最終更新日:令和7年11月21日


令和2年の年金制度機能強化法の成立により、
2月以内の期間雇用者の規定が改正されたため、
令和4年10月以降の適用除外要件は以下となります。


適用事業所に使用される者であっても、
以下のような法律上の適用除外に該当すると、
被保険者となることができません。

1.臨時に使用される者
イ 日々雇い入れられる者
(一月を超え引き続き使用されるに至った場合を除く。)

ロ 二月以内の期間を定めて使用される者であって、
当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの
(当該定めた期間を超え引き続き使用されるに至った場合を除く。)


2.事業所又は事務所で所在地が一定しないものに使用される者


3.季節的業務に使用される者
継続して四月を超えて使用されるべき場合を除く。


4.臨時的事業の事業所に使用される者
継続して六月を超えて使用されるべき場合を除く。


5.国民健康保険組合の事業所に使用される者
健康保険のみ


6.後期高齢者医療の被保険者等
事実上、75歳以上の者。健康保険のみ


7.70歳以上の者
厚生年金保険のみ


8.短時間労働者
労働時間等の条件に該当する場合


以下では、
個々の適用除外を具体的にみて行きます。








●健康保険法の解釈と運用
(P132)

臨時に使用される者を除いたのは、
健康保険を適用する必要がないためではなく、

これらの者は事業所が一定していないために、
被保険者の資格得喪、保険料の徴収、保険給付の実施等
についての技術的困難性が極めて大きいからであり、

これらの者はその特性に着目し、
日雇特例被保険者として適用を受けることとされているのである。




臨時に使用される者とは、
具体的には日雇い労働者(日々雇い入れられる者)
および
期間雇用者(2月以内の期間を定めて使用される者であって、
当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの )
のことをいいます。

ただし、
名目上は臨時的使用関係であっても、
実態として常用的使用関係にある場合は、臨時に使用される者とはならず、
強制被保険者となります。

また、
雇い入れ当初は臨時に使用される者であっても、
その後常用的使用関係となった場合は、
改めて使用される者として強制被保険者資格を取得することになります。

なお、
雇い入れる際に一定期間を試用期間とすることは、一般的に行われていますが、
常用的使用関係となる前提で従業員を雇い入れた場合は、臨時に使用される者とはならず、
雇い入れの当初から強制被保険者となります。





【日々雇い入れられる者】


日雇い労働者は、
原則として臨時に使用される者と扱われ、
強制被保険者となりません。

ただし、
同一の事業所に1月連続して勤務しなお引き続き使用されるに至った場合は、
常用的使用関係になったとみなされ、
強制被保険者資格を取得します。

工場または事業場における公休日は
労務に服したものとみなして(健康保険法の解釈と運用)
連続1ヶ月を判定します。

また、
「引き続き使用される」ということについて、
継続性の認定が必要となります。


●健康保険法の解釈と運用
(P134)


ただ行きつけの事業所であるから、
その事業所の募集に応じて多数の者と一緒に雇い入れられているうちに
1月を超えてしまったということではなしに、

その日々雇い入れられる者が、
特定して、常用者に準じて使用され、
事業主の人事管理下におかれているという
実体的使用関係が認められなければならない。




と解説されているとおり、
事業所が労働者個人を特定して
人事管理を行っている必要があります。





【2月以内の期間を定めて使用される者】

2ヶ月以内の期間雇用者も、
原則として臨時に使用される者と扱われ、
強制被保険者となりません。

ただし、
雇用契約期間を超えて使用されることが見込まれない場合
に限ります。


雇用期間が2月を超えるか否かの判定時は、
暦月に よって計算される点には注意が必要です。

当初の雇用契約時期の違いによって、
以下のとおりとなります(いずれも更新見込みなしと仮定する。)。

ケース1:4月1日から5月31日まで
⇒暦月で2ヶ月なので、強制被保険者とならない。

ケース2:4月21日から6月20日まで
⇒暦月で3ヶ月なので、強制被保険者となる。


●年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行(令和4年10月 施行分)に伴う事務の取扱いについて
(令和4年9月9日 保保発0909 第1 号/年管管発0909 第4 号)

