5月1日は、

「メーデー=労働者が団結して権利を要求する日」

ですよね。

 

唐鎌の前職場では、

メーデーは全社的に有給休暇とされており、

休暇取得の申請手続きは不要でした。

 

ある年のこと、仕事の都合上、

メーデーに出勤しなければならなくなったので、

その旨を給与計算の担当者に伝えたところ、

「メーデーに出勤しても、休日出勤じゃないから、

給料は出ないからね(※唐鎌は月給制でした。)♪」

という回答がっ!

 

その頃の唐鎌は、労働法の「ろ」の字も知らなかったので、

「休み返上で出勤するのに、給料が出ないのはおかしい!」

と思ったものの、何も言えませんでした。

 

ひょんなことから、最近思い返してみたところ、

会社は、
<疑問1>メーデーのようなある特定の日に
<疑問2>労働者の請求(休暇取得の意思表示)がなくとも
<疑問3>ある意味強制的に
所定休暇を付与することができるのか?

という疑問が湧きました。

 

そこで今回は、自身の積年の課題でもある

メーデーを所定休暇にすることができるか?

について考えてみたいと思います。

 

 

【「休暇」とは?】

休みの日(≒仕事をしない日)には、

以下のように様々な定義が存在します。

・休日
・休暇
・欠勤
・休職
・休業

 

「休日」とは、労働契約上、

最初から労働義務のない日を言います。

 

「休暇(日)」とは、

労働日(労働義務のある日のこと)について

その就労義務の免除を受けた日を言います。

 

「欠勤(日)」とは、労働日について、

労働者の一身上の都合(二日酔い等)により、

就労義務を果たさなかった日を言います。

 

「休職(期間)」は、

労働者に労務提供が不能または不適当な事由が生じた場合に、

使用者側の一方的意思表示または労働者との合意により、

一定期間の就労義務を免除された日を言います。

 

最後に「休業」ですが、

労働者に労務を提供をする意思がありその準備をしている

にもかかわらず、何らかの理由で労務の提供ができなかった日

を言います。

 

 

【メーデーを所定休暇にできるか?】

休暇のうち、

労働基準法その他の法律により、

使用者に付与が義務付けられている休暇を

「法定休暇」と言います。

 

具体的には、以下のとおりです。

・年次有給休暇
・産前産後休業
・生理休暇
・育児・介護休業関連

 

一方、

会社が任意に設定した休暇を「所定休暇」と言い、

以下のような休暇が考えられます。

・慶弔休暇(本人および親族の冠婚葬祭)
・病気休暇(業務外の傷病)
・災害休暇(天災、交通機関マヒ、感染症蔓延等)
・リフレッシュ休暇(永年勤続のご褒美)
・夏季休暇
・年末年始休暇
・会社の創立記念日
・国民の祝日に関する法律に定められた休日
・メーデー

 

法定休暇は、

根拠法令に付与条件が明確に定められていますが、

今回のテーマである所定休暇は、会社独自の休暇なので、

労働基準法の規制を受けず、公序良俗に反しない限り

基本的に何でもアリということになります。

 

 

<疑問1>特定の日に休暇を指定できるか?

・会社の創立記念日
・国民の祝日に関する法律に定められた休日
・メーデー

これらの毎年訪れる特定の日を休みにする場合、

休日扱いにするのが一般的だと考えますが、

所定休暇とすることは可能なのでしょうか?

 

法定休暇である年次有給休暇は、

原則として労働者が「この日に休暇を取らせてくれ。」

と請求することにより、労働日が休暇に転化します。

 

しかし、

この請求行為がなくても、労使が協定を結べば、

年休取得日をあらかじめ決めておくことができ、

これを「計画的付与」と呼びます。

 

年末年始やゴールデンウイークやシルバーウイーク等の

期間中にある労働日を計画的付与により休暇に指定して

大連休にしている企業をみかけます。

 

計画的付与により特定の日に年休付与日を指定できるのならば、

基本的に何でもアリである所定休暇も特定の日を指定することが

できそうです。

 

 

<疑問2>休暇付与に労働者の請求行為は必要か?

唐鎌は、今回この疑問を再検討するまで、

休暇は「就労義務の免除を受ける」のだから、

労働者側から「休暇ください。」という請求行為が必須

と思い込んでいました。

 

しかし、法定休暇である産後休業では、

産後6週間は、本人の休暇取得の意思表示がなくとも、

問答無用で絶対に働いてはいけないと定められています。

 

意思表示には、「黙示の意思表示」という考え方があり、

労働者が「その日は休暇なので、出勤しなくて当然だ!」

と考えているとすれば、特段の手続きをしなくとも

黙示の意思表示があったと言えそうです。

 

したがって、

休暇付与に労働者の請求行為は必須ではない

と考えました。

 

 

<疑問3>休暇は、強制的に付与できるか?

平成30年の労働基準法改正により、

年間10労働日以上の年次有給休暇が発生する場合、

このうち5日間について、会社は労働者が嫌がっても

強制的に年休を取得させなければならなくなりました。

 

法定休暇である年休が強制付与できることを考慮すると、

所定休暇も就業規則等に強制付与する旨を明記しておけば、

強制的に休暇を取得させられると考えられます。

 

以上より、

会社は、メーデーのような特定の日でも所定休暇を設定でき、

労働者の休暇取得請求がなくても休暇を付与することができる

という結論に至りました!

 

 

【所定休暇付与のメリット・デメリット】

毎年訪れる特定日を休日ではなく有給休暇とした場合の

メリットとデメリットを考えてみました。

<メリット>
・休日が少ない⇒所定労働時間が多い⇒残業代単価が低くなる。
・仕事が忙しければ、所定休暇を付与せずに出勤させることが可能。
・所定休暇に出勤しても元々労働日なので追加の給料支払いは不要。

<デメリット>
・休日が少ない⇒所定労働時間が多い⇒最低賃金割れしやすくなる。
・「休み返上で出勤するのに、給料が出ないのはおかしい!」と社員のやる気が低下する。
・休日数が少ないので、求人に不利になり、応募者が減る恐れがある。

 

ちなみに唐鎌は、後日に振替休暇を取得したので、

所定有給休暇に出勤した不利益は回避することができました。



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