【最低賃金の現状と今後の予想】 ・平成28年間以降(新型コロナの令和2年を除く) ・令和3年引き上げ後の全国加重平均は、930円 ・都市と地方の格差は、東京都の最高1,041円に対し、
令和3年の衆議院議員総選挙における各党の政権公約 および最低賃金の現状を考慮した結果、
・令和6年までの3年間は、引き上げ率が毎年3%程度、 ・令和7年以降、地方は引き続き引き上げ率3%程度だが、
たとえば、 千葉県(都市部)であれば令和3年が953円なので、 令和4年:975円(+22円) 程度になるのではないでしょうか?
【予想@:全国加重平均1,000円になるまで】 最低賃金の引き上げは、とてもわかりやすい成果 であるため、今回の選挙でどの党が与党になろうとも、 なるべく早く「全国加重平均1,000円を実現しました!」 と国民にアピールしたいものと考えられます。
これを実現するためには、労働者数が多い都市部の 最低賃金を上げるのが最も手っ取り早い手段となります。
たとえば、東京都の労働力人口が8,300千人に対し、 鳥取県の労働力人口は300千人なので、その差約27倍。
したがって、東京都の最低賃金を1円上げることと、 鳥取県の最低賃金を27円上げることは、全国加重平均 を引き上げる効果としてはまったく同じなのです。
とすれば、政治家としては都市部の最低賃金引き上げ に注力したいところですが、都市と地方の格差問題 があるので、都市部の引き上げ額が地方のそれを上回る ことは、地方の労働者の不満を買うため、避けるでしょう。
その結果、政治的に最も無難な選択肢は、 「全国ほぼ同額で最低賃金を引き上げること。」 になります。
令和3年の引き上げ実績は、まさしくこの考え方に よるものと考えられ、全国加重平均1,000円が実現 するまでの残り70円は、同傾向が継続すると予想します。
【予想A:全国加重平均1,000円実現以降】 全国加重平均1,000円実現後、次の政治目標を掲げる と思われますが、実現が困難な順に以下が考えられます。 ・全国一律1,500円
1991年の541円から2021年の930円になるまで、 400円の引き上げに30年掛かっていることを考慮すると、 時給1,500円の実現は、相当先の話となりそうです。
となれば、最も実現可能性の高い「全国どこでも 1,000円以上」が次の政治目標となるのでは ないでしょうか?
その場合、時給1,000円未満の地方では、全国加重 平均1,000円実現後も年率3%程度の引き上げが継続 するものと考えられます。
都市部は、全国加重平均1,000円実現時点ですでに 時給1,000円を超えているため、政治目標と直接関係 ないことになります。
都市と地方の格差是正のためには、都市部の引き上げ をしばらく凍結すべきですが、全く引き上げないと、 地方の事業者の不満を買うため、お茶を濁す程度には 都市部も引き上げを継続するのではないかと予想します。
以上を踏まえると、公明党の公約である ・2020年代前半に全国加重平均で1,000円 は結構エグイと思いました。
ちなみに、特定(産業別)最低賃金というものが あり、一般的には、特定最低賃金>地域別最低賃金 となっています。
しかし、地域別最低賃金の上昇率が高いため、都市部 を中心に逆転現象が発生しています。
実際に、東京都と神奈川県では、全ての業種で 特定最低賃金<地域別最低賃金となっており、 千葉県でも、7業種中5業種で逆転しています。 |