労働基準法では、

過去1年間(新入社員は、6ヶ月間)における

所定労働日の出勤率が80%以上の場合は、

年休を与えろよ!と定めています。

 

なので、

二日酔いなどで所定労働日に欠勤した代わりに

所定休日にいくら頑張って出勤したとしても、

出勤率は、残念ながら1%も上がりません。

 

それでは、

コロナ禍が原因で、出勤できなかった場合、

出勤率はどのように算定するべきなのでしょうか?

 

 

 

【欠勤と休業・休暇期間では、扱いが異なる。】

二日酔いや病気などで出勤しない・できない場合、

その日は欠勤扱いとなり、年休付与の出勤率が下がったり、

基本給が欠勤控除されたり、皆勤手当が不支給となったり、

懲戒処分の対象になったりと様々な不利益が生じます。

 

ですが、

出勤しない・できない場合であっても、その事由が、

労働契約上認められた休業・休暇の対象であるときは、

不利益に扱うべきでない場合もあるでしょう。

 

休業・休暇期間は、年休付与判定時取り扱いによって、

以下の3種類に分類することができます。

1.法令・行政解釈上、出勤したものとみなす休業・休暇期間
2.行政解釈上、出勤率算定の対象外となる休業・休暇・不就労期間
3.法的には明確なルールが決まっていない休業・休暇期間

 

それぞれ、具体的に見ていきます。

 

 

 

【出勤したものとみなす休業・休暇期間】

労働基準法および行政通達により、下記の休業・休暇

期間の所定労働日は、すべて出勤したものとみなし、

出勤率算定時に有利になるようにしています。

・業務上のケガ・病気による療養のための休業期間
・労働基準法第65条の産前産後休業期間
・育児介護休業法による育児介護休業期間
・年休を取得した休暇期間

 

これらは、いずれもわかりやすい事由なので、

取り扱いに悩むことはないと思われます。

 

 

 

【出勤率算定の対象外となる休業・休暇・不就労期間】

行政通達により、下記の休業・休暇期間の所定労働日は、

出勤率算定の対象外とすることにより、有利にも不利にも

ならないよう配慮されています。

・会社の責めに帰すべき事由による休業期間
・労働基準法第37条による代替休暇期間
・ストライキなどの争議行為による不就労期間

 

「会社の責めに帰すべき事由」による休業の場合、

会社には休業手当を支払う義務が生じますが、

単に休業手当を支払ったという事実のみで、

出勤率算定時は「会社の責めに帰すべき事由」

=算定対象外と取り扱わなければならない

わけではないことに注意が必要です。

 

 

 

【明確なルールが決まっていない休業・休暇期間】

下記の休業・休暇期間は、法的に明確なルールが

定められていないので、出勤率算定時にどう取り扱う

のかは、各企業の考え方次第ということになります。

・天災地変などの不可抗力による休業期間
・労働基準法第68条による生理休暇期間
・会社が独自に定める慶弔休暇期間

 

上記の休業・休暇期間も、就業規則などに、

「出勤したものとみなす」とか、「算定の対象外とする」

と明示してしまうと、その通りに運用しなければならないので、

明確に規定することは、あまりおススメしません。

 

ですが、

これらのうち、有給の休業・休暇期間については、

有給≒出勤と同格と考えれば、出勤したものとみなす

べきかもしれません。

 

したがって、

コロナ禍が原因で、出勤できなかった場合、

出勤率はどのように算定するべきか?という問題は、

「会社の責めに帰すべき事由」か?「不可抗力」か?

その休業に至るまでの経緯を個別具体的に検討する必要

があるため、ここでは断言できません。

 

労働基準法は、出勤率8割を満たさない場合は、

年休付与一切なしでOKとしていますが、コロナ禍という

特殊な事情を考慮し、今年に限っては出勤率に関わらず

5日間の年休を付与する!という取り扱いをしても

よいのではないでしょうか?

 

 

欠勤、休業および休暇と似て非なる不就労概念として、

「休職」があります。

 

休職は、一定期間の労働義務を免除するという

法的効果があるので、休職期間中の所定労働日はゼロ

ということになります。

 

したがって、

休職期間は、出勤率算定の対象外として処理すれば

よいでしょう。



トップページへ戻る。