厚生労働省がホームページにて、 在籍型出向「基本がわかる」ハンドブック を公表しているので参考にしてください。
日頃、何気なく使っているけれど、どのような意味 なのか実はよくわからない言葉というのは多いもの。 たとえば、 「嘱託≒定年を過ぎた高齢社員の雇用形態」 とか、 「パート≒既婚女性の短時間・有期雇用労働者」 とか、 「アルバイト≒学生など未婚の短時間・有期雇用労働者」 という言葉を使いますが、上記はカラカマのイメージでしかなく、 これらに明確な法的定義は存在しません。
社内で人員の過不足が生じた場合など、企業は 社員に対し、「出向」を命じることがあります。 出向は、命じられた当人にとって結構大きな出来事 のはずですが、一般的に「他の会社で働くこと」 くらいのイメージしかなく、あやふやな制度だな〜 と常日頃から思っていました。 そこでここは、「出向」について、 明確に定義してみたいと思います。 ・出向とは何か?
出向について直接定義・規制している法律は・・・、 実は存在しません! ここでは「出向」を、 出向元と何らかの関係を保ちつつ、出向先において と定義します。
出向が行われる理由としては、 ●人事交流 ●業務提携 ●実習 ●要員調整 等が考えられます。 会社間にどの程度の関係性があれば「関連会社」に 相当するのか?は、出向が法律に基づいた制度では ないため、明確な法的基準は存在しません。
出向は、労働契約関係の違いにより大きく2つに 分けることができます。 出向元と出向先のどちらとも労働契約関係にある 「在籍型出向」と、 出向元との労働契約を解消し、出向先との間にのみ 労働契約を結ぶ「移籍型出向」の2つです。 一般的なイメージでは、出向=在籍型出向でしょう。 移籍型出向は、 「出向元の使用者の地位を出向先に譲渡する」 という意味で「転籍」と呼んだりもします。
・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・ 労働基準法6条(中間搾取の排除) ・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・ たとえば、 親分が子分を知り合いの会社で働かせ、その給料の 一部をピンハネするような場合、労働基準法6条違反 となります。 在籍型出向の場合、3者間の契約関係は、 ・出向元と出向先の関係:出向契約 となります。 出向元は、労働契約関係の当事者であるため、 「他人の就業に介入」していないことは明白です。 一方、 移籍型出向の場合、3者間の契約関係は、 ・出向元と出向先の関係:出向契約 となります。 出向元は、労働者と出向先の縁結びをしているので、 「他人の就業(就職)に介入」しているとも言えますが、 「利益を得て」いなければ、問題ないでしょう。 ちなみに、 労働者派遣の場合、3者間の契約関係は、 ・派遣元と派遣先の関係:労働者派遣契約 となります。 派遣元は、「他人の就業にドップリ介入して ガッポリ利益を得て」いたとしても、労働者派遣法 に則っていれば、「法律に基いて許され」ているため、 労働者派遣も合法ということになります。
これ以降、出向=在籍型出向として話を進めます。 出向についての明確な法的規制がないからと言って、 何でも許されるようでは法治国家と言えません。 出向先と労働者が労働契約関係下にあると主張しても、 実態として、指揮命令関係しか認められない場合は、 それはもはや出向ではなく、労働者派遣と言えます。 出向かどうかの判断基準としては、 1.出向先が賃金の全部または一部の支払いをすること。 2.出向先の就業規則の適用があること。 3.出向先が独自に労働条件を変更することがあること。 4.出向先において労働・社会保険へ加入していること。 等を総合的に勘案して判断するとされています。
出向先または出向元のどちらか一方からしかお給料が 支払われない場合は、お給料を支払っている側で 労働・社会保険に加入することになるので簡単です。 出向先と出向元の両方からお給料が出る場合は、 以下のとおり。 労災保険:出向先が出向元からの賃金分も含めて 雇用保険:お給料額が高い方で資格取得し、 健康保険・厚生年金保険:出向先および出向元の
うっかり常識はずれの出向制度を採用してしまうと 後々面倒なことになり兼ねませんので、初めて出向 社員を送り出したり、受け入れたりする場合は、 安直に事を進めないよう注意が必要でしょう。 |