出張すると

たいがい何らかの交通費が掛かりますし、

遠方への出張であれば、

宿泊費などの費用も掛かるものです。

 

社員がこれらの費用を負担した場合に、

実費弁償することを目的として、

会社は「出張旅費」を支給するものですが、

どの程度の金額にすべきか?

が悩みどころだったりします。

 

出張旅費が実費弁償の範囲内であれば、

労働法上の賃金ではなく、

社会保険法上の報酬でもなく、

税法上の非課税所得に該当するので安心です。

 

しかし、

労働基準監督署や税務署や年金事務所等の行政機関に

「この出張旅費は、実費弁償の範囲を超えている!」

と指摘されてしまうと、

割増賃金の算定基礎賃金に含めなければならなくなり、

社会保険の標準報酬月額が上がるかもしれず、

確定申告をやり直さなければならなくなるかも?

となるので、絶対に回避せねばなりません。

 

 

 

「国家公務員等の旅費に関する法律」

という法律があります。

 

労働基準監督官や税務職員は、国家公務員なので、

彼らが出張した場合には、この法律に基づいて

旅費が支給されます。

 

ちなみに、

カラカマが知る限りにおいては、労働関係法に

「出張」を明確に定義している法律はありませんが、

この法律では、以下のように定義されています。

 

出張とは、

「職員が公務のため一時その在勤官署を離れて旅行すること」

をいう(第2条第1項第7号 一部省略。)。

 

彼ら(国家公務員法第2条に規定する一般職に属する職員)

の給与が、「一般職の職員の給与に関する法律」という

旅費とまったく別の法律に規定されていることを考慮すると、

国家公務員の出張旅費は実費弁償であり、給与とは別モノである

と彼らが考えていることは明らかです。

 

ということは、

国家公務員の出張旅費と同程度の出張旅費に対して、

「この出張旅費は、実費弁償の範囲を超えている!」

と労働基準監督官や税務職員が指摘することは、

自己否定することと同義なので、その旨を伝えれば、

彼らは間違いなく怯むハズです。

 

 

公務員の旅費の種類は、以下の13種類存在します。

1.鉄道賃
2.船賃
3.航空賃
4.車賃
5.日当
6.宿泊料
7.食卓料
8.移転料
9.着後手当
10.扶養親族移転料
11.支度料
12.旅行雑費
13.死亡手当

このうち、

我々が知りたいのは、日当と宿泊料と食卓料でしょう。

 

日当:旅行中の日数に応じ一日当りの定額により支給

宿泊料:旅行中の夜数に応じ一夜当りの定額により支給
※宿泊料には晩メシ代が含まれている

食卓料:水路旅行及び航空旅行中の夜数に応じ一夜当りの定額により支給
※船賃または航空賃とは別に食費を要する場合に限る。

 

「日当+宿泊料」や「日当+食卓料」はあり得ますが、

水路旅行(≒船中)や航空旅行(機中)は宿泊しないので、

「宿泊料+食卓料」は、あり得ないことになります。

 

これら3種の旅費の金額は、等級(民間で言う職位)に

よって6段階に分けられており、2等級以下(≒平社員)

から始まり、内閣総理大臣および最高裁判所長官(≒社長)

まであります。

 

【日当(1日当たり)】
・平社員:1,700円
・社長 :3,800円

 

【宿泊料(一夜につき)】
●甲地域
(東京都、大阪市、名古屋市、横浜市、京都市および神戸市など物価の高い都市部)
・平社員:8,700円
・社長 :19,100円

●乙地域
(上記以外の地域)
・平社員:7,800円
・社長 :17,200円

 

【食卓料(一夜につき)】
・平社員:1,700円
・社長 :3,800円
※日当とまったく同額

詳細は、「別表第一 内国旅行の旅費」を参照のこと。

 

上記を目安として、

自社の出張旅費を設計してはいかがでしょうか?

 

 

「出張」と「転勤」の境目について考えてみたのですが、

明確な違いを発見することができませんでした。

 

出張は「一時的」に通常の職場を離れるわけですが、

どこまでが「一時的」なのかが不明確です。

 

1年間の長期出張もあり得ると思うのですが、

1年間という期間を定めた転勤もあり得ると考えると、

「出張」と「転勤」の本質的な違いって何かな?

と疑問に感じているところです。

 

出張命令と異動命令の違いなんでしょうかね?



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