@随時改定の基本原則


A「固定的賃金」と「非固定的賃金」の違い


B報酬の支給単価または支給率の変動となる場合


C報酬の支給単価または支給率の変動とならない場合


D手当の新設または廃止による固定的賃金の変動


E勤務内容の変更による固定的賃金の変動


F労働時間の変更による固定的賃金の変動








随時改定時の報酬月額は、
健保法第43条および厚年法第23条
により決定することになります。


●健康保険法第43条

保険者等は、
被保険者が現に使用される事業所において
継続した3月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、17日以上でなければならない。)
に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、
その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、
必要があると認めるときは、
その額を報酬月額として、
その著しく高低を生じた月の翌月から、
標準報酬月額を改定することができる。

2 前項の規定によって改定された標準報酬月額は、
その年の8月(7月から12月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の8月)
までの各月の標準報酬月額とする。


●健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて(局長通達)
(昭和36年1月26日 保発第4号)

2 随時改定
(1) 標準報酬月額の随時改定は、
  次の各項のいずれかに該当する場合に行なうこと。

  ただし、
  これに該当する場合であっても、
  健康保険法第44条第1項または厚生年金保険法第24条第1項
  に規定する算定(以下「保険者算定」という。)が行なわれることにより、
  その結果次の各項のいずれにも該当しなくなる場合はこの限りでないこと。

ア 昇給または降給によって
  健康保険法第43条第1項または厚生年金保険法第23条第1項
  の規定により算定した額(以下「算定月額」という。)による等級と
  現在の等級との間に二等級以上の差を生じた場合

イ 健康保険第49級または厚生年金保険第30級の標準報酬月額
  にある者の報酬月額が昇給したことにより、
  その算定月額が健康保険1,415,000円以上または厚生年金保険635,000円以上となった場合

ウ 第1級の標準報酬月額にある者の報酬月額
  (健康保険にあっては報酬月額が53,000円未満、
  厚生年金保険にあっては報酬月額が83,000円未満である場合に限る。)
  が昇給したことにより、
  その算定月額が第二級の標準報酬月額に該当することとなった場合

エ 健康保険第50級または厚生年金保険第31級の標準報酬月額にある者の報酬月額
  (健康保険にあっては報酬月額が1,415,000円以上、
  厚生年金保険にあっては報酬月額が635,000円以上である場合に限る。)
  が降給したことにより、
  その算定月額が健康保険第49級または厚生年金保険第30級以下
  の標準報酬月額に該当することとなった場合

オ 第2級の標準報酬月額にある者の報酬月額が降給したことにより、
  その算定月額が健康保険にあっては53,000円未満、厚生年金保険にあっては83,000円未満
  となった場合


(2) (1)のアからオまでにいう昇給又は降給とは、
  固定的賃金の増額又は減額をいい、
  ベースアップ、またはベースダウンおよび賃金体系の変更による場合
  並びにこれらの遡及適用によって差額支給を受ける場合を含み、
  休職による休職給を受けた場合を含まないものとすること。


(3) (1)のアからオまでにいう算定月額の算定にあたっては、
  原則としていずれも当該昇給月または降給月以後継続した3ヶ月間
  に受けた報酬をその計算の基礎とすること。


●健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬の定時決定及び随時改定の取扱いについて(課長通達)
(昭和36年1月26日 保険発第7号)

2 随時改定関係
(1) 随時改定は、昭和36年1月26日 保発第4号(以下、局長通達)
  に該当する場合においてのみ行なうこととし、
  報酬変動がこれ以外の場合においては原則として行なわないものとすること。

(2) 前記(1)により標準報酬月額を改定する場合には、
  原則として局長通達の記の2の(2)に定める昇給または降給があつた月の翌々月を
  健康保険法第3条第4項に規定する「其ノ著シキ高低ヲ生ジタル月」
  または
  厚生年金保険法第23条第1項に規定する「その著しく高低を生じた月」と解し、
  その翌月より行なうこととすること。

(3) 局長通達の記の2の(1)ただし書に該当する場合であっても、
  健康保険法施行規則第4条および厚生年金保険法施行規則第19条の規定に基づく
  報酬月額変更届の提出は必らず行なうよう指導すること。
   なお、
  届書の備考欄には、変動の理由、金額及びその他必要な事項を附記させること。

(4) 従前の取扱いによって
  本年6月以前の月に随時改定されるべきものについては、
  なお従前の例によること。








随時改定が行われる重要な要件の一つとして、
報酬が昇給または降給している必要があります。

ただし、
単に報酬が昇給または降給すればよいのではなく、
その変動の原因が「固定的賃金の変動」でなければなりません。


固定的賃金とはどのような概念をいうのでしょうか?