第2 被保険者資格の勤務期間要件の見直し
2.事務処理の概要
(1) 雇用契約が更新されることが見込まれる場合の取扱い

「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」とは、
次のア又はイに該当する場合であること。

ア 就業規則や雇用契約書その他の書面において、その雇用契約が「更新される旨」又は
「更新される場合がある旨」が明示されていること。

イ 同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき使用されている者が、契約更新等に
より最初の雇用契約の期間を超えて使用された実績があること。

ただし、ア又はイに該当する場合であっても、2 月以内で定められた最初の雇用契約の期
間を超えて使用しないことについて労使双方が合意しているときは、「2 月以内の雇用契約
が更新されることが見込まれる場合」には該当しないこととして取り扱うこととする。


年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行(令和4年 10 月施行分)に伴う事務 の取扱いに関するQ&A集
(令和4年9月9日 事務連絡)

問8 月の途中で採用となった場合に2月はどのように判断すれば良いか。

(答 雇用期間が2月を超えるか否かについては、暦月に よる計算に基づいて
   判断 します。


当初の契約期間を経過後なお引き続き使用されるようなときは、
常用的使用関係になったとみなされ、
強制被保険者資格を取得します。

当初の契約期間を経過してさえいればよく、
引き続き使用された期間を合計して2ヶ月を超えているかどうかは関係ありません。

たとえば、
当初30日の契約期間で雇い入れした者を更に20日間契約延長した場合、
合計の契約期間は50日となり2ヶ月を超えていませんが、
31日目に常用的使用関係になったとみなされ、
強制被保険者資格を取得します。

なお、
日雇い労働者と異なり、
連続して勤務していなくてもよく、
事業所における公休日以外の日に種々の事情により出勤しない日があっても
当初の契約期間を経過後なお引き続き同一の事業所に使用されていればよいとされています。

ただし、
日雇い労働者と同様に、
継続性の認定は必要となります。



以下の通知等を参考にしてください。


●年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行(令和4年10月 施行分)に伴う事務の取扱いについて
(令和4年9月9日 保保発0909 第1 号/年管管発0909 第4 号)

第2 被保険者資格の勤務期間要件の見直し
2.事務処理の概要
(2) 被保険者資格の取得時期
イ 雇用契約の開始後に、雇用契約の更新見込みが生じた場合

2月以内の期間を定めて使用された者であって、2月以内の雇用契約が更新されることが
見込まれなかったものについて、契約開始後に契約の更新が見込まれることになった場
合、当該契約の更新が見込まれるに至った日に被保険者資格を取得するものであること。
なお、契約の更新が見込まれるに至った日は、労使双方の書面による合意があった日とす
る。


年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行(令和4年 10 月施行分)に伴う事務 の取扱いに関するQ&A集
(令和4年9月9日 事務連絡)

問9 被保険者 資格 の 取得 要件を満た さ ない 就労形態 (例えば、1週間の所定労
働時間が 20 時間未満の短時間労働者等) で2 月 超 雇用されていた 者につい
て、契約変更により 雇用契約の期間以外の 被保険者 資格 の 取得 要件を満たす
こと に なったが、変更後の雇用契約 の 期間が 2 月以内 である 場合、被保険者
資格 は 取得するのか。


(答 被保険者資格の取得要件を満たさない就労形態 で2月超雇用されていた
者 が、 契約変更により被保険者 資格 の 取得 要件を満たした日以降の 雇用 契約
の 期間に ついて 判断すること に なります。
この場合、被保険者資格 の 取得 要件を満たした日以降の 雇用 契約 の 期間
が2月以内で 、雇用契約が更新されることが見込まれない 場合は 、 被保険者
資格は取得しません。しかしながら、そ の雇用契約が更新 されることが見込
まれる場合は、 契約の更新が見込まれるに至った 日に 被保険者資格取得する
ことになります。


●健康保険法の解釈と運用
(P133)


