いきなり、クイズです!!!



【問題】
A社従業員のB夫さんの妻C子さん(同居)は、
健康保険の被扶養者になれるでしょうか?

● A社から支給されるB夫さんの報酬:15万円/月
※賞与やその他の手当は一切なし。
●C子さんの年収:125万円(不動産収入)










【答え】
認定対象者の年間収入が
@130万円未満であって、
かつ、
A被保険者の年間収入の2分の1未満である
場合は被扶養者となるでしたよね?

事例を検証すると、
B夫さんの年収=15万円×12月=180万円
B夫さんの年収の2分の1=90万円<C子さんの年収(125万円)

よって、
C子さんはAの条件を満たせず、被扶養者となれない。



・・・と単純に考えてはいけなく、
B夫さんにA社の給与収入以外の収入があるかどうか?
を確認しなければならないので、
事例の条件だけでは、何とも言えません(ズルい回答でゴメンナサイ。)。




このクイズの主旨は、
被保険者の年収=自社が支給した給料の年間総支給額とは限らない。
ということです。



協会健保や各健保組合のホームページ等を参照すると、
被扶養者の収入の範囲として、
様々な収入が記載されています。

以下は、
三菱電機健康保険組合のホームページに記載されている
「収入の範囲」です。

(1)給与収入(通勤交通費等の非課税収入及び賞与を含む)

(2)各種年金収入(厚生年金、国民年金、公務員等の共済年金、農業者年金、船員年金、石炭鉱業年金、議員年金、労働者災害補償年金、企業年金、各種の恩給、自社年金、非課税扱いの遺族年金・障害年金、私的年金等)

(3)事業収入(農業・漁業・商業・工業等自家営業に基づく収入、また保険の外交等自由業に基づく収入)

(4)不動産収入(土地・家屋・駐車場等の賃貸収入)

(5)利子収入(預貯金・有価証券利子等)

(6)配当収入(株主配当等)

(7)雑収入(原稿料・印税・講演料等)

(8)健康保険の傷病手当金

(9)雇用保険の失業等給付

(10)その他継続性のある収入



ここでうっかりしてはいけないのが、
被扶養者の収入の範囲は、
被保険者の収入の範囲とまったく同一である。
ということです。


●生活保護受給世帯の扶養認定における収入要件について
(平成22年12月27日 疑義照会(回答)No.2011-2)


ここでいう「収入」とは、恒常的な収入であり、
どこから支給されているか は問題でなく、
認定対象者の「収入」と被保険者の「収入」とは、
同じ内容の 「収入」を意味することとなります。

※ちなみにこの疑義照会(回答)では、
生活保護費は、世帯主の収入とするのが妥当とされています。




つまり、
被扶養者の判定をする際には、
被扶養候補者の収入を正しく把握するだけでなく、
被保険者の収入もしっかり把握しなければならないのです!

1社に職業人生のすべてを捧げるという
終身雇用制度が過去のこととなった現代では、
たとえ正社員であっても、
給与収入以外の副収入があっても
まったく不思議ではありません。

副業・兼業が推奨されることを考えれば、
複数社からの給与収入を得ている可能性もあります。



したがって、
健康保険法を厳格に適用するならば、
実務で被扶養者になるかどうかの判定をする際には、
従業員の収入を洗いざらい隅々までキッチリ調べ上げたうえで、
被保険者の年収と被扶養者の年収を比較する必要があります。

たとえば、
B夫さんが人気のあるユーチューバーで、
その収入が年間に1,000万円あるとすれば、
C子さんは余裕で、
被扶養者になることができることになります。



ただし、
協会けんぽのホームページには、


ただし、以下の基準(※)により
被扶養者の認定を行うことが実態と著しくかけ離れており、
かつ、
社会通念上妥当性を欠くこととなると認められる場合には、
その具体的事情に照らし保険者が最も妥当と認められる認定
を行うこととなります。

※「以下の基準」とは、原則的な基準のこと。


とされており、
保険者の裁量の余地が残されていることに注意が必要ですが、
会社の実務担当者や社労士がこの判断をすべきではありません。



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