随時改定に係る疑義照会回答は多数存在しますが、
固定的賃金と非固定的賃金の違い
について論じている疑義照会はほとんど見当たりません。

日本年金機構の業務処理マニュアルや
算定基礎届総括表によれば、
下表のように分類できます。


【固定的賃金と非固定低賃金】

固定的賃金

非固定的賃金

支給額や支給率が毎月一定である報酬

毎月の支給額や支給率が一定でない報酬

基本給、住宅手当、家族手当、役付手当、物価手当、
通勤手当等

残業手当、皆勤手当、宿日直手当、能率手当、
生産手当等


※物価手当:物価の高騰が著しいときに、生計費の増加をカバーする目的で設けられた
 生活補助的な手当で、インフレが終息すれば廃止することを前提としている。

※能率手当(能率給):仕事の能率に応じて賃金を支払うという形のもので、
 狭義には、出来高給、時間請負給など、個人の労働能率に直接結びついて賃金が支払われるもの。

※生産手当(生産奨励給):部門、工場単位または企業全体の生産性向上や業績に応じて
 支給される賃金で、団体(集団)能率給とも呼ばれる。



原則として、
固定的賃金とは労働の結果によらず月額固定の報酬であり、
非固定的賃金とは労働の結果に応じて額が変動する報酬といえそうです。

ただし、
たとえば通勤手当=固定的賃金とされていますが、
毎月のガソリンの市場価格変動に応じて通勤手当の単価を変動させている場合は、
毎月の支給額が一定ではないことになります。

この場合の通勤手当は、
その名称にとらわれず実態に即して判断するとすれば、
固定的賃金ではなく非固定的賃金として取り扱った方がしっくりきそうですが、
そのような取り扱いにはなっていません(疑義照会No.2010-515No.2010-642)。

この取り扱いは、
毎月査定結果により基本給や職能給等が変動するような場合も同様です
(疑義照会No.2010-722No.2010-1033)。


●通勤手当について
(平成22年7月14日 疑義照会(回答)No.2010‐515)


【疑義内容】

ガソリンの市場価格の変動を毎月、通勤手当へ反映させる場合、
固定的賃金の変動に該当するのか?


【日本年金機構回答】

報酬を決定する際に基準とする単価が変動しているのであれば、
月ごとに変動を生じるものであっても、
固定的賃金の変動として取扱うこととなる。


毎月変更される通勤手当の随時改定について
(平成22年9月27日 疑義照会(回答)No.2010-642)

労働の対価として一定の給与規程等に基づいて
支給されるものは報酬の範囲に含まれる。

したがって、
その報酬を決定する際の根拠となる「単価」が変動しているのであれば、
固定的賃金の変動として取扱うこととなる。

期間をまとめて(数ヵ月単位)通勤費を支払う場合であっても、
その通勤費を計算する根拠となったガソリンの単価に変動が生じるのであれば、
その期間ごとに随時改定の対象とすべきであると考える。


●随時改定について
(平成22年10月14日 疑義照会(回答)No.2010-722)


【疑義内容:毎月変動する基本給】

• 毎月基本固定給が変動する可能性がある。
• 毎月の査定については、当月の成績・人事評価を考慮し翌月に適用する。
• 歩合による手当てが別にあり、歩合については非固定的なものである。
• 当該事業所においては職級ごとに固定的な手当てを設定しており、
 固定的な手当て全て含めて基本固定給としている。


【日本年金機構本部回答】 

基本給および固定的な手当てに関しては、
固定的賃金に該当する。

この固定的賃金が査定により毎月変動する可能性がある場合でも
固定的賃金の変動に当たるので月額変更の契機となる。


●固定的賃金と非固定的賃金の判別について
(平成22年11月16日 疑義照会(回答)No.2010-1033)


【疑義内容:査定等により毎月変動する報酬】

毎月営業成績等の査定が行われ基本給が変動する場合、
会社の前々月の収益状況により毎月減額率が見直され
職能給が変動する場合は、
固定的賃金の変動に該当するか?


【日本年金機構本部回答】 

固定的賃金とは、
支給額や支給率が定められているもので、
その変動があれば固定的賃金の変動となる。

営業成績などで賃金が毎月変動する場合でも、
それにより職級等が変動し、
あらかじめ就業規則等により定められた報酬が支給される場合等は
固定的賃金の変動に該当する。


固定的賃金の変動は、
どの報酬を基準として変動を判断するのでしょうか?