60日間の期間を定めて雇い入れた者が58日目に負傷し引き続き休業しているが、
所定の期間を超えなお連続して使用関係が存続していれば61日目より資格を取得する。

ただし、
傷病の程度重く将来職工として労務に服することができないと認められる者で
単に保険給付を受けさせるために使用関係を継続する場合は認められない。
(昭和5年8月6日保規第344号)


●所定の期間を超え、引き続き使用される人の適用除外について
(平成23年9月30日 疑義照会(回答)No.2011-348)


引き続き使用されるという継続性を画一的に
当初の雇用期間と延長期間により判断するものではなく、
あくまでも雇用契約における使用関係の実態から
常用的使用関係に移行したか否かを判断することとなる。

例えば、
当初2 ヵ月以内の雇用契約であった者が、
その雇用期間経過後、海外転居するまでの1 ヵ月間に限って臨時的に雇用契約が更新され、
その後は契約更新されない場合には、
引き続き使用されるという継続性は認められず、常用的使用関係に移行していないことから、
被保険者として適用しないこととなります。

なお、
臨時的名目によって使用されていても、
当初から使用関係の実態が一定期間ごとに雇用契約を更新させるような状態であって、
その実態が常用的であれば、臨時に使用される者とは認められず
雇入れの当初から被保険者となります。








●健康保険法の解釈と運用
(P138)


巡回興行のごとき事業をいう
(昭和18年4月5日保発第905号)




とされています。

巡回興行とは、
各地を転々と移動しながら、見物人から入場料を取る代わりに
演芸やスポーツを見せる事業のことをいいます。

この事業に使用される者は、
たとえ長期間にわたって使用され続けても
強制被保険者となることはありません。








●健康保険法の解釈と運用
(P138)


季節的業務とは、
「一地方特有のものであるか全国的のものであるかを問わず
いやしくも季節によりなす業務はすべて包含する。」
(昭和2年2月12日収保第124号)




とされており、
具体的には清酒・葡萄酒の醸造、スキー場等が考えられます。

季節的事業に使用される場合であっても、
雇い入れ当初から継続して4月を超える予定で使用されるときは、
常用的使用関係とみなされ、
強制被保険者資格を取得します。

一方で、
たまたま4 ヵ月を超えて引き続き使用されることとなっても、
季節的業務に使用されている限りは
強制被保険者から除外されます。


●季節的業務に使用される者にかかる適用除外について
(平成23年3月25日 疑義照会(回答)No.2011-130)

【疑義内容】

11 月から3 月までの5 ヶ月間営業しているスキー場において
11 月中旬から翌年3 月10 日までの雇用契約期間を定めて
4 ヶ月以内で雇用される適用除外の従業員が、
3 月11 日以降も雪の状態により引き続き雇用された場合、
被保険者となるのか?


【日本年金機構本部回答】

季節的業務に使用される者の被保険者としての適用については、
季節的業務自体の期間が4 ヵ月を超えていることを
被保険者の適用について左右する要件とするのではなく、
あくまでも使用期間が当初から4 ヵ月を超える予定なのか否かにより判断することとなります。

本事例については、
単に季節的業務という取扱いのもとに
被保険者としての適用を免れようとして契約期間を短期に設定しているのであれば、
過去の雇用・事業実態等の事実確認により、
当初から4 ヵ月を超えて使用されることが明確になった場合には、
使用されることとなった当初から被保険者として扱われることとなります。








●健康保険法の解釈と運用
(P139)


「博覧会のごとき臨時的に開設される事業の事業所をいう。」
(昭和18年4月5日保発第905号)




臨時的事業に使用される場合であっても、
雇い入れ当初から継続して6月を超える予定で使用されるときは、
季節的事業と同様に当初から強制被保険者資格を取得します。








国民健康保険組合の事業所に使用される者は、
国民健康保険が適用されるため、
適用除外となります。








健康保険の被保険者が75歳以上
(政令で定める程度の障害の状態にある場合は、65歳以上)
になると後期高齢者医療の被保険者となる為、
健康保険の被保険者資格を喪失します。








厚生年金保険の被保険者は、
適用事業所に使用される70歳未満の者とされており、
70歳に達すると法律上当然に被保険者資格を喪失します。




「資格取得・喪失日」へ。



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