社員が数日間に渡り無断欠勤した場合の対処方法 について考えてみたいと思います。
【まずは安否確認をしよう】 何故、出勤して来ないのか? まずはその原因をはっきりさせることが先決でしょう。
・本人に電話してみる。 ・家族や緊急連絡先に連絡してみる。 ・自宅を訪問し、大家さん等と共に安否を確認する。 などの対応をしても安否不明の場合は、警察に相談する ことも必要になるかもしれません。
以下では、 安否確認の結果、長期の欠勤が想定されるに至った場合に 本人と連絡が取れるケースと取れない(行方不明)ケース で対処方法を考えてみます。
【ケース1:連絡が取れる+休職させる場合】 病気やケガ以外の自己都合による欠勤(事故欠勤)が、 長期間続く場合になされる休職措置を「事故欠勤休職」 等と呼びます。
事故欠勤休職は、一定期間継続して欠勤した後に 発令すべきですが、その欠勤期間は2週間から1ヶ月 程度が妥当なところでしょう。
休職期間満了により、自然退職とするのであれば、 事故欠勤休職命令は、事実上解雇予告の意思表示 のニュアンスを含むことになります。
労基法第20条により、 少なくとも30日前に解雇の予告が必要であることを 考慮すると、事故欠勤による休職期間も30日以上に 設定すべきでしょう。
【ケース2:連絡が取れる+休職させない場合】 自社に休職規定がない場合や休職期間中に復職できる 見込みがない場合などがこのケースに該当します。
この場合、 退職勧奨により合意退職を目指すべきですが、 退職の合意に至らなかったときは、勤務態度不良 や労働契約の債務不履行を理由として普通解雇する ことになるでしょう。
【ケース3:連絡が取れない+自然退職規定がある場合】 夜逃げや駆け落ち等により本人が行方不明の場合、 本人と連絡できないことがあり得ますが、このとき 会社はどう対応すべきでしょうか?
まず、 就業規則に自然退職事由として、定年制などと共に、 ・行方不明となり、30日以上連絡が取れないとき ・無断欠勤が連続50日に及んだとき などを規定している場合があります。
この場合は、その規定が合理的な内容である限り、 その条件に該当すれば自然退職となり、大きな問題 は生じないでしょう。
【ケース4:連絡が取れない+自然退職規定がない場合】 最も望ましくないパターンです。
この場合、 本人と連絡が取れないので、退職勧奨は不可能です。
したがって、 労働契約を解消する手段は、解雇しか残されていません。
ここで問題となるのが、 解雇を有効に行うためには、会社の解雇の意思表示が 社員本人に到達することが必要だということ。
意思表示の相手方が行方不明の場合、 本人に対して直接解雇の意思表示ができないので、 裁判所の掲示板に解雇予告通知書を掲示する 「公示送達(こうじそうたつ)」という方法で 解雇の意思表示が社員に到達したとみなすしか ありません。
しかし、 会社や社員の家族が、会社名や社員の氏名が裁判所 の掲示板に掲示されることを望まないこともあります。
公示送達をしない場合の実務対応としては、 社員が無断欠勤開始日に退職の意思表示をした ものとみなし、民法627条「雇用の解約の申入れ」 のルールに則った退職日に自己都合退職として処理 することが考えられます。 |