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労働基準法には、 「休日は週に1回以上与えろよ。」と書かれています。
この週休制は、 法施行当時(昭和22年)からあるルールなのですが、 戦後のとても忙しい時代に、企業は本当に守れたのか? と疑問ではあります。
労働基準法の生みの親である寺本廣作氏の著書 「労働基準法解説(昭和23年発行)」 に週休制を採用した経緯が記載されています。
これによれば、戦時中は、 月間休日2日制を採用する企業が全体の71%と圧倒的過半数 なのですが、戦後(昭和22年当時)は、 週休制を採用する企業が全体の38%まで増え、最多の休日制度 だったこともあり、週休制を採用したとのこと。
ただし、 36協定による法定休日出勤ルールも施行当時から存在したので、 実態としてどれだけの休日が与えられたのか?は不明ですが。
【法定休日の基礎知識】 法定休日は労働基準法第35条に規定されており、 ・原則として、週1回(1日)。 という簡単明瞭なルールとなっています。
週休2日制や祝日を休日とするなど、 週に2日以上の休日が存在する場合は、 法定休日以外の休日は、所定休日となります。
所定休日には、35条の規制が及びませんので、 所定休日は、 暦日である必要はなく、 連続24時間である必要もなく、 予め特定する必要もなく、 そもそも与える必要もありません。
【法定休日労働の規制は、かなり緩い。】 法定休日は、本来であれば、 会社が労働を命じることができない日なのですが、 以下の4項目を順守した場合、労働を命じることが できちゃうというヘンテコな日なのです。
1.36協定にて、法定休日労働可能日数を協定し、 2.「法定休日労働させることがある。」旨を労働条件 3.35%以上割増した賃金を支払うこと。 4.時間外労働時間+法定休日労働時間の合計時間は、
したがって、上記4.の範囲内でありさえすれば、 ・法定休日労働の日数に法律上の上限は存在しない。 ・法定休日労働には、1日の労働時間の上限が適用されない。 のように、現実的にはかなり緩い状況にあります。
【法定休日を特定することのメリット・デメリット】 法定休日は、経営戦略上、特定しておくべきでしょうか?
特定した場合の、メリット・デメリットを考えてみます。
●メリットその1だれでも法定休日と所定休日がわかる。 1週間は、原則として日曜日から土曜日を指しますが、 「法定休日は、毎週日曜日とする。」のように、 法定休日を予め特定していた場合、 その週に所定休日が何日あろうとも、 日曜日に働けば、必ず法定休日労働となります。
一方で、 就業規則等で法定休日を予め特定していない場合、 法定休日は、以下のように事後に確定するため、 途端に労務管理や給与計算が複雑・面倒くさくなります。
・日曜日に休み、月曜日から土曜日まで働いた場合 ・完全週休二日制で日曜日と土曜日に休んだ場合 ・日曜日から土曜日まで1週間休日なしで働いた場合
●メリットその2:法定休日労働は時間外労働にならない。 時間外労働は、原則として、1ヶ月間で45時間まで ですよね。
「法定休日は土曜日とする。」と規定している会社の場合、 土曜日に働いた労働時間はすべて休日労働時間であって、 時間外労働時間にカウントされません。
令和5年4月から、 「月60時間超の時間外労働の割増率は、60%以上」ルールが、 中小企業にも適用されます。
土日週休2日制を採用してはいるけど、 受注が重なると土曜日出勤をせざるを得なくなるため、 月間の時間外労働が多くなりがちという会社は、 「法定休日=土曜日」と特定してもよいかもしれません。
●デメリット:必ず35%の割増賃金の支払いが必要 同じ週に所定休日を何日与えようとも、 特定した法定休日に出勤させれば、その日は、 休日労働の割増賃金(35%以上)を支払わなければ なりません。
メリットその2とこのデメリットは表裏の関係と言えますね。
法制定(昭和22年)から平成30年の働き方改革法まで、 実に70年もの長きに渡り、36協定届1枚出せば、 法定休日労働は、理論上何でもアリの無法地帯でした。
働き方改革法により、時間外労働と合計して、 1月間で100時間未満、複数月平均で80時間以下 という上限が初めて設けられましたが、 時間外労働の規制強化と比べると、随分と緩い気がします。 |
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