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最終更新日:令和7年11月24日
精皆勤手当(出勤手当)とは出勤奨励を目的とした手当であり、
遅刻、早退および欠勤が全く無い皆勤者に支給する皆勤手当と
一定限度内の精勤者に支給する精勤手当があります。
また、永年勤続表彰は、
一定の年数を継続勤続した長期勤続者を対象に表彰することをいい、
表彰状、記念品、表彰金および特別休暇等を与えることがあります。
これらについては、以下の通知等が参考になります。
●健康保険法の解釈と運用
(P162)
毎月受ける皆勤賞は健康保険の報酬の範囲に属する。(昭和2年3月11日保理第1179号)
●標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務 取扱いに関する事例集
(令和5年6月27日 事務連絡)
報酬・賞与の範囲について
問3 事業主が長期勤続者に対して支給する金銭、券又は記念品等(以下「永年勤続表彰金」という。)は、「報酬等」に含まれるか。
(答)永年勤続表彰金については、企業より様々な形態で支給されるため
その取り扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要があるが、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」該当しない。
ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質について十分に確認した上で、総合的に判断すること。
<永年勤続表彰金における判断要件>
@表彰の目的
企業の福利厚生施設又は長期勤続の奨励策として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合には、より福利厚生としての側面が強いと判断される。
A表彰の基準
勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。
B支給の形態
社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。
●社会保険審査会裁決平成17年(厚)第1○0号
報酬について(平成22年5月7日 疑義照会No.2010-320より)
【疑義内容:勤続年数に達した者に支給される表彰金】
・勤続10年毎に永年勤続者として表彰。
・永年勤続表彰規定あり。
・表彰内容は次の表のとおり。
| 勤続年数 |
表彰内容 |
10年 |
表彰品、表彰金(12万円)、永年勤続特別休暇(5日) |
20年 |
表彰品、表彰金(18万円)、永年勤続特別休暇(5日) |
30年 |
表彰品、表彰金(24万円)、永年勤続特別休暇(5日) |
40年 |
表彰品、表彰金(24万円)、永年勤続特別休暇(5日) |
・5日間の永年勤続特別休暇は、心身のリフレッシュを図ることを目的とする。
当該表彰金は、報酬または賞与に該当するか?
【社会保険審査会裁決の要旨】
・一定の勤続年数に達した者を永年勤続者とし、
職種、労務の内容に関係なく、一律に支給するものとされており、
・永年勤続者には心身のリフレッシュを図る目的で5日間の特別休暇が与えられ、
休暇付与に伴う資金援助の性質を持つものとして本件表彰金が支給されるとされており、
・支払われる金額も社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えるといい難い。
そうすると、
本件表彰金が「労働者が労働の対償として受けるもの」
あるいは「労働者の通常の生計に充てられるもの」に該当するとすることは相当でない。
また、
勤続年数10年毎を区切って与えられるものであり、
定期的であるといっても、このような長期間にわたるものまで、
法が「3ヶ月を超える期間ごとに受けるもの」に含めているとも解し難い。
したがって、
本件表彰金は、賞与に該当しない。
以上の通知等を解釈するならば、
精皆勤手当・永年勤続表彰について以下のことが言えそうです。
・毎月または数ヶ月毎に支給される精皆勤手当は、報酬・賞与に該当する。
・定期的な支給であっても、支給間隔が概ね5年以上であれば、賞与に該当しない。
・10年毎の勤続に対する恩恵的な金額としては、12万円〜24万円程度であれば、
社会通念上のお祝い金の範囲内であり妥当な額である。
また、
一般論として、以下のことも言えるのではないでしょうか。
・一定条件に該当する者を対象としているものの、
職種、労務の内容に関係なく、一律に支給する場合は、
「労働の対償」を否定する要素となる。
・支給される金銭の使用用途が客観的に限定され、
「労働者の通常の生計に充てられるもの」ではないことが客観的に推測される場合は、
「労働の対償」を否定する要素となる。
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