労務の対償として報酬を受けている法人の代表者または役員は、
以下の通知のとおり、
使用される者として被保険者の資格を取得します。


●法人の代表者又は業務執行者の被保険者資格について
(昭和24年7月28日 保発第74号)

法人の理事、監事、取締役、代表社員及び無限責任社員等
法人の代表者又は業務執行者であつて、
他面その法人の業務の一部を担任している者は、
その限度において使用関係にある者として、
健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取扱つて来たのであるが、

今後これら法人の代表者又は業務執行者であつても、
法人から、労務の対償として報酬を受けている者は、
法人に使用される者として被保険者の資格を取得させるよう致されたい。

なお、
法人に非ざる社団又は組合の総裁、
会長及び組合及び組合長等その団体の理事者の地位にある者、
又は地方公共団体の業務執行者についても同様な取扱と致されたい。




労務の対償として報酬を受けている
法人の代表者または役員かどうかについての判断基準は、
以下の疑義照会に示されています。


●法人の代表者の被保険者資格について
(平成22年3月10日 疑義照会(回答)No.2010-77)

●常勤役員及び非常勤役員の被保険者資格の取り扱いについて
(平成22年3月30日 疑義照会(回答)No.2010-111)


●代表取締役の被保険者資格について
(平成22年3月3日 疑義照会(回答)No.2010-214)

●(代表)取締役の被保険者資格について
(平成22年5月7日 疑義照会(回答)No.2010-375)


●役員の資格喪失年月日について
(平成22年8月6日 疑義照会(回答)No.2010-739

●法人の代表者の被保険者資格について
(平成23年2月18日 疑義照会(回答)No.2011-61)


●NPO 法人理事長の被保険者資格について
(平成24年8月7日 疑義照会(回答)No.2012-29)

労務の対償として報酬を受けている法人の代表者又は役員かどうかについては、
その業務が実態において法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供であり、
かつ、
その報酬が当該業務の対価として
当該法人より経常的に支払いを受けるものであるかを基準として判断されたい。


【判断の材料例】

@ 当該法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか。

A 当該法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか。

B 当該法人の役員会等に出席しているかどうか。

C 当該法人の役員への連絡調整又は職員に対する指揮監督に従事しているかどうか。

D 当該法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっていないかどうか。

E 当該法人等より支払いを受ける報酬が社会通念上労務の内容に相応したものであって
  実費弁償程度の水準にとどまっていないかどうか。



<法人の代表者>
法人の代表者としての本来の職務は、
事業所に出勤したうえでの労務の提供に限定されるものではなく、
仮に不定期な出勤であっても(どこにいても)、役員への連絡や職員への指揮命令はでき、
定期的な出勤がないことだけをもって被保険者資格がないという判断にはならない。



<実費弁償程度の水準について>
実費弁償程度の水準については、
主に会議に出席するための旅費、業務を遂行するために必要となった経費について、
一旦、立替え払いし、これに対して、

事業所が弁償等のみのために支払いする費用をもって報酬としている場合を想定しているものであり、
もともと報酬ではないので、
「法人の経営に対する参画を内容とする労務の対価」には、該当しないと考える。

ただし、
この弁償等行う金額を超え、定期的に支払われているような場合は、報酬と見るべきと考える。



<役員報酬が数円の場合>
役員が経営状況に応じて報酬を下げる例は多くあり、
役員報酬は最低賃金法に当てはまらないため中には「数円」という場合もある。

このような場合は今後支払われる見込みがあり、一時的であると考えられるため、
低報酬金額をもって資格喪失させることは妥当でないことから、
総合的な判断が必要であり、最低金額を設定し、その金額を下回る場合は、
被保険者資格がないとするのは妥当ではない。

社会通念上、
業務の内容に対して、1円の報酬しかないなど内容に相応しいものかどうか疑わしい場合は、
報酬決定に至った経過、その他「常用的使用関係」と判断できる働き方
(多くの職を兼ねていないかどうか、業務の内容等)であるかなどを調査し、
判断いただきたい。



<役員報酬が無報酬となる場合>
報酬の遅配等により一時的に支払いが滞っているものではなく、
取締役会等によって無報酬の決定がなられているものであれば、
会計年度の途中であっても、取締役会の議事録等を確認したうえで、
その時点で被保険者資格を喪失させることとなる。

