|
強制適用事業所でない事業所は、
従業員の同意を得て、厚生労働大臣の認可を受ければ、
適用事業所となることができます。
これらの事業所を「任意適用事業所」と呼びます。
任意適用事業所は、
原則として3ヶ月以上必要とされていますが、
3ヶ月未満であっても事業実態を確認することにより適用することができます
(疑義照会回答No.2011‐172)。
届出の際に、
@所得税(国税)、
AB事業税および市町村税(地方税)、
C国民年金保険料、
D国民健康保険料の領収書
の原則1年分を添付することになっていますが、
これは適用後に保険料の滞納が生じる恐れがないかどうかを確認するためです
(昭和38年7月25日 保発第23号)。
直近まで企業に勤めており、
所得税と市町村民税は源泉徴収、
厚生年金と健康保険の領収書も存在しない場合がありますが、
上記目的を達成できれば、全てを添付する必要はなく(疑義照会回答No.2010‐4、No.2010‐889)、
事業所の運営資金の財源などが確認できる書類などにより
保険料の滞納が生じる恐れがないかどうか確認することになります(疑義照会回答No.2011‐172)。
任意適用は、
健康保険と厚生年金保険の両方に加入しなければならないわけではなく、
どちらか一方だけでも認可を受けることができます(疑義照会回答No.2010‐482、No.2010‐771)。
任意適用事業所の適用年月日は、
事務センター長の決裁年月日となります(疑義照会回答No.項番28)。
なお、
社会保険諸法令以外の法令に違反している疑いがある事業所であっても、
マニュアル記載の書類に不備がなければ、任意適用して問題ないとされています。
ただし、
場合によっては、法違反に係る関係機関に対して通報される場合があります(疑義照会回答No.2010‐960)。
●健康保険法第31条
適用事業所以外の事業所の事業主は、
厚生労働大臣の認可を受けて、
当該事業所を適用事業所とすることができる。
2 前項の認可を受けようとするときは、
当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者となるべき者に限る。)
の二分の一以上の同意を得て、
厚生労働大臣に申請しなければならない。
●健康保険法の解釈と運用
(P281)
任意適用の認可申請は事業主の権限とされる。
これは、任意適用の結果、
事業主に保険料および事務的負担を生ずるからである。
●健康保険法の解釈と運用
(P282)
認可の申請は、
被保険者となるべき者の2分の1以上の同意を必要とするが、
任意適用の認可を受けた場合は、
不同意であった者も包含してその認可の際その事業所に使用されている者全部
および認可を受けた後にその事業所に使用されることとなる者の両方が、
当然に被保険者となる。
なお、
任意適用事業所となる事業所に使用される者の被保険者資格の取得時期は、
認可指令の日付の日と解されている。
また、
認可を受けた事業所の事業主が変更し、あるいは従業員全部に移動があった場合でも、
事業所の同一性が保たれていれば、
第33条の規定による任意適用の取り消しをしない限り、
引き続き任意適用事業所である。
個人事業の強制適用事業所は、
従業員数が5人未満となったり、業種が変更になったりした場合、
適用事業所の要件を満たさないことになります。
しかし、
5人未満になったら被保険者資格を喪失するというのでは、
小規模事業所の被保険者の地位が常に不安定なものになり、
被保険者保護に欠けると考えられます。
そのため、
強制適用事業所が適用事業所の要件を満たさなくなった場合は、
自動的に任意適用の認可があったものとみなし、
被保険者資格を継続できるように規定されています。
●健康保険法第32条
適用事業所が、
第三条第三項各号に該当しなくなったときは、
その事業所について前条第一項の認可があったものとみなす。
「適用事業所全喪届」へ。
トップページへ戻る。
|