令和天皇の即位の日である5月1日が、
1年限りの祝日とされた関係で、
GWが10連休(4月27日〜5月6日)となってしまったために、
ある製造業の企業では、
年間の生産計画にまで影響が出てしまったとか・・・。

ですが、 法的に考えたとき
本当にGWが10連休になる企業は、
それほど多くはないのではないかと
カラカマは考えております。



労働基準法では、
最低でも週1回は従業員を休ませろ!
と規定しています(原則)。

なので、
就業規則等で「休日は日曜日だけ。」とし、
正月も祝日も含め日曜日以外はすべて出勤日にすることも
法理論上は可能です。

ですが現実的には、
完全または隔週での土日週休2日に加え、

・年末年始
・お盆
・国民の祝日

この3つも休日にしている企業が多いようです。

つまり、
民間企業でGWが休日になる理由は、
就業規則等で「国民の祝日も(会社の)休日とする。」と規定してあり、
GWが「国民の祝日」だから、
結果としてGWは休日になるというリクツなんです。

ですが、
GWは本当に「国民の祝日」なんでしょうか?

「国民の祝日」は、
首相がその日の気分で決められるものではなく、
「国民の祝日に関する法律」により定める必要があります。

「国民の祝日に関する法律」によれば、
2019年のGWに関係する「国民の祝日」は以下の5日間のみです。

4月29日:昭和の日
5月1日:新天皇即位の日
5月3日:憲法記念日
5月4日:みどりの日
5月5日:こどもの日

そうです、
4月30日、5月1日および5月6日は「国民の祝日」ではないんです。

この3日間は、
土日でも「国民の祝日」でもないので、
労働契約上、当然に出勤すべき日なんです。

GW10連休という都市伝説の原因は、
「国民の祝日に関する法律」の第3条において、
「国民の休日」を規定しており、
人事院規則(≒国家公務員の就業規則みたいなもの。)において、
「国民の休日は、国家公務員の休日とする。」とされているからなんです!



【国民の祝日に関する法律】
第3条「国民の祝日」は、休日とする。
⇒4/29、5/1、3,4および5日が該当(祝日=休日ということ。)。


2.「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、
その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。

⇒5/6が該当(いわゆる振替え「休日」であって、振替え「祝日」ではない。)。

3.その前日及び翌日が「国民の祝日」である日
(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。
⇒4/30および5/2が該当(要するにオセロの仕組みですね。)。



したがって、
民間企業がその就業規則等において、
「国民の「祝日」は(会社の)休日とする。」としている場合、
4月30日、5月1日および5月6日は出勤日となる一方、
「国民の「休日」は(会社の)休日とする。」としている場合、
GW10連休となるのです。

ちなみに、
2019年の8月12日と11月4日も振替え「休日」となるので、
国民の「祝日」でない国民の「休日」は合計で5日間。

2019年度から、
「年次有給休暇の5日間取得義務化」が始まりましたが、
上記の5日間を年休取得日に充ててしまえば、
あっ!・・・という間に条件クリアですね。



カラカマがこの事実を発見したのは、
とある企業の就業規則改定をしている際に、
「国民の祝日」の定義を確認するためにたまたま、
「国民の祝日に関する法律」を読んだことがキッカケなのですが、
この第1条がとても美しい詩的な条文なので、
ぜひ読んでみてください。



【国民の祝日に関する法律】
第1条 自由と平和を求めてやまない日本国民は、
美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、
ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、
これを「国民の祝日」と名づける。





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