また、
その後に報酬が支給されることとなれば、
その時点で被保険者資格を取得させることとなる。



<病気療養等により役員報酬が無報酬となる場合>
役員であっても昭和26年3月9日保文発第619号に基づき
個々の使用関係等に応じて判断されたい。

取締役会の議事録等により、
病気療養を理由に一時的に無報酬としたものであること、
病気療養後は再び実務に服する予定であることなど
使用関係が存続すると確認できるのであれば、
無報酬とされたことをもって資格喪失させる必要はないと考えるのが妥当である。



<役員報酬が0円であるが、賃金を数万円支払われている場合>
名目上の役員報酬が0円であっても、
役員としての業務のみを行っているのであれば、
月4万円の賃金は実質的な役員報酬と考えられる。

そのため、
名目上の役員報酬が支払われていないことだけをもって
被保険者の資格がないと判断するのは妥当ではない。




上記@〜Eはあくまで例として示されたものであり、
優先順位づけはなく、複数の判断材料により、
それぞれの事案ごとに実態に基づき総合的に判断する必要があります。

役員の被保険者資格を肯定した具体例としては、
以下の疑義照会があります。


●法人代表者の被保険者資格について
(平成22年11月1日 疑義照会(回答)No.2010-957)


【疑義内容】

・A事業所の工場長として、被保険者として社保加入中。
その関連会社であるB事業所を新設し、B事業所で代表取締役となる。
・B事業所へ最低週2 日は出勤している。
・AおよびB事業所以外に職を兼ねていない。
・B事業所役員会へ出席している(代表者なので当然)。
・B事業所役員への連絡調整や従業員に対する指揮監督に従事。
・B事業所より月額30 万の役員報酬を得ている。
・A事業所では工場長として勤務しており給与として月60 万得ている。

この二以上事業所に勤務する役員は、被保険者となるか?


【日本年金機構本部回答】

当該役員は、判断基準を満たしており、
B事業所と常用的な使用関係が認められるため
被保険者として資格を取得させるべきものと思料する。

また、
判断基準@当該法人の事業所にB事出勤しているかどうかについては、
B事業所代表取締役は、二以上事業所に勤務する者なので、常時出勤することは不可能であり、
週2 日であっても予め定められた日に出勤するなど規則性が認められれば、
定期的に出勤しているものと判断して差し支えないものと思料する。


●法人役員の被保険者資格について
(平成22年11月1日 疑義照会(回答)No.2010-993)


伝票処理・庶務業務に従事し、その対価として月10万円を得ている取締役
⇒定期的とはいえないまでも、行うべき具体的職務が経常的に存在しており、
また多くの職を兼ねていないことから、専属的に従事していると解される。

その対価として月10万円であれば、
社会通念上、実費弁済金額とはいえず、
労務の対償による報酬と考えるのが妥当であることから、
被保険者資格は継続すると判断するのが妥当である。




役員の被保険者資格を否定した具体例としては、
以下の疑義照会があります。


●業務執行権のない社外取締役(非常勤)の取締役会出席が『法人の経営に対 する参画を内容とする経常的な労務の提供にあたるか』について
(平成22年7月11日 疑義照会(回答)No.2010-924)


【疑義内容】

@業務執行権のない社外取締役(非常勤取締役)
Aおおむね月一回程度(定期的ではない)役員会に出席している。
B月20 万程度の報酬を得ている。
C他社で常勤の取締役に就任し、社会保険の被保険者となっている。

この社外取締役は、被保険者となるか?


【日本年金機構本部回答】

「社外取締役」とは、
「株式会社の取締役であって、
当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役
もしくは執行役または支配人その他の使用人でなく、
かつ、
過去に当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役
もしくは執行役または支配人その他の使用人となったことがないものをいう。」
と規程されている(会社法第2条第15項)。

 このケースにおいて、
当該役員の役員会への出席が不定期に月1 回程度しかなく、
実態としても当該法人と使用関係はないと考えられるため、
被保険者とはならない。


なお、
監査役は、
会社法上、取締役や支配人その他の使用人等との兼務が禁止されていますが、
実態として取締役や支配人その他の使用人と同様の業務に従事する監査役も適用の要件が整えば、
社会保険の被保険者とすることは可能であるとされています
(「監査役」の被保険者資格について 平成22年11月16日 疑義照会(回答)No.2010-999)。



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