※原典が顔文字入りのメルマガのため、
顔文字をそのまま残してありますのであしからず・・・。



労働基準法上、
使用者(≒会社)は、 労働者が指定する時季に年休を与えなければならない。
ただし、
それなりに困った事情がある場合に限り、 その取得時季を変更することができる。
とされています。

これを一般的には、
労働者の「年休の時季指定権」と、
使用者の「年休の時季変更権」といいます(@_@;)

それでは、
就業規則にこの時季指定権と時季変更権を
ウッカリ書き忘れたらどうなるでしょうか?




この問題を解くには、
以下の3つの知識が必要です(^^♪



1.労働基準法は労働者保護法である!
何度でも言いますが、
労働基準法は、 か弱い労働者を強欲な使用者≒会社から守る!
ことをその使命としています(-。-)y-゜゜゜

労働基準法の条文の多くは、
「使用者は、○○してはならない。」、 「使用者は、○○しなければならない。」 のように、
会社に制約と義務を強制している法律であると言えます。

年休の時季変更権の規定である
「使用者は、○○することができる。」 のように、
会社の権利を認める条文はごくごく稀にしか存在しません。

したがって、
労働基準法は、 会社への制約と義務は拡大解釈される一方で、
会社の権利は厳しく限定解釈される傾向にあります(ー_ー)!!





2.労働基準法は最低基準である!
労働基準法はその第1条において、
本法の労働条件は最低基準なので、 本法を根拠に労働条件を悪化させてはいけません。
皆さんはぜひとも労働条件の向上に努めてくださいね(^_-)
と書かれています。

労働法令は、
「労働とは生きていくうえで仕方なくする苦役である。」 という思想を元に考えられ、
作られています。

たとえば、
1日の所定労働時間が6時間の会社の場合、
労基法に「1日8時間まで。」と書いてあるからといって、
所定労働時間を6時間⇒8時間に延長することは望ましくなく、
むしろ、
6時間⇒4時間に短縮することはとても良いことになります。

労基法には、
「労働時間は最長でも1日8時間まで。」
という労働条件悪化に制限を設ける一方で、
「労働時間は最低でも1日2時間確保しろ。」
という労働条件向上を制限する決まりはないのです(p_-)





3.労働基準法は強行法規である!
労働基準法の労働条件は最低基準なので、
これ以下の労働条件を定めた部分は自動的に無効化し、
労働基準法の最低基準が強制的に適用されます。

たとえば、
働く意欲満々の労働者との労働契約であっても、
1日の所定労働時間を10時間とする労働契約を結んだ瞬間、
その労働契約そのものは有効ですが、
労働基準法に違反する1日10時間の部分は無効となる結果、
1日の所定労働時間を8時間とする労働契約を結んだことになるのです(@_@;)





それでは事例の 「年休の時季指定権」と、
「年休の時季変更権」について考えてみます。

時季指定権は、
労働者の権利なので保護されるべき権利です。

時季指定権は最低基準なので
たとえ就業規則に規定されていなくても
タナからボタもち式に労働者に付与される権利である
と考えるべきでしょう。

仮に就業規則に 「年休取得日は会社が指定する。」 と書いても
その定めは強行法規機能が働き部分無効となり、
やっぱり、
労働者は時季指定できることになります(^_-)

一方、
時季変更権は、 労働者の権利を制限することになるので、
限定的に厳しく解釈される権利だと言えます。
就業規則に時季変更権が規定されていない。
⇒労働基準法を上回る取り扱いで非常に喜ばしい。
⇒この会社は労働者が指定する時季に100%年休を与えるホワイト企業である。
と解釈されると考えられます(ー_ー)!!

もちろん、
労働者に有利なことなので、
この就業規則が部分無効になることもありません・・・。


要するに、 今回言いたかったのは、
会社の権利は就業規則にキッチリ書いておかないと危ないよ!
ということなのです(p_-)

ちなみに、
時季変更権など労働基準法で認められている会社の権利を
ウッカリ規定し忘れていたとしても、
「この就業規則に定めのない事項については、 労働基準法の定めるところによる。」
という包括的準用規定があれば、
一発逆転満塁ホームランになりますがっ\(◎o◎)/!





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