「遅刻」・・・事前に定められた日時に遅れること。

 

遅刻は、

・業務に支障が生じる場合がある。
・職場秩序が乱れる。
・同僚に迷惑が掛かる場合がある。
・何か事故にあったのでは?と心配になる。
・給与の減額計算の手間が掛かる。

等、良いことはゼロだと思います。

 

たいがい遅刻常習犯は、大目に見て許してあげると

つけあがるのが常なので、厳しく対処して改めさせる

のが、愛する社員に対する企業経営者としての勤め。

 

5分の遅刻に対し、30分分の給料をカットすることができるのか?

考えてみましょう。

 

 

 

【まったく何も規定していない場合】

社員数10名未満の場合、

会社に就業規則を作成する義務は発生しません。

 

それでは、零細企業なので就業規則を作成しておらず、

雇用契約書にも「遅刻分は給料をカットする。」と

明記していない場合、会社は勝手に給料をカット

することができるのでしょうか?

 

労働基準法第24条に「会社は給料の全額をキッチリ

支払えよ。」と書いてありますが、5分の遅刻に

対して5分分の給料をカットする分には、労基法

24条違反とはならないとされています。

 

また、

「遅刻したら賃金カットするとは契約書に書いてない!」

と社員が主張したとしても、ノーワークノーペイ原則が

日本の公序良俗であることを考慮すれば、その主張を

認めるような阿呆な労働基準監督官や裁判官はいない

でしょう。

 

したがって、まったく何も規定していない場合でも、

5分の遅刻に対して5分分の給料をカットしても、

問題ないということになります。

 

 

 

【5分の遅刻に対し、30分分の給料をカットできるか?】

とはいえ給与計算する際に、5分分の給料をカット

するのは結構手間だったりします。

 

そのため、

「15分までの遅刻は大目に見るけど、15分以上は30分分カット」

というルールを運用している会社がありましたが、

20分の遅刻に対して30分分の給料をカットするのは、

労基法第24条に違反しますので、NGとなります。

 

・・・ですが、就業規則等に

「無許可の遅刻・早退・欠勤は、減給の対象とする。」

というような制裁(≒罰)規定を設けておけば、

合法的に5分の遅刻に対し、30分分の給料をカット

することが可能になります。

 

ただし、

労基法第91条に減給の制裁について規定されており、

・1回の遅刻に対しては、平均賃金の1日分の半額以下

・複数回の遅刻をした場合の減給総額は、遅刻時間数分
の給料をカットした後の給料総額の10分の1以下まで。

・10分の1を超える減給の場合は、次月以降の給料から
残り分をカットOK。

というルールがあることは忘れずに。

 

 

 

【遅刻した場合、業務開始を遅らせることができるか?】

業務処理の1サイクルが30分間である場合など、

業務内容によっては、途中から業務を開始されても

困ってしまう場合があります。

 

このような場合、5分遅刻した者を、仕事が一区切り

する25分後から業務開始させることが可能なので

しょうか?

 

始業時刻に業務が開始できるようにちゃんと出勤した

にもかかわらず、会社の責めに帰すべき事由によって、

業務開始が遅れた場合、会社は始業時刻から働いたとき

の給料全額を支払うべきです。

 

一方、

遅刻した結果、遅刻時刻から次の適切な業務開始

時刻までの間に働けなかった場合、その原因は

社員の遅刻という債務不履行にあると考えれば、

その時間分の給料は支払いを要しないでしょう。

 

したがって、

社員が遅刻した場合、合理的な理由により業務開始

時刻を遅らせることは可能であると考えられます。

 

 

残業代計算の手間を減らすため、30分未満の残業は、

30分に切り上げる会社では、「15分とか40分だけ

残業して帰る社員が居るんだよね〜。」とボヤく

経営者がいますが、残業は本来は会社が社員に命じて

やらせるもの。

 

切りのよくない残業時間の場合は、身の回りの整理

整頓や翌日の仕事の準備などをさせればよいのではないでしょうか?



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