以下の疑義照会(No.2010-619No.2010-1171)にあるとおり、
直近の標準報酬月額の基礎となった報酬月額の平均と比較するのではなく、
当月の報酬額を前月と比較して変動を判断します。


●交通費が毎月変動する者の随時改定について
(平成22年10月18日 疑義照会(回答)No.2010‐619)


「昇給または降給とは、固定的賃金の増加又は減額をいい」、
「その算定月額の算定にあたっては、
原則としていずれも当該昇給月または降級月以後継続した三ヶ月間に受けた報酬
をその計算の基礎とする」と示されている。

昇給月や降給月とは、
一般的に前月と比較していわれるものである。


●疑義照会2010-619【交通費が毎月変動する者の随時改定について】の回答に係る質問等について
(平成22年12月24日 疑義照会(回答)No.2010‐1171)


『昇給又は降給』とは、
随時改定の契機となる要件を述べているにすぎず、
「二等級の差があるかどうか」については、
「継続した三月間に受けた報酬の総額を三で除した得た額」と
「その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額」と比べ、
随時改定に当たるか判断するものであるが、

随時改定の契機となる「昇給又は降給」の比較の対象とは、
別であると 解釈するほうが運用上妥当である。

よって、
「昇給又は降給」とは前月と比較すると考えるのが妥当である。


固定的賃金の変動とは、
固定的賃金の増額又は減額をいい、
ベースアップまたはベースダウンおよび賃金体系の変更による場合、
これらの遡及適用によって差額支給を受ける場合を含むとされています。

具体的には、
@報酬の支給単価または支給率が変動したとき
および
労働契約等の変更(A手当の新設または廃止、B勤務内容の変更およびC労働時間の変更)
による固定的賃金の変動に分類できると考えます。

詳細にみていきます。








月給(疑義照会No.2010-722No.2010-1033)、
日給(疑義照会No.2010-1256)、
時給(疑義照会No.2010-211No.2011-126
年俸(疑義照会No.2010-725 、厚年指2013-119Q&A Q3-11)等の基本給や

通勤手当(疑義照会No.2010-515No.2010-409No.2010-925)等の
固定的な手当の支給単価または支給率が変動した場合は、
固定的賃金の変動と取り扱われます。

また、
現物給与の標準価格が告示により改正された場合も、
随時改定の対象となります(厚年指2013-119問12)。


●月額変更届にかかる固定的賃金の変動について
(平成23年1月14日 疑義照会(回答)No.2010-1256)


各現場の報酬日額単価が変動した場合には
固定的賃金の変動
として、要件を満たせば随時改定を行うこととなる。


●歩合制の場合の月額変更届について
(平成22年4月6日 疑義照会(回答)No.2010-211)


ご照会の事例のように
時間給の単価が変更されたのであれば、
それは固定的賃金の変動である。


●非固定的な単価の変更に伴う月額変更届について
(平成25年6月11日修正 疑義照会(回答)No.2011-126)


【疑義内容:毎月時給が変動する場合】

基本給の決め方が、
当月の業務成績により毎月の時給(680円〜2000円)を決定し、
その時給に基づき基本給を計算している場合、
固定的賃金の変動に該当するか?


【日本年金機構本部回答】 

ご照会の事例については、
基本給(680〜2000円)が変更される都度、
随時改定の要否を判断することになります。


●随時改定の事務取扱いにかかる事例集およびQ&A(指示・依頼)
(平成25年6月7日 厚年指2013-119)

Q3−11

年俸制で各月の支払額が異なる金額に設定されている場合

年俸制:1月より180万円から120万円へ変更

給与の支払
12月:15万円(変更前)
1〜2月:5万円
3月〜12月:11万円


A3-11

年俸制の被保険者であっても、
各月に労働の対償として役員報酬が支払われていれば、
その実際の支給額の増減をもって随時改定を行う。

(5万円+5万円+11万円)÷3=7万円

この事例の場合、
3月を起算月として再度、随時改定を行う。


●随時改定について(定期券の扱い)
(平成22年5月7日 疑義照会(回答)No.2010-409)


【疑義内容:通勤手段の変更による通勤手当の変動】

(ア)自宅の所在地が変更なしで、通勤手段が変更
  (例えば事例のように、バス会社の変更、バスから電車へ変更)し、
  金額が変更となった場合

(イ)自宅の所在地の変更に伴い、通勤手段も変更し金額が変更となった場合

(ウ)自宅の所在地が変更なしで、通勤定期券の種類が変更
  (具体的には、一般の定期券から「企業定期券」
  (同企業の者が5名以上で購入すると5%割引)に変更)となり、
  金額が変更となった場合


