企業は労働者を解雇する際に
解雇日の30日以上前に解雇の予告ができない場合、
30日に不足する日数分の平均賃金を支払わなければなりません

たとえば、
解雇日の10日前に予告した場合は、
20日分以上の平均賃金を支払う必要があります。

この不足する日数分の平均賃金の支払いを
「解雇予告手当」
といいます。

解雇予告手当や退職金は、
以下の通知のとおり原則として報酬とはなりません。


●健康保険法の解釈と運用
(P165、167)


労働基準法第20条の規定による
解雇予告手当又は退職手当は報酬ではない。
(昭和24年6月24日保発第1175号)


被保険者の受ける贈呈金が、
退職金に相当する性質のものは労務の対償として受ける報酬ではない。
(昭和26年11月17日保文発第4995号)




ただし、
たとえ退職金であっても、
退職前に給与や賞与に上乗せして前払いする場合は、
原則として以下の通知のとおり報酬として扱われます。


●いわゆる退職金の前払いに係る社会保険料の取扱いについて
(平成15年10月1日保保発第1001002号・庁保険発第1001001号)


被保険者の在職時に、退職金相当額の全部又は一部を給与や賞与に上乗せするなど前払いされる場合は、
労働の対償としての性格が明確であり、
被保険者の通常の生計にあてられる経常的な収入としての意義を有することから、
原則として、法第3条第5項又は第6項に規定する報酬又は賞与に該当するものであること。

支給時期が不定期である場合についても賞与として取り扱い、
これが年間4回以上支払われているものであれば、
報酬として通常の報酬月額に加算して取り扱うこと。

また、
退職を事由に支払われる退職金であって、
退職時に支払われるもの又は事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるものについては、従来どおり、
法第3条第5項又は第6項に規定される報酬又は賞与には該当しないものと取り扱うこと。




事業所の退職金制度変更に伴い前払いされる場合は、
以下の疑義照会回答のとおり
「事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるもの」
に該当し報酬(賞与)とはされません。


●適格退職年金の廃止に伴い支給された解約一時金について
(平成22年2月8日 疑義照会(回答)No.2010-114)


一時金として精算する場合においては、
報酬または賞与のいずれにも該当しない。


●退職金の前払いに係る社会保険料の取扱いについて
(平成22年5月7日 疑義照会(回答)No.2010-383)

●企業年金制度の移行に伴い発生した不足分を一時金として支給した場合の取扱いについて
(平成22年12月1日 疑義照会(回答)No.2010-1122)

適格退職年金を廃止し他の制度に移行する際に支給された差額一時金について
事業所内の制度を改正するための一時金であり、
「事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるもの」
と解するのが妥当。




また、
前払いとは逆に、
退職後にシニアとして継続雇用する場合に
分割払いされる退職金はどうなるのでしょうか?

役員の例ではありますが、
以下のような疑義照会回答があります。


●在職時に分割して支払われる退職金に係る社会保険料の取扱いについて
(平成22年6月3日 疑義照会No.2010-400)


【疑義内容】

退職予定であった法人代表者が後任者不在の為、
退職予定日後も引き続き在職している間に
給与や賞与に上乗せせず単独で毎年分割払いされる退職金は、
報酬・賞与に該当するかどうか?


【日本年金機構本部回答】

客観的に「退職」と判断できる場合であって、
かつ、その支払が「退職」を事由に支払うこと、退職金の金額が明確にされていることが書類等(役員会の議事録など)で確認できれば、
「退職金」として報酬に含めない取扱いとして差し支えない。




この疑義照会を踏まえると、
就業規則等に定年退職について明文化しておき、退職金額も客観的に計算できるようにしておけば、
退職後継続雇用する従業員に対して分割して退職金を支払っても、
報酬・賞与として扱われないものと思われます。

なお、
退職金は退職時に一時金払いするのではなく、
企業年金として年金払いする場合もあります。

この場合は、
従業員が退職することによって被保険者資格を喪失すれば、
企業年金を支給する時には被保険者ではない為、
社会保険料を徴収されることはありません。



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