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報酬は、金銭だけに限定されません。
●健康保険法第46条
報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、
その価額は、その地方の時価によって、厚生労働大臣が定める。
2 健康保険組合は、前項の規定にかかわらず、規約で別段の定めをすることができる。
と定められています。
すなわち、
社宅の貸与や食事の提供など現物による給与がなされたときは、
その現物給与を金銭に換算し、報酬に加算しなければなりません。
以下、
食事、社宅およびそれ以外のものの現物支給について触れます。
まず、
食事の提供ですが、以下の通知等が出されております。
●健康保険法の解釈と運用
(P369、371)
事業に使用される者が労働の対償として事業主から供給を受ける食事は、
報酬の範囲に属するものとする。(昭和2年6月30日保理第2700号)
食事の給与について、その必要経費の一部を本人より徴収している場合は、
知事(現行:厚生労働大臣)の定める額から本人負担分を控除したものを現物給与額として取扱う。
(昭和31年8月2日保文発第6425号)
厚生労働大臣の定める告示額の3分の2以上に相当する額を食費として徴収されている場合には、
現物による食事の供与はないものとして取り扱う。
現行の厚生労働大臣が定める食事の価格は、
都道府県ごとに決められています。
平成24年厚生労働省告示第36号
(平成31年3月14日告示 平成31年4月1日適用)
健康保険組合の場合は、
所属する組合の規約により現物給与価格を確認してください。
健康保険組合の規約と厚生労働大臣の定める現物給与価格が異なる場合は、
健康保険と厚生年金保険で、異なる報酬額になる場合があります。
●現物給与の標準価格について
(平成20年10月27日 疑義照会(回答)No.070514-043)
【疑義内容:健康保険組合が規約で別段の定めをしている場合の厚生年金保険における標準価額の算定】
厚生年金保険においては、
被保険者が同時に組合管掌の健康保険の被保険者であって、
その者の属する健康保険組合が規約をもって現物給与の標準価額を定めている場合であっても、
これと関係なく、
その者の現物給与の価額は、
社会保険事務局長(現行:厚生労働大臣)が定めた標準価額によることとなるため、
同ーの事業所における同ーの被保険者について、
健康保険と厚生年金保険で、2つの異なった報酬月額が算定されることにより、
異なった標準報酬月額の等級に該当するものとして決定がなされることがある。
食事の価格は、
1ヶ月、1日(3食)、朝食のみ、昼食のみおよび夕食のみ
に細かく分かれています。
現物給与は、勤務地が所在する都道府県の価格を適用します。
したがって、
本社が東京都にある企業の神奈川支店で勤務している被保険者は、
神奈川県の価格を適用します。
たとえば、
東京の企業で1ヶ月間従業員に食事を提供していた場合、
報酬額は従業員の負担額によって、
以下の取扱いとなります。
現物給与価格 |
従業員の自己負担額 |
報酬額 |
東京都1ケ月間 19,500円
その2/3は 13,000円 |
なし |
現物給与価格
19,500円 |
現物給与価格の2/3未満
13,000円>10,000円 |
現物給与価格との差額
9,500円 |
現物給与価格の2/3以上
13,000円≦14,000円 |
なし |
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