【日本年金機構本部回答】 

通勤定期券を支給している場合も、
単に現金で支給するか現物として支給するかの違いであるので
通勤手当と同じ固定的賃金といえる。

よって、
(ア)〜(ウ)の場合は固定的賃金の変動と考えるのが妥当である


●通勤手当にかかる随時改定について
(平成22年10月25日 疑義照会(回答)No.2010-925)


疑義照会No.2010-409の(ウ)と同様のケースと考え、
定期券の券種の違いにより割引率が異なるものであれば
1回あたりの通勤費に変動が生じるため、
これを固定的賃金の変動とみなし随時改定の要件に該当するものと思料する








報酬の支給単価または支給率に変動がある場合でも、
懲戒処分による減給、停職処分を受けたときは
固定的賃金の変動として取り扱わないことになります(疑義照会No.2010-1261No.2011-52)。


●月額変更(随時改定)の該当要件について
(平成23年1月19日 疑義照会(回答)No.2010-1261)


【疑義内容:懲戒処分による報酬の減額】

@基本給の5%を3ヶ月間減じる旨の懲戒処分を受けたとき。
A上記@の処分が1ヶ月延長されることになったとき。
B停職3ヶ月(その間無給)とされたとき。
C上記Bの者が、復職後は降格となり役職手当が無くなったとき。


【日本年金機構本部回答】 

懲戒処分による減給があった場合でも
固定的賃金そのものの変更がない限り
月額変更の対象となる固定的賃金の変更とはならない。

したがって
Cのみ月額変更の対象となる。

また懲戒処分による減給は
昭和50年3月29日付保険発第25号・庁保険発第8号の
「いわゆる賃金カット」には該当しない


●同時期における減給制裁と固定的賃金の変動に係る随時改定ついて
(平成23年2月28日 疑義照会(回答)No.2011-52)

【疑義内容】

3ヶ月間の基本給の減給制裁がある一方で、
同時期に役職手当などの付与による固定的賃金の変動がある場合の
随時改定の取り扱いについてご教示願います。

なお、
減給制裁については、
労基法91条に基づき就業規則に定められており、
賃金台帳には、基本給欄に減額後の金額が記載されている。


<対応案>

@ 疑義照会No.2010-1261によると、
  本件の減給制裁は昭和50年3月29日付保発第25号・庁保発第8号による
  「いわゆる賃金カット」には該当せず、
  また、
  随時改定の対象となる固定的賃金の変更とはならないとされているが、
  役職手当等の増額が同時期に行われたため固定的賃金の増額に該当する。

A 報酬月額の算定にあたっては、
  昭和36年1月26日付保発第4号による
  「保険者算定」の要件に該当しないため、実際の支給額により算定するものとし、
  結果として2等級以上の差(増額)が生じなければ随時改定には該当しない。

B 減給制裁解除についても固定的賃金の変動があったものとはみなされない。

当事案については、
減給制裁解除後に大幅に賃金の額が上がることとなりますが、
上記の取扱いでよろしいか照会いたします。


【日本年金機構本部回答】 

事務所対応案のとおり
本件の減給制裁およびその解除は固定的賃金の変動ではないため
随時改定の対象とはならないが、

役職手当等の増額は固定的賃金の変動であるため
随時改定の対象となる。

したがって
増額された役職手当等の支給月を起算月とし、
実際の支給額で算定を行い2等級以上の差が生じるならば随時改定を行うことになる。

随時改定に該当せず結果として制裁解除後の報酬と大幅な差が生じるとしても、
例えば昇給月以降に欠勤した月があり、
その欠勤控除により通常より低報酬であった期間を含む算定となり
2等級以上の差が生じない場合と同様にやむを得ないものとなる。


残業手当の支給単価は、
基本給などを算定基礎として計算されます。

残業手当(非固定的賃金)の支給単価が変動した場合は、
その原因が基本給などの変動によるときは、
残業手当の変動については固定的賃金の変動には該当しません(疑義照会No.2011-82)。

ただし、
月給制であり、月間所定労働日数が変更となったが基本給の変更はなく、
残業手当の単価のみ変更となった場合は、
固定的賃金の変動となるとされています(疑義照会No.2010-191)。


●月額変更届の起算月について(その3)
(平成23年4月1日 疑義照会(回答)No.2011-82)


【疑義内容:基本給の変更にともない残業手当の時間単価が変更された場合】

基本給の変更にともない残業手当の時間単価が変更されている場合は
時間単価の変更について【疑義回答2010-191】により、
固定的賃金の変更ととらまえ、1月ではなく、
「固定的賃金の変動等が反映された」2月を起算月とする扱いが
妥当であると思慮します。


