再雇用されたことにより
資格取得届を提出する際、
雇用契約上の報酬月額を記載するか、
実際の報酬に対して8 割休業手当を支給した場合の報酬月額を記載するべきか
ご教示願います。

なお、
平成21年3月以降は
一等級の差程度で月額変更の対象になったことはありません。

また、
退職前の本来給は、基本給と各種手当により20 万程度であり、
再雇用後の本来給は12 万程度です。


【日本年金機構本部回答】

厚生年金保険法第22 条、健康保険法第42 条により
「被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額」
を基に資格取得時の標準報酬月額を決定するとされています。

また、
昭和50年3月29日保険発第25 号・庁保険発第8 号通知の中で、
自宅待機者の資格取得時決定について

「現に支払われる休業手当等に基づき報酬月額を算定し、標準報酬を決定すること」
とされていることから、
一時帰休中に退職後再雇用される特別支給の老齢厚生年金の受給権者である
被保険者の取得時報酬についても、
実際に支給される休業手当により決定すると考えます。


●資格取得時における報酬月額について
(平成22年8月18日 疑義照会(回答)No.2010-600)

【疑義内容】

月の途中採用の場合は
諸手当については翌月からの支給されるとき、
資格取得時の報酬月額はどのように算定すべきか?


【日本年金機構本部回答】

健康保険法第42条第1項の規定により、
被保険者が資格を取得した際の標準報酬の決定において、
月給や週給の場合など、一定の期間によって報酬が定められている場合については、
被保険者となった日現在の報酬の額を
その期間の総日数で除して得た額の三十倍に相当する額とされている。

よって、
本件についても、
被保険者となった日現在においては、諸手当が支給されないことが明白である以上、
それを報酬の一部に加えるべきではなく、
当該手当が支給される5月を起算月として 随時改定の要否を判断することとなる。


●1月遅れで通勤手当が支払われる場合の報酬月額のとらえ方について
(平成24年1月31日 疑義照会(回答)No.2012-5)

【疑義内容】

A 市に関連する団体に勤務する職員の給与規定によれば、
通勤手当について、
電車にかかる分は6ヶ月定期券相当額が採用月の翌月から半年ごとに、
バスにかかる分は定額のバス通勤手当が採用月の翌月から毎月
支払われることになっています。

具体的には、
平成23年4月1日採用の職員に対して、
4月支払分給与は通勤手当が含まれず、
5月支払分は4〜9月の6ヶ月定期券相当額と
1ヶ月分(4月通勤分)のバス通勤手当(定額)が支払われ、
6月支払分は1ヶ月分(5月通勤分)のバス通勤手当(定額)が支払われています。


【日本年金機構本部回答】

資格を取得した際の報酬については、
健康保険法第42条第1項第1号、厚生年金保険法第22条第1項第1号では
「月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、
被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額を
その期間の総日数で除して得た額の三十倍に相当する額」
により決定すると規定されています。

ここでいう
「被保険者の資格を取得した日の現在の報酬」とは
取得時に適用される給与規定等により支給することが明確である報酬と解するべきであり、
実際の支給が翌月になる場合であってもこれを除外して算定することはできません。

したがって、
本件の被保険者の資格取得時の報酬については、
電車とバスの通勤手当の1月分を基に加算して算定することになります。

また、
定時決定における各月の報酬については、
原則としてその月に受けた報酬により算定するため、
バスの通勤手当については、
各月に支給された手当をそのまま加算することになります。

しかし、
電車の通勤手当については、
4月分から9月分までの手当をまとめて5月に支給していることから、
本来4月に支給すべき手当を5月に支給していると考え、
5月に支給された手当を6で除した額を
4月から6月の各月の報酬に加えて算定することになります。





賞与に係る報酬は、
これから支払われるであろう報酬を今までの実績から見込んで算定する
という基本的な考え方があります。

次の疑義照会を参照してください。


●定年・再雇用時の賞与保険料について
(平成22年11月29日 疑義照会(回答)No.2010-1111)

【疑義内容】

賞与の支給が年4回(1月、4月、7月および10月)の事業所で、
平成21年9月に定年・再雇用のよる資格喪失・再取得
(再雇用後、賞与の支払いは無くなる。)。

その際の取得時報酬には賞与を含めず提出。

平成22年の算定基礎届では、
7月および10月の賞与支払分を算入し届出する。

平成20年7月から平成21年4月の賞与に対して保険料の発生が無いが、
取得時の報酬に算入するか、
またその後の支払分は算定基礎届に含めるかご教示願います。


【日本年金機構本部回答】

平成21年9月1日以降の雇用形態において賞与の支給は無くなる為、
再雇用時においての取得時報酬の決定については、
賞与を算入しない。

なお、
平成21年10月(再雇用前の勤務に対して)に賞与が支給された場合は
支給日において現存被保険者の為、
賞与として賞与支払届の提出が必要となる。

なお、
ご照会の質問においては、
質問内容から
支払いのあった賞与をその後の定時決定で徴収するような考え方をしているため、
ご質問の内容にいたったと想定されるが、
昭和53年6月20日保発第47号、庁保発第21号通知から
取得時および定時決定時にこれから支払われる賞与を見込んで算定する考え方
なので留意してください。



「定時決定時の報酬月額」へ。



トップページへ戻る。