【日本年金機構本部回答】 

基本給の変動にともなう残業手当の時間単価の変更は、
固定的賃金の変更にはならないことから、
2月起算の随時改定には該当しない。


●非固定的賃金の単価変更時の随時改定について
(平成22年8月13日 疑義照会(回答)No.2010-191)


【疑義内容:非固定的賃金の単価が変更になった場合】

非固定的賃金の単価が変更になった場合、
随時改定の要件である「固定的賃金の増額又は減額、賃金体系の変更」に該当するか。

例)月給制で、就労日数が変更となったが、
基本給の変更なしで、超過勤務手当の単価のみ変更となった場合等。


【日本年金機構本部回答】 

超過勤務手当等については、
個々人の稼働状況による時間数の増減等は不確定であることから、
随時改定の対象にはならないが、
支給割合等などの固定的部分が変更となった場合は、随時改定の対象となる。








賃金規程などが改定され、
新たな手当が新設されたり、
今まで支給されていた手当が廃止されたりする場合は、
固定的賃金の変動に該当します(疑義照会No.2010-263

歩合給の廃止:No.2010-715
イレギュラーな手当の新設:No.2010-1005
確定拠出年金導入:No.2011-200)。

これは、
非固定的賃金が新設・廃止された場合も同様です(疑義照会No.2010-170)。

役員の場合、
役員報酬を債権放棄したときは随時改定に該当します(疑義照会No.2010-612)。


●固定と非固定が混在する場合や、給与体系及び勤務体系変更による月額変更の場合は可否について
(平成22年6月3日 疑義照会(回答)No.2010-263)


ご照会の事例のように、
宿直手当、役付手当、単身赴任手当など新たな手当が付き、
雇用契約上もそれが明らかである場合、
これを賃金体系の変更として判断することになる。


●歩合給を廃止したときの月額変更について
(平成22年8月17日 疑義照会(回答)No.2010-715)


【疑義内容】

新聞店で、これまで新聞配達・集金・営業の3つの業務を行っていた従業員が、
今後は集金業務を行わなくなったため、
これに係る歩合給の支払がなくなった(基本給やその他の手当に変動はない)時には、
随時改定が次の@・Aのどちらに該当となるかご教示願います。

@ 歩合給は、単価・歩合率の変更のときに随時改定の対象とするが、
  歩合給の廃止は随時改定の対象とはしない。

A 業務内容の変更を賃金体系の変更とみなし、随時改定の対象とする。


【日本年金機構本部回答】 

賃金体系の変更については、【2010-263】で回答しているとおり、
宿直手当、役付手当、単身赴任手当など新たな手当が付き、
雇用契約上もそれが明らかである場合、
これを賃金体系の変更として判断することになる。

また、
これらの手当が廃止された場合においても、同様である。

ご照会の事例については、
勤務形態の変更により歩合給の支給がなくなったとのことであるが、
この場合についても上記と同様に考え、
雇用契約上もそれが明らかである場合、
これを賃金体系の変更として判断することになる。


●雇用契約書上等で明らかでない手当てが新たに付いた際の月額変更届の可否について
(平成22年12月1日 疑義照会(回答)No.2010-1005)


事業所において、
業績が好調なことから、恩恵的な意味合いで、
被保険者の労働時間や勤務成績とは関係なく、
特別手当という名目で新たに毎月の給与に上乗せして支給するようになった。
(22年4月より現在のところ、毎月5万円ずつ支給の実績あり。)

ただし、
この特別手当はイレギュラーなものであり、
今後、毎月支給があるとは限らず、
業績による金額の増減も予定している。

また、給与規定にはなく、
また、雇用契約書上の整理などもしておらず、
毎月、手当てをつけるかどうかは事業主が決定しているとのこと。


【日本年金機構本部回答】 

非固定的なものでも、新たに手当てが付き、
雇用契約上もそれが明らかである場合、
これを賃金体系の変更として判断し、月額変更届の契機とみなすことになるが、

「雇用契約上もそれが明らかである」とは原則
「給与規定、賃金協約等によって客観的に定められている」(昭和36年1月26日保発第5号)
ものを意味する。

ただし
意図的に給与規定、賃金協約等に規定しないことにより
実態と懸け離れた標準報酬月額となるのは不当であるので、
支給のルールが明確で客観的に支給の有無が判断でき、
給与規定、賃金協約等に規定はないが、
事実上同様の状況にあるものについては賃金体系の変更として、
月額変更届の契機とみなすことになる。


●確定拠出年金にかかる月額変更について
(平成23年4月15日 疑義照会(回答)No.2011-200)


【疑義内容:基本給をベースダウンし、確定拠出年金・退職金前払い制度導入】

平成22年10月1日より、事業所における「賃金規定」の改定を行い、
勤続年数が満3年を超える全従業員の給与から、
毎月一律29, 000円を確定拠出年金・退職金前払い規定に基づく
支給へ振替えが行われることとなりました。

当該事業所の確定拠出年金・退職金前払い規定によると、
給与から振替えられた29, 000円の範囲内で従業員個人の選択により、
希望する金額を毎月の給与支給日に退職金の前払として受け取り、
残りの金額を確定拠出年金の掛け金とすることができるとなっております。

また、
退職金の前払いとして受取る金額は、
個人が1年に一度金額を見直し再設定することができるとなっており、
金額が変更された場合は、確定拠出年金の掛け金も変更になります。


【日本年金機構本部回答】 

従業員が退職金の原資を確定拠出年金の拠出金とするか
前払い退職金として給与で受け取るか選択できる場合においては、
この原資から拠出金を引いた差額である給与額の変動は、
従業員の選択のみにより発生するものであるため、

当該給与額の変動(拠出額の変更、拠出の開始等)は
原則として固定的賃金の変動には該当しないことになる。

したがって
従業員の選択の余地が事実上無い等の、
実質的に当該賃金変動が従業員の選択のみによるものではないと判断しうる
個別の事情がない限り、月額変更に該当しないことになる。

しかし今回の事案については、
平成22年10月1日より賃金規定の改定を行い確定拠出年金制度の導入をして、
基本給の減額分を退職金の原資とする変更を行っている。

制度の導入と同時に確定拠出年金の拠出金の拠出を開始するならば、
基本給に前払い退職金を加えた給与額は、
賃金規定改定前の基本給より減額となるため、
この賃金規定の変更により降給が行われたことになる。

したがって
賃金規定の改定後、拠出を開始したことにより、
標準報酬月額の2等級以上の変動があるならば、
改定後の賃金規定による賃金の支給開始月を起算月とする
月額変更に該当すると考えられる。

なお、
拠出金については従業員の選択のみにより変動することから、
平成22年10月1日より後に拠出を開始し
前払い退職金額の変更が行われたとしても、月額変更は行わない。


●月額変更(随時改定)について
(平成23年6月10日 疑義照会(回答)No.2010-170)

【疑義内容】

1.「事業所内の賃金規程において、新たに残業手当などの非固定的賃金の導入、
 または、残業手当などの非固定的賃金が廃止となった場合、
 賃金体系の変更があったとして、3ヶ月経過後2等級以上の変動のため
 月額変更の対象となりますか。

別紙1.事業所内の就業規則・労働協約等の賃金規程において、
 基本給+営業成績などを基に支払う(いわゆる歩合給)賃金規程の見直しがされ
 導入、廃止した場合、
 3ヶ月経過後2等級以上の変動があれば月額変更の対象となりますか。


【日本年金機構本部回答】 

1.について
非固定的賃金が新たに導入(新設)、廃止された場合は
賃金体系の変更として随時改定の要因となる。

別紙1.について
ご照会の事例については、随時改定の要因となる。


●債権放棄に係る月額変更について
(平成22年10月14日 疑義照会(回答)No.2010-612)


【疑義内容】

被保険者が法人の役員である場合の標準報酬の遡及改定等における
報酬額確認のための書類等は

平成21年11月10日庁保険発第1110002号
「厚生年金保険における不適正な遡及訂正処理の発生を防止するための
適正な事務処理の徹底の一部改正について」で通知されていますが、

役員報酬の未払いや債権放棄に係る具体的な取扱いについては
厚生年金法及び各種法令にも特段の取扱いが示されていないため、
次のような債権放棄に係る具体的な取扱いについてご教授願います。

・役員報酬月額20万円
・業績不良につき平成21年4月から役員報酬は月額10万円支給(毎月10万円未払金発生)
・平成22年1月の取締役会で、今後も業績回復の目処がたたないことから
 平成21年4月から平成21年12月までの役員報酬の未払金90万円を債権放棄することが議決された。
 (役員報酬の改定は議決されていない)


【日本年金機構本部回答】 

平成21年11月10日庁保険発第1110002号通知において、
被保険者が法人の役員である場合の標準報酬の遡及改定等における
報酬額確認のための書類等が明確化されていることから、

ご照会の事例においては、
債権放棄を証する書類
および固定的賃金の変動のあった月の前月以降の所得税源泉徴収簿
または賃金台帳があれば、月額変更は可能である。

上記書類で確認できれば、
改定月は、債権放棄の行われた平成21年4月の3ヶ月後の平成21年7月が妥当であろう。








人事異動等により勤務する部署が変わったり、
勤務形態が変わったりしたことにより、
適用される賃金形態が変更される場合は、
固定的賃金の変動に該当します(疑義照会No.2010-170No.2010-1256)。

休職から復帰する際に、
職場復帰プログラムに則った結果、
報酬額が下がる場合も同様の取扱いとなります(疑義照会No.2011-316)。


●月額変更(随時改定)について
(平成23年6月10日 疑義照会(回答)No.2010-170)


【疑義内容】

別紙3.
事業所内に、非固定的賃金(夜勤手当・残業手当)を支給しない部署があります。
この場合、内部異動により
【非固定的賃金を支給する部署】→ 【非固定的賃金を支給しない部署】
に変更した場合3ヶ月経過後2等級以上の変動があれば
月額変更の対象となりますか。

別紙4.
各店舗を抱えている事業所において、休日出勤を実施している店舗に異動となりました。
その店舗での賃金規程(時間給)は【平日=1000円/休日1500円]で異動に伴い
3ヶ月経過後2等級以上の変動があれば月額変更の対象となりますか。


【日本年金機構本部回答】 

別紙3および4について

雇用契約書や給与規定により異動の前の部署や店舗と
賃金体系が異なることが明らかな場合には、
賃金体系の変更として随時改定の要因となる。

ただし、
単に部署や店舗の繁閑による手当の有無は
随時改定の要因とならない。


●月額変更届にかかる固定的賃金の変動について
(平成23年1月14日 疑義照会(回答)No.2010-1256)


疑義照会No.2010-642】において、
「報酬を決定する際の根拠となる単価が変動しているのであれば、
固定的賃金の変動として取扱う」とありますので、

この事例
(複数の現場に勤務することが通常の勤務形態となっているような場合、現場ごとに単価が異なる)
のように個々人の勤務状況により1月の報酬月額が変動しても固定的賃金の変動にあたらず、
随時改定には該当しないものと考えます。

また、
事務所見解のとおり、
各現場の報酬日額単価が変動した場合や、
就業規則等で定められた勤務形態が変更した場合(複数の現場→単独の現場に固定等)
には固定的賃金の変動として、
要件を満たせば随時該当を行うこととなると思料されます。


●随時改定について(定期券の扱い)
(平成23年8月24日 疑義照会(回答)No.2011-316)


【疑義内容】

休職からの復帰プログラムを設けている事業所があり、
一定期間30%減の報酬で軽微な業務に従事し、
その後通常の業務と報酬に戻ることになっています。

期間は診断書などで判断され、個別に決められるとのことです。

算定対象期間に復帰プログラム期間が含まれる場合の取扱いに
疑義が生じましたので照会致します。

・30%減額は全ての固定的賃金が対象で、就業規則に明記されている。
・復帰プログラム期間: 4月の1ヶ月間のみで17日以上の出勤があった。
・減給に関する労働基準法に違反していない。
・賃金締切日:月末締め、当月払い。

1. 算定対象月として4月分を含めるべきか。
2.二等級以上差を生じた場合の随時改定の取扱い。


【日本年金機構本部回答】

この事案では、
復帰プログラムとして通常とは異なる軽微な業務への変更があり、
その業務に対して就業規則によりあらかじめ定められた報酬の支給をしている。

業務の変更があり、
その業務について設定された報酬への変更が行われているならば、
これを固定的賃金の変動と考えることが妥当である。
疑義照会回答No2010-574【疑義2について】)

この扱いは、
軽微な業務から通常の業務へ復帰する場合も同様である。

また、
この変更が1月に限るものであっても
固定的賃金の変動という事実に基づき取り扱うことになる。
疑義照会回答No2010-1110【事例3】)

したがって、
4月は固定的賃金の変動後の通常の報酬が支給されているため
定時決定においてこの月を除外する理由はなく
当該4月の報酬も含めて算定を行う。

随時改定については
固定的賃金の変動のある月を起算月として
2等級以上の差が生じるならば行うことになる。








所定労働時間や所定労働日数が変更となり、
その結果、固定的な賃金が変動する場合は、
固定的賃金の変動となります
(疑義照会No.2010-170No.2010-636No.2010-1255)。

短時間勤務制度(疑義照会No.2010-574)や
1年単位の変形労働時間制度(疑義照会No.2011-151No.2014-23
による変更も同様となります。

ただし、
単に欠勤等により出勤日数が少なかったことにより
その月の賃金が欠勤控除される場合は含まれません
(疑義照会No.2010-574、No.2010-288)。


●月額変更(随時改定)について
(平成23年6月10日 疑義照会(回答)No.2010-170)


【疑義内容】

別紙2.
勤務日数または勤務時間を定めた雇用契約の内容に変更があった場合で、
3ヶ月経過後2等級以上の変動があれば
月額変更の対象となりますか。


【日本年金機構本部回答】 

別紙2.について

ご照会の事例については、随時改定の要因となる。


●随時改定の取扱いについて
(平成22年8月18日 疑義照会(回答)No.2010-636)

【疑義内容】

基本給(時間給)に変更は無いが、
勤務体系(契約時間)が変更になる場合、
随時改定の要件である固定的賃金の変動に該当するか否かご教示願います。


【日本年金機構本部回答】 

ご照会の事例については、
給与体系の変更として随時改定の要否を判断することとなる。


●時間給制の被保険者の勤務時間の変更と随時改定について
(平成23年1月28日 疑義照会(回答)No.2010-1255)

【疑義内容】

時間給制の被保険者で、
労働契約の内容が、これまで1日8時間勤務であったものが、
契約が変更され1日7. 5時間勤務となりました。

ただし、
時間給の単価に変更はありません。

この場合において、
契約上の勤務時間が8時間から7. 5時間に変更となったことを契機に、
随時改定を行う余地があるでしょうか。


【日本年金機構本部回答】 

本事例については、
労働契約にある一日の労働時間が変更になれば、
直結して賃金の固定的部分に影響を与えるところであり、
固定的賃金の変動があったものとして取り扱うことが妥当である。


●短時間勤務に係る随時改定について
(平成24年6月20日回答補足 疑義照会(回答)No.2010-574)


【疑義内容】

育児による短時間勤務や病気等により一時的に短時間勤務となり、
それまで受けていた報酬よりも少ない報酬を受けることとなった場合で、

@ 短時間勤務者として、新たに契約を結びなおしたとき。

A 就業規則上、育児や病気により短時間勤務となる者の給与規程等が
  別に規定(実際には規定されていないが慣例上の場合も含む。)されているときの、
  下記ア、イの場合。
  ア、月給制であった者が、時給制に変更となる場合。
  イ、月給制のまま、勤務時間を短縮し、短縮した分給与も減額する場合。
    例えば、8時間労働者の者が7時間勤務となり、基本給が8/8から基本給7/8に変更される場合。


【日本年金機構本部回答】 

ご照会の事例のように就業規則や給与規定に
「短時間勤務制度」を設けている事業所において、
その規定に基づく所定労働時間の変更に伴い、
給与(固定的賃金又は給与体系)の変更が生じる場合は
@およびAとも随時改定の対象になる。

ただし、
単に勤務していない時間分について給与が控除されているに過ぎない場合
(欠勤控除のようなケース)は、 随時改定の要因にならない。


●時間給制の被保険者の変形労働時間制における勤務体系の変更について
(平成25年6月7日修正 疑義照会(回答)No.2011-151)


【疑義内容】

雇用契約締結時より、1年間の変形労働時間制をもって
1年間の月別の勤務日数、および1日あたりの稼働時間が定められている。

@ 当初の予定通り、12月に1日あたりの稼働時間が8時間から7時間に変動があることをもって、
 随時改定の起算月となるかご教示願います。


A 上記事例において随時改定の起算月に該当する場合、
 「労働時間の変更により直結して賃金の固定的部分に影響を与える為、
 固定的賃金の変動として取り扱う」とすると、
 
 各月おいて固定されている出勤日数が、前月の出勤日数と変動する場合も、
 直結して賃金の固定的部分に影響を与える為、
 随時改定の起算月となりえるかご教示願います。


【日本年金機構本部回答】 

疑義照会No.2010-1255の回答より、
1日の労働時間の変更により直結して賃金の固定的部分に影響を与える為、
固定的賃金の変動があったものとして取り扱い、
12月を起算点とし随時改定を行う。

なお、
変形労働時間制におけるこの考え方については、
各月において固定されている出勤日数が毎月変動する場合であっても同様です。


●勤務形態の変更による在宅勤務者となった者の通勤手当(給与体系の変更)に係る被保険者報酬月額変更届の取扱いについて
(平成22年5月7日 疑義照会(回答)No.2010-288)


通勤手当の額に変動は生じても
単に出勤した日数による変動であるため、
「固定的賃金の変動」とはいえないと思